nana文原さん

“共創”する人の遊び場をつくりたい。nana musicが「Everyone is a Co-Creator」を掲げる理由

2012年に「nana」をローンチしてから、あっという間に5年が経った今年、nana musicは新たなビジョンとバリューを掲げることにしました。なぜ今、新たなビジョンとバリューが必要なのか、具体的に何がどう変わっていくのか。代表の文原に直接聞いてみることにしました!

ー 新しいビジョン「Everyone is a Co-Creator」にはどんな想いが込められているのですか?

人は、誰もが表現者としての一面を持っていると考えています。テクノロジーやデバイスの発達によって、より簡単に表現を世の中に発信できるようになりました。そういった社会の中では、表現を世界に出していくためのツールや仕組みが重要になっていくと思います。そのなかでnana musicは、表現者であるユーザーが音楽だけでなく、様々な表現を共に創っていくツールや仕組み、“遊びの場”をつくっていきたい。そんな想いを込めています。

ー どうしてこのタイミングで、新しくビジョンとバリューを設定したのでしょうか?

これまでは、プロダクトを作っていくことに全力で、組織づくりには十分に手が回っていなかった。また、プロダクトのあり方が組織として目指す方向とイコールだったので、ビジョンを深く考える必要性を感じていませんでした。しかしプロダクトが成長し、組織が大きくなるにつれ、少しずつ認識のズレが出てきてしまったんです。

今、私たちは35名ほどの社員がいて、2〜3ヶ月に数名ほどの新しい社員を迎えています。ビジョンとバリューを定め、きちんと言語化して共有することが、私たちのさらなる成長に必要不可欠でした。

ー 新しいミッションとバリューについては、いつ頃から考えていたのですか?

今年の1月に経営合宿を行い、そこで草案を出し、その後ブラッシュアップして最終的に完成したのが4月です。

ー 会社の名前にもあるように、“音楽”は、nana musicにとって重要なキーワードですよね。新しいビジョンに“音楽”が入っていないのは、どうしてですか?

“音楽”を入れるかは非常に悩みました。以前のビジョンは「音楽で世界をつなぐ」でしたし、1月に作成した草案にも“音”というワードが入っていました。最終的に入れなかった理由は、“音楽”という言葉の曖昧さにあります。例えば「音楽で世界をつなぐ」という文章を見ても、人によってイメージする音楽のジャンルも違うだろうし、世界をつなぐには「優れたアーティストの発掘」が大切だと思う人もいるかもしれない。けれど、それは私の想いとはギャップがありました。
 
ー“音楽”という一言では、やりたいことが表せないのではという疑問があったんですね。

そうですね。私自身、「世界中の人々とWe Are The Worldを歌いたい」という想いがあって創業しましたから、それは紛れもない事実です。しかし、プロダクトにおいて何を大切にしたいかを他の人と議論していくなかで、今の自分の心とは乖離がある気がしていて、なぜなのかをずっと考えていました。

ーその理由は見つかりましたか...?

まだ探っているところですが、きっと私にとって音楽は目的ではなく手段だったからではないかと思っているんです。創業のエピソードなどで話していますが、私はインターネットが大好きで、20代の頃はニコニコ動画やTwitterに救われたんです。あの時の自分自身が、ターゲットユーザーなんじゃないか。ならば、音楽を通して楽しい気持ちになってほしいと思いました。特定のジャンルに精通していなくても、机を叩くだけでも音楽は奏でられますから。

会社名はnana musicですし、これからも音楽が主な事業領域ではあるけれど、“音楽”という言葉に囚われすぎてしまうと、本当に進みたい方向性とはズレていくのではないかと思いました。

ー ということは“音楽”よりも“楽しさ”がキーワードになるということですかね?

先ほども話したように、1月の合宿では「音の楽しさを創造する」という草案をベースにしようと考えていました。いわゆる“音楽”ではなく、“音”。そして“楽しさ”が重要だと考えていました。

でもこのビジョンでは、結局“音楽”という固定概念からは抜けられない気がしたんです。

例えば「nana」には声劇というジャンルがあります。音楽は流れていますが、セリフを読む人、台本を考える人など様々な人がコラボレーションし、劇のようにストーリーが展開されていく。つまり“音楽”や“音”の枠を超えた表現なんですよ。

ー たしかに“音楽”や“音”と聞いてイメージするものとはちょっと違いますよね。

そうなんです。こういった試みはとても嬉しい。私たちが大切にしたいのは、“音”より“楽しさ”だから。1人の表現から、イマジネーションが連鎖し、共創によって新たなインスピレーションが生まれる。こうした創造の連鎖は、人がポジティブに人生を歩んでいく原動力になると思いますし、私自身とてもワクワクするんです。

ー そういう“創造の連鎖”を一緒に起こしていくのが「Co-Creator」なんですね!

最初は、“Creator”という言葉を想定していましたが、少しプロフェッショナルすぎる気がしました。もっとカジュアルに自分を表現していってほしい。そこで採用したのが“Co-Creator”という言葉でした。共に創る人たち、まさに「nana」でコラボレーションをしている人たちですよね。

音楽を起点に動画を作ってもいいですし、詩に音楽をつけてもいい。フェスなどのリアルイベントで、オフラインにもコミュニケーションが拡張するのも楽しい。

音楽には、あらゆるクリエティブな領域とコラボレーションする余地があります。人と人の共創によって、様々な表現を生んでいきたい。そういった希望が「Everyone is a Co-Creator」には込められています。

「nana」は、誰もが表現者になれる時代を支えるサービスです。“音楽”だけに留まらず、“共創”をキーワードに人と人とのコラボレーションを促していく。nana musicの新しいビジョン「Everyone is a Co-Creator」には、そんな想いが込められています。

次回は、ビジョンとともに定めた3つのバリュー「Keep Surprising」「Try First」「Respect Mutually」について文原に聞きます。それぞれのバリューには、どのような想いが込められているのでしょうか。

nana musicは「Everyone is a Co-Creator」を信じ、誰しもが“おと”を通じて繋がり、共に表現する喜びを得るためのツール、仕組み、遊びの場をつくっていきます

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