見出し画像

勝手に1日1推し 144日目 「いやはや熱海くん」

「いやはや熱海くん」(1)田沼朝     漫画  

なにこれぇ、ずっとみてたい・・・ずっと追っかけてたい・・・熱海くん・・・
するるっと心に染み入って心地良いです!
何がどうって言えないんだな、この空気感は。
ユルユルなんだけれど、ところにより、キレキレ。脱力系でほのぼの、ほっこり系かと思いきや、いやはや奥深い「いやはや熱海くん」。

物事を深堀し、探求心旺盛で顔の良い高校1年生熱海くんの日常ドキュメントです。思慮深く、しかし未熟であるが故のアンバランスさがお顔以上に魅力的!!
めちゃくちゃ好きでしたーー!

どんな凹凸に遭遇しても、凹凸なくまっすぐ歩む熱海くんの姿が愛おしくてたまらない!
どんな大人になるのかなあって想像せずにはいられない!
ずっとみてたい・・・熱海くん。

「僕の顔が良いばっかりに……」

毎日のように女子に告白される高校生の熱海くん。
でも、彼が好きになるのは男の人でーー。

ナチュラルな台詞が持ち味の新鋭・田沼朝が描く、
モテる男子のままならぬ恋物語。

Amazon

熱海くんは中学の卒業式、好きだった男の子に告白して「それは違うと思う」と言われてしまい、それからというもの、自分の気持ちや人との距離感が分からなくなってしまい、色々考えちゃって、ますます分からなくなっちゃって・・・という状態でした。
なのに、高校へ入るや否や、顔がいいばっかりに女子から告白されまくり。ますます分からなくなって、1人でいるところ、人気の少ない体育館前(たぶん)で出会った足立さん(先輩)にだけ心を開くことができるようになりました。

と、そこから始まる物語です。

はじめっから、モノローグが物凄く効いてるんだよなあ。「ちびまる子ちゃん」っぽい感じ?ひたすらクスクスしちゃう。
あッ!!舞台は、学校と家、それから友達(先輩)の家、たまにお出かけって、まんま「ちびまる子ちゃん」じゃん!つまり「DK版ちびまる子ちゃん」だといっても過言ではないってこと?!シュールで面白いです。ほんと、クスクス笑いが止まらないです。

心を許した足立さんには、包み隠さず何でも正直に話しちゃう熱海くんが可愛いんだよなあ。惚れっぽいところとか、うふふ。ぷりちー。
そんな熱海くんとそれを受け入れる足立さん。2人の心理的距離が近づき、その関係を通して徐々に熱海くんの交友関係が広がっていくのもいいんだよなあ。掛け合いがいちいちホンっト面白いし。トークのご近所感なんて、もう理屈抜きに笑えます。抱える心情なんて、もう理屈抜きにグッときます。
信じられない程、いい!センスの良さしかない!

下記は、各話のタイトルなんですが、1曲でも2曲でも書けそうじゃないですか?現代詩みたい。

第1話 好意にカレーはつむじ
第2話 ボードゲームは息子さんに四六時中
第3話 桂馬に展覧会とノック
第4話 散髪は冬と迷路
第5話 図書室に花屋とため息
第6話 先輩は手首の裏紙
第7話 夏休みがカレーパンもしりとり

ゆらゆら帝国」って感じがするんだよなぁ。要は”名は体を表している”ってことなんですけど、でも、その一言で終わらせていいことじゃない気がします。ココを切り取るセンス、感性が抜群過ぎて、狂喜乱舞なんですよ、ホント。好きだー。

同時に発売された「四十九日のお終いに」(短編集)にも通じるんだけれど、切り取り方の絶妙さが本当に好みなんだよなあ。普段の生活で気にしないような出来事や起こり得るかもしれないシチュエーションに気付いて、そこにスポットを当て、平らかな優しさで人と人を繋いでるのが、本当に素晴らしいって思うんですよ!クィアもナチュラルに描かれてて。
それに悪い人が出てこないっていうのが単純に読んでて楽しいし嬉しい!!って言うのもあるんだな。とにかく、無性に好きだー。

話は戻って、惚れっぽい熱海くんに相談と言うか話を振られて都度、足立さんが彼なりのアドバイスみたいに思ってることを伝えるんですけど、その温かさがとってもいいんですよぅ。めちゃいい子。惚れちゃう。
熱海くんも根底でずっと足立さんのこと好きなんだと思うなあ。

後半、人間関係が広がった熱海くんが、そこから沸き起こる1つ1つの新しい感情に真摯に向き合い、考え、整理し、昇華していく様子が詳らかに描かれていくのですが、とてもいいんです。細やかに丁寧に寄り添い、掬い取って描いている、その誠実さに心打たれます。しかも軽いタッチでしゃららんって描いてるのが朗らかでいいのです。
やっぱりめちゃくちゃ好きだー。
はよ、続きが読みたい。熱海くんの人生の全部が読みたい。

関係ないけど、顔が良いってのも、いいことばかりじゃないのね~。モブにりなきれない人の持つ悲哀ってあるんだよね、やっぱ。

これが初単行本なんて、すんばらしー。田沼朝先生、末恐ろしい逸材。いつまでもどこまでも追っかけてやる!!!!(←怖い?)

ということで、推します。

この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?