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「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第13話

〇街(夜)

   歩き続けるフェデリックとセナ―トゥス。
   セナ―トゥスの息づかいが荒くなってきた。

セナ―トゥス「(苦しそうに)ハァ、ハァ」

   フェデリック、セナ―トゥスの様子に気づく。

フェデリック「どうされましたか。……大変だ、出血している」

   セナ―トゥス、わき腹を負傷している。

セナ―トゥス「私は大丈夫だ。……それより、早くエレナく……んの……と、こ……」

   セナ―トゥス、倒れる。
   周囲には誰もいない。

フェデリック「大変だ。急いで医学修道院へ運ばないと……!」

   フェデリック、自分の衣服を切り裂いてセナ―トゥスの止血をする。
   そのまま医学修道院へ運ぶ。

   ズル、ズル、ズルッ

   セナ―トゥスを運ぶ音が暗闇にこだまする。

〇医学修道院(夜)

   ようやく医学修道院へたどり着いたフェデリック。
   セナ―トゥスは目覚めない。
   フェデリック、安堵して倒れてしまう。

シスター「まあ大変!皆さん、来てください」

   修道院長、シスターたち、駆けつける。

修道院長「急いでドクターのところへ」
シスターたち「はい!」

   シスターたちによって医師の元へ運ばれるフェデリックとセナ―トゥス。

医師「急いで処置を」
???「この方々は……」
   「急いで薬草を調合して参ります」

〇医学修道院(翌朝)

   フェデリックのみ目覚めた。

フェデリック「ここは……。セナ―トゥスは!?」
???「ここは医学修道院の処置室です」

   フェデリック、顔を上げる。

フェデリック「(驚いて)きみは!」

   ソフィアナが立っている。

フェデリック「ソフィアナ!」

   ソフィアナ、微笑んでいる。

ソフィアナ「驚きました。この医学修道院には1か月前から薬草調合士の研究生として滞在しているんです」

   フェデリック、自分の腕に塗られた薬を見て、

フェデリック「ソフィアナが薬草を調合してくれたのですね。ありがとう」

   フェデリック、周りを見渡して、

フェデリック「セナ―トゥスは?」
ソフィアナ「まだ目が覚めていません。かなり深い傷だったようで、目覚めるかどうか……」

   沈黙が流れる。

〇フェデリックの邸宅・客間(朝)

   窓の外を見るエレナ。
   元老院襲撃から2週間が経っていた。

エレナ「(心配そうに)フェデリック、どうしちゃったのかしら」
メイド「そう心配なさらなくても大丈夫ですよ。フェデリック様のことですから、剣や弓の修行にでも出かけたことでしょう」

   メイド、新聞をエレナに渡す。

メイド「それよりもお聞きになりました?聖騎士団の司令塔であるルドルフ様が元老院入りするそうですよ」
エレナ「何ですって!?」

〇お城・王の間

   ルドルフ、国王に謁見している。

国王「元老院の長・セナ―トゥスが行方不明になっていることは知っているな」
ルドルフ「存じ上げております」

   一呼吸置いて、

国王「我が国の法は、長期に渡って元老院に空席をつくってはならんとあるのだ。従って、新たに元老院議員として1名を任命する必要がある」

   ルドルフ、興奮を抑えきれない。

国王「その1名とは、きみだよ。ルドルフくん。金曜日に議会が魔獣に襲われた時にきみとミザリーが戦ってくれた。その行いに報いよう。それに、元老院議員たちからルドルフくんを議員にと推す声が多くてね」

   ルドルフ、わざとらしく、

ルドルフ「私めでございますか!?」
国王「引き受けてもらえるかね?」

   ルドルフの台詞と心(M)が正反対。

ルドルフ「このような若輩者に元老院議員が務まるとは……」
ルドルフM「キターーーーーー!努力(賄賂)の甲斐があった!」

   国王は眉一つ動かさない。

ルドルフ「しかしながら、元老院議員としてしっかりとこの国のために務めを果たします」
国王「ふむ。では頼んだ

   ルドルフ、王の間から退出する。
   退出したと同時に

ルドルフ「(ガッツポーズで)キターーーーーー」

〇お城・司令官室

ミザリー「あら、お帰り」
ルドルフ「ああ、ミザリー」

   ルドルフ、ミザリーにキスし始める。

ミザリー「ちょっと、いきなり?」
ルドルフ「ついに!ついに元老院入りだ!議員だ!」

   ルドルフ、興奮した口調でそう言い、ズボンを脱ぎ始める。

ミザリー「そう。おめでと♡」
ルドルフ「あ、あ、きみのおかげだ。きみは勝利の女神だ」

   ミザリー、首筋にキスされながら、

ミザリー「(小声で)勝利の女神……ねぇ」

〇元老院の議場(朝)

   元老院襲撃から3週間、国王とルドルフの謁見から1週間が経った。

議長「これより元老院議員の指名及び国王により任命を執り行います」

   議会は厳粛な雰囲気に包まれている。

議長「指名された者は起立して前へ」

   議長、ルドルフの名が書かれた紙を広げる。

議長「元老院議員としてルドル」

   バン!と扉が開く。

エレナ「お待ちください!!!」

   元老院議員たち、一斉に扉の方に顔を向ける。

エレナ「お待ちください!ルドルフ司令官は元老院議員に相応しくありません!」

   ざわざわ、ざわざわ

   ルドルフ、馬鹿にしたように笑う。

元老院議員たち「おい、議会中だぞ。つまみ出せ」
       「ルドルフは我々を助けてくれたんだぞ!」
       「そうだ!ルドルフこそ議員に相応しい」
       「聖騎士団を解雇されておかしくなったか」

   エレナへ罵倒が飛び交う。

議長「静粛に」
  「静粛に!」

   議会、静まる。

議長「エレナくんは直ちに退出を」

   衛兵が来て、エレナを力づくで退出させようとする。

エレナ「離して、離しなさいったら!」

男の声「(後ろから)エレナくんを離したまえ」

   衛兵、後ろを見る。慌ててエレナを離す。

男の声「エレナくんに発言権を。それと、」

   男が姿を現す。

セナ―トゥス「私もルドルフ司令官の元老院入りには断固反対の立場である」

   セナ―トゥスとフェデリックが登場。

元老院議員たち「セナ―トゥス様!?」
国王「お、お、セナ―トゥス」

   エレナ、安堵した表情で、

エレナ「フェデリック!」

(続く)


第14話↓



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