お土産えらびのスペシャリストたち
全国のお菓子が毎日届く職場にいる。
おとといは、岩手のかもめの玉子。昨日は、浜松のうなぎパイ。今日は、銀座あけぼの。味の民藝というお煎餅たち。
なかなか自分では買いに行かないお菓子も、地方のお土産も食べられる。
贅沢だ。
もともと地方のお土産は大好きで、どこかに行ったら必ず買うのだけど、定番という定番お土産をここ・東京にいるだけで、ほとんど食べてしまったような気がする。
あるとき、鎌倉の鳩サブレー38枚入りの大きな缶がやってきた。
7人の課内で、38枚。
毎日毎日1枚食べてもなくならない。
ふだんは貰うとうれしい鳩サブレー。
私はバリバリにくだいて、頭から食べる派。
そう、残酷。
3枚目を食べるとき、もう鳩がみたくないと思った。ごめんね、鳩。
ごめんねって思ったときに、好きなものでも飽きるということを知った。
タダで貰うということは、ありがたみがなくなっているのだ。
好きなものを貰うときは、とてもわくわくしているけれど、タダで何度も貰うようになると、好きなものがとたんに飽きてしまう。
かなしい事実だった。
本来、お土産を貰う立場として「あなたが好きそうだったから選んだの」という意味のこもったお土産が嬉しいのである。
旅先での貴重な時間を、私のためにえらんでくれた時間。
「この場所に来たら、何となくあなたのことを思い出したんだよ」と、もう何年も会っていない友達が、わざわざ送ってくれたお土産。
私の友だちは、ほんとうに私の好きなものをわかっている。わかりすぎてこわいくらい。
ミッフィーがすき。
ポストカードがすき。
ピンクの小物がすき。
差し色にグリーンの配色もすき。
手拭いがすき。
桜モチーフがすき。
ボルドーの色がすき。
チーズケーキよりシフォンケーキがすき。
お煎餅よりチョコレートのがすき。
すきなものは、何年も前から変わっていなくて、私の友だちは「こいつはこれを買っておけばいいやろ」って思ってるかもしれない。
貰うことが当たり前になってしまった今、私のことを知らない人たちから貰う鳩サブレーより、私のことを思い出してくれた人から貰う鳩サブレーのほうが美味しく感じる。
ごめんね鳩。
君に罪はないのだけど。
私は、私のことを思ってくれた、お土産えらびのスペシャリストから貰うほうが嬉しいのだ。
Photo&Text nanamedori
追伸.
今日は、今から博多の通りもんを食べるよ。おいしいよね。
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