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ななのルーマニア シビウ日記 part.4 トレーニング期間

ルーマニアはドラキュラを産んだ国で有名。

この国に入って3日目、なんと人生初の親知らずが歯茎を突き破って生えて来た。おまけに上の歯!ほっぺの裏側に突き刺さりとにかく朝から激痛。このまま私もドラキュラになるかもしれない。恐ろしい、ルーマニア...。

ボランティアとしてのトレーニング期間も終盤に差し掛かる。

コントラクトにサインを書き、仕事の割り振りと共にこのバッジを貰った。Company & Vip。面接の際に希望を出したとおり、日本と外国カンパニーのアテンドと日本人ゲストの通訳を担当することに決まる。カンパニーは俳優座さん(一度も拝見したことがなくドキドキ)とイタリアのTTBというパフォーミングアート集団。俳優座さんはインドアで、TTBはアウトドア。これからの10日間に想いを巡らせわくわくする。

(山の上にある教会。パフォーマンスが行われるVenueの1つ。インドアパフォーマンスは劇場だけではなく、学校の体育館や大学の学生演劇用の小スペースなどVenueの種類は多岐に渡る)

1カンパニーにつき3人〜6人ほどのボランティアチームがつく。例えば俳優座さんには私含む日本人ボランティア3人・現地のルーマニア人ボランティア3人の計6人。TTBには私とルーマニア人ボランティア3人の計4人で担当する。

日本人ボランティア11人の中でも、出した希望や能力により仕事は様々である。私のようなアテンド業務を担当する人もいれば、カメラ・ビデオ班に回る人、ボランティアのインタビュー記事の執筆を任せられる人もいる。アテンドと言っても、インドアとアウトドアでは内容は違うし、VIP・ゲストのみを担当する人もいる。また、他にも外国カンパニーに役者として参加する人まで出て来てしまう。多様性!計500人のボランティアに支えられるシビウ国際演劇祭。1人1人のことがきちんと考えられ、仕事が割り振られるそのシステムに感服。

トレーニング期間中は主にシビウの歴史や観光名所を学ぶツアーに参加したり


(街全体に共産主義時代の爪痕が残っていて、少し歩くだけでもひしひしと歴史を感じる)

Venue巡りをしたり 

(シビウ国際演劇祭 目玉演目の1つFauseが上演される廃工場 Fabrica de Cultură。タクシーで行くときはFaust Theatreで通じて便利)

プログラムが早く終わると、スイーツ巡りをしたり

(広場にあるThe Refreshのヨーグルトスイーツは必見。ヨーグルトの中にブラウニーとホワイトチョコレートがどっさり。写真は武蔵野市民代表 日本人ボランティア最年少20才の華ちゃん。英語が堪能で頼りまくり。俳優座を一緒に担当。可愛い)

ピアッツァマーレまで歩いてフードフェスティバルで飲んだり食べたり。

ビールがとにかく安くドラフトが大体6レイ(120円)。あまり飲み慣れていないけどついつい飲んでしまう。

(Instagramable Placesだって!インスタ映えは世界共通語)

空も、太陽も、夕陽も、街並みも、壁も、屋根も、街灯の光さえも全てが東京にいる時よりも美しく見える。ついついシャッターを押す手が止まらなくなる。何を撮っても絵になってしまう街 シビウ。

(photo credit by しんごちゃん)

そして、夕陽も落ち夜がふけてくると沢山の人たちがフェスティバルクラブに集う。ラドゥスタンカ劇場のパーキングエリアが夜は関係者向けのクラブと化し、お酒やおつまみを買って、語り合ったり踊ったりする場所になるのだ。人脈を作るのもよし、舞台の感想を言い合うのもよし、楽しく踊るのもよし。仕事終わりに、一杯飲んで帰ろう、が日課になる。

そして、記念すべき6月15日23時45分。

シビウ国際演劇祭 2019が華々しい花火と共に開幕を告げる。...のだが

この花火達、日本人の私たちからすると正気の沙汰ではない打ち上がり方をするため各所で悲鳴が上がる。写真では伝わらないかもしれないが、あまりにも近いのである。火の粉が肌に降って来て熱くて、痛い。目にも耳にも攻撃的で、刺激的。屋根の下へ隠れ、他のボランティア達と笑って、叫んで、冷たいコロナに口をつけながら空を見上げる。ルーマニアの無鉄砲さと純真さが詰まった15分間。終わった瞬間、歓声が上がり、24時とは思えないほどの爆音で音楽が鳴る。このお祭りは正真正銘、街のものなのだ。街全体がこの10日間の舞台芸術祭を待ち構え、共有し、祝福している。この花火のために、沢山の人が劇場の外でも集まって空を見上げていたのも印象的だった。

次の日から俳優座さんのアテンドが始まるため、早めに切り上げてお家へ帰宅。

パジャマ姿のルチア(ホームステイのママ)が「紅茶飲む?」と聞いてくれた。是非、と言うとピンク色のベリー茶が出てくる。

「お砂糖がいい?はちみつがいい?」と聞かれはちみつ、と答える。レモンのスライスまで乗っけてくれて、キュン。

ついに、明日から始まる。何が出来るのか、何を学べるのか、何を観ようか。演劇祭のアプリをダウンロードして、演目を調べているうちに気づいたら眠っていた。私にしては珍しく、夢も見ないで朝まで真っ逆さま。

この日から、メイクも歯磨きもしないまま眠りに落ちてしまう日々が続くことになる。

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