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造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼう いしょく)はどうしてむずかしいの?

親しい友人が急性骨髄白血病の診断を受け、去年から闘病中です。そのため白血病について、治療法について知り少しでも理解したく思い、調べたり聞いたことをできる限りかんたんに言葉でまとめてみたいと考えています。どのような些細な情報でも構わないので、ご連絡をいただけたり情報交換ができれば嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。


「造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼう いしょく)」はどうしてむずかしいのか?」その1:骨髄移植はどうしてむずかしいのか?

骨髄性白血病の治療法には白血病の病細胞を減少させて症状を抑える ①.薬物療法と、健康な「造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)」を移植して造血機能を回復させる ②.移植療法 の2つの治療法があります。これを患者さんの病状に応じて使い分けたり、組み合わせたりして治療を行うそうです。

ここでは、②.移植治療法について聞いたり調べたことをすまとめてみたいとおもいます。まず、一般的な移植方法として使われる、【造血幹細胞移植】について。

造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼう:hematopoietic stem cell ) とは文字、名称の通り、血液をつくり出すもとになっている細胞のことを指します。 わたしたちの身体に流れる血液は、「血球(けっきゅう)」とそれ以外の液体成分「血漿(けっしょう)」という2つの細胞組織から成り立っています。 血球は、a. 赤血球、b.白血球、c.血小板の3つで構成されていて、これらの「血球」は骨の中心部にある組織、「骨髄」でつくられます。血球が骨髄でつくられる過程でなんらかの遺伝子異常によって細胞ががん化し、「白血病細胞」として進化し増殖することで、正常な血液が作れなくなる病気、これこれが「白血病」の実態なのだそうです。

【造血幹細胞移植】は輸血を通して行うわけですが、この際に前提となるのが、血球の「型」となります。

通常、輸血にはA、O、B、AB型といった「赤血球の型」の一致が必要です。ところが、造血細胞移植をするためには、さらに移植する血液同士の「白血球の型」(ヒト白血球型抗原:Human Leukocyte Antigen)が一致していることが前提となります。

白血病の患者さんの血中に、骨髄からつくられる提供者(ドナー)の健康な造血細胞に含まれる、白血球由来の"抗原"(Antigen:アンチゲン)を移植することで、移植先で免疫反応が起こし白血病細胞を死滅させます。これが【造血幹細胞移植】の治療法なんだそうです。

A、O、B、ABといった赤血球の型が、親がもつ型によって決定されるように、白血球の型もそれぞれの親の型(:HLA型)を引き継ぐ4つのパターンをもちます。つまり、同じ親から生まれた子同士のHLA型がもっとも高い確率で一致することになります。

骨髄移植をする場合、提供者(ドナー)の選定には患者さんの血縁者が優先されるわけですが、たとえ血縁者同士であったとしても、この白血球の型(:HLA型)は必ず一致するわけではありません。さらには提供にあたって必要な年齢や持病などの健康状態といった条件をクリアすることが必要になります。血縁者のいない白血病患者の方や、いたとしても、健康状態などによって、移植に必要な条件をクリアできない場合、非血縁者によるサポートが必要となるのですが非血縁者の場合、先述の通り、数万通りある組み合わせ確率の中からHLA型の一致する抗原を探さなくてはなりません。

こうした確立の厳しさが造血幹細胞移植が難しいことの理由です。


ところで、造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼう いしょく)の必要な患者さんと提供意思のある非血縁者の仲介を国内で行う公益財団法人があります。それが、日本骨髄バンク(https://www.jmdp.or.jp)です。(続く)


※ 『週刊文春 (6月13日号)』の、連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」に阿川佐和子さんと日本骨髄バンクを立ち上げた大谷貴子さんの対談記事が掲載されています。

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