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観劇記録『Matilda』〜私たちは子供の頃に憧れていた大人になれただろうか〜

皆様こんにちは!
今回は先日観劇した『Matilda』について語っていきます。

『Matilda』とは?

原作とストーリー

5歳のマチルダは、図書館にある難解な本も全部読みつくしてしまうほど、高い知能と豊かな想像力を持った少女。
しかし両親はそんなマチルダに関心を全く示さず、家庭は辛い場所だった。
図書館に居場所を求めたマチルダは、そこで教師のハニー先生に出会う。
翌日、マチルダとハニー先生は学校で再会する。
ハニー先生はすぐにマチルダが「天才」である事に気づき、その才能を伸ばしたいと願う。
しかし学校は、校長であるミス・トランチブルが恐怖で子どもたちを支配する『監獄』のような場所だった。マチルダは自らが持つ不思議な力を駆使して、子どもたちを苦しめる大人たちに仕返しを試みる。自身も苦しい子ども時代を過ごしたハニー先生は、マチルダの良き理解者となり、いつしか二人の絆は固いものになっていく―。

「マチルダ」2023  公式HP

『マチルダ』はロアルド・ダールというイギリスの作家の作品「マチルダは小さな大天才」という
児童小説を原作に作られたミュージカルです。

ミュージカルが大ヒットし、映画まで制作されています!
Netflixで見れますので是非!

ちなみにロアルド・ダールさん、
「チャーリーとチョコレート工場」を書いた人です。
すごい方ですね!

原作も図書館で借りて読んだのですが、
児童文学でありながら大人も十分楽しめました!

『Matilda』の魅力

まずはめちゃくちゃわかりやすくマチルダを紹介している動画をご覧いただくのも良いかと

マチルダのお父さん役であるトレンディエンジェルの斎藤さんが
『Matilda』の魅力を講義形式で教えてくれてます。

さて、ミュージカルならではの魅力はまずは歌でしょう!
代表的なナンバーは

♪Naughty
→マチルダの強さを表した代表曲。
 「That's not Right」日本語訳版だと「正しくない」の歌詞がなんとも印象的。


♪School Song
→演出の凄さのところで詳しく。
 この曲に「School Song」という曲名を付けて、しかも歌詞にこだわりがすごい。

♪When I Glow Up
→大人への憧れを歌い、少し自虐的にハニー先生が歌い継ぐ。
 演出もとっても綺麗。
 今回の記事の副題は歌から。子供の頃はあんなことを思っていたのに、今の私は憧れに近づけているのだろうか…と考えてしまいます。

♪Revolting Children
→子供から理不尽な大人への仕返しの歌。
 なにより迫力がすごい一曲。

もう一つの魅力は舞台美術でしょうか。
日本上演は、すべてのセットをイギリスから持ち込むというこだわり。

まるでマチルダを頭の中を具現化したように文字が多く並びながらもどこか子供らしさがあるセット。
ポップな世界の見え方と、監獄のようで灰色の世界の学校。
見応えがあります!


個人的な感想


ここからは個人的なマチルダを観て感じたことになります。

苦手だなぁと思う方はお控えください。

マチルダの不思議な力

マチルダは不思議な力を持って生まれた子でした。
人によっては「天才である」ことと解釈できますし、「人を夢中にする物語を話す」ことのようにも思えますし、
物語の筋から見れば「モノを見つめるだけで動かす力」がその不思議な力だと解釈できます。

私は事前情報なしに観劇をしましたので、
物語の途中までは「人を夢中にする物語を話す」ことと解釈して観ていました。

しかし、大人たちへの仕返し後使えなくなった力は「モノを見つめるだけで動かす力」でした。
まさに神がマチルダに与えた、マチルダを救い出すためにマチルダにしか使いこなせなかった力だったんでしょう。

でも、ハニー先生の昔の物語はどこからマチルダの頭の中に現れたのでしょう…
そしてその話を聞いたフェルプスさんが夢中になってしまうほど魅力的な話!

私にはこれもマチルダを不思議な力だと思えるんです。

子役たちのパワー

ミュージカルはナマモノですので、子役は公演ごとに交代して学校との両立ができるようになってます。
とはいえ、学校の物語。
何人もの子役をダブルキャスト以上で出演させるのは大変です。

それに子役たちはどうしても出番の数が減ってしまいます。
それでも全力の歌とダンスを見せてくれます。

全力の子役たち、そして子供役の大人たちがそれに引っ張られるようにしてパワー全開になります。
その最高峰が♪Revolting Children です。

子役が出演しているならではの化学反応が見れました。

毒はとことん毒な大人

学ぶことで戦う武器を手に入れていく子供たちの対極にいるのがワームウッド夫妻とトランチブル校長でしょう。

ワームウッド夫妻は学ぶ気など毛頭ない。
自分たちと考えが違うものは全て悪いものと決めつけています。
コミカルなキャラクターなので嫌味は少ないですが、同情の余地はないです…

トランチブル校長も過去の栄光に縋り、その成功体験に縛られているあたりが学んでいない人なのだと思います。
最初はスポーツに全てを捧げたがゆえに周りが見えなくなっている人なのかと思ったのですが、
人も殺してますし、同情はないですね…

こうした役どころがとにかく毒なところが児童小説原作らしさです。
思いっきり仕返しを応援できます。

演出の凄さ


先述の♪School Song から話を始めたいと思います。

このシーン、まずは初めて学校に来たであろう子供たちが登場しますが、全く嬉しそうでない。
むしろオープニングの♪Miracle の一節をビビりながら歌います。

そして先輩の登場。
校門の奥から登場し、学校へと連れていきます。
学校ではアルファベットを教えてくれるんでしょ?という新入生に対して学校の教えを歌に乗せて…

この歌、歌詞の中にA(エイ)からZ(ゼット)までが順に出てきます。まさにアルファベットを教えてくれるんですね!こだわりがすごい…
そして、その音に合わせさっきまで校門だった柵に歌詞に対応したアルファベットのブロックを見事に差し込んでいきます。
そしてそれに合わせて先輩が校門登ったり降りたり…

とにかくすごいんです!
公式動画がないので、よければYouTubeで検索してみてください。

それからマチルダがフェルプスさんに物語を語るシーン。
盛り上がれば盛り上がるほど、後ろのアクターが鮮明になっていくんですね。
最初は影絵、そして役者が出てきて実際にマチルダに合わせてセリフを喋る。

この演出も面白いですね!


さて、長々と語ってしまいましたが、
纏めてしまえば、

・痛快な仕返し劇
・巧妙な演出と歌
・どこか子供の頃が懐かしくなり、今をさらに良くするために学ぶことの大切さ

こんな作品でした!

お読みいただきありがとうございました!

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