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おもしろい街

個人的におもしろいなあと思う街が何個かあります。
街を個数で数えていいのかはわかりませんが、街のまとまりはブロック的なところがあるので、まあそれでいいのかなと考えそのまま書き続けます。

そういう街はだいたい、自分が6年ほど暮らしていたアジアの都会に似た雰囲気を持っていて、路上で人がたむろしていたり、不思議な人がいたり、少しだけ街の裏側の部分が昼間も顔を出しています。

これだけだと、ただの怪しい街になってしまうのですが、それでもそこに住む人にどこか愛嬌があったり、自分にも他人にも寛容だったり、変なところで気前が良かったりして。

最初はその雑踏と騒がしさと距離感に戸惑って拒否反応を覚えてしまい、だいたい嫌いな街や避けたい街に分類してしまうのですが、そもそも嫌いだという感情を覚えていた時点で、その街のことが気になっていたのだなあといま考えれば気付いたりもします。その街からしたらなんて自分勝手なんだ、と嫌がられてしまうかもしれないけれど。

話は飛びますが、漫画『ONE PIECE』のアラバスタ編で、国王であるコブラが「国とは"人"なのだ」と言うシーンがあります。小学生の私は、この言葉にいたく痺れてしまい、国語の授業で出された「自分の好きな言葉」という発表課題に、この言葉を選びました。
ただ、そのときはなぜこの言葉に自分が感銘を受けたのか全く分からず、そのセリフと自分を結び付けられなくて、大層散らかった発表をしたような気がします。

けれど、今思えば、そのセリフに私が惹かれた理由がなんとなく分かる。その街、その土地、その国を象るのはそこに暮らしている最小単位のひとりひとりの人間であって、そこを国王という立場のコブラがまっすぐに言い得ていることに、痺れたのだと。

だから、私がおもしろいなあと感じている街は、きっとそこで生活する一人一人がおもしろいからおもしろいのだと思います。もっと言うと、おもしろい人たちが、伸び伸びとおもしろさを発揮できる自由さがあるからおもしろいのだと思います。

いま住んでいる街も、ちょっとおもしろいです。変だなあと思う人や、どうしようもないなあという人(これは主に私なんですが)や、こんなことこの街でしかできないだろうなあという人がうじゃうじゃしています。ただ、それが"ちょっと"な理由は、みんな割と変わっているのに、自分は普通ですよみたいな顔をして生活しているからです。私はそれに対して、もっと伸び伸びとしてほしいとも思っていません。実は変な人たちが、静かに息を潜めている、と思っているという姿が、なんともかわいらしいなあと思うからです。ちょっとおもしろいし、大変かわいらしいなあと思うから、私はこの街に住んでいます。多分。

まあ、おもしろいと思う人の定規はそれぞれなので、おもしろさどうこうを定義しようとは思いません。いや、前段で割と断定的に書いておりますが、それは私が思うおもしろさであって、各々見つけてくれればいーよなと考えてます。

けどやっぱり、私にとっておもしろい街は、そのままずっとおもしろい街であってほしいなあと思います。
私が住んでいたアジアの都会は、国際万博を機に、ちょっとだけ街の様子が変わりました。
変わったあとも素敵だけれど、自分が過ごしたあの雑然とした空気がどこかに残ってやしないかと探しまうこともあります。もう、ここ5年ほど帰っていないけれど。

最近、おもしろいなあと思う街がまた一つ増えたので、こんなことを考えてみました。どなたが読んでるのか分かりませんが、みなさんのおもしろい街はどこですか、何個ありますか。

#街 #エッセイ #コラム #ONEPIECE #ライター



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