寒い日の一日

わたしは東北で生まれ育ったのだけれど、

自分が人よりもたぶん、寒がりだということを知ったのは最近のこと。

自分を知らないっていうのは、本当にこわい。

このたび、寒さが冷え込み、沖縄でミゾレが降ったそうな。

いまは、東北にいなくて、ラッキー。寒いのが苦手だから、と

思っていたはずなのに、雪が、痛い寒さが懐かしくてたまらない。

ストーブの燃ゆる音、白い息、そして、痛いかかと、つま先。

何をするのも億劫になり、どんより雲とにらめっこし、窓をあけると吹雪が入ってくるから空気の入れ替えは20分と決めていたこと。

どうしようも寒くて、痛くて、元気もなくなってゆく自分は

寒いのが苦手で、東北のあの港町の寒さが嫌だったんだと思っていたのに、

たまらなく恋しい。

本当は愛していたのね。

そう気づくまで、こんなに年が経ってしまったことだ。

自分を知らないっていうのは、ピュアの中に生まれてくる

愛しい影法師を追いかけるようなものかもしれない。


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