【現場学校レポ】デザイン批評の現場(講師:長谷川 恭久 氏)

2019年2月25日に開催された、フリーランスデザイナー長谷川恭久さんの「デザイン批評の現場」のセミナーレポートをお届けします。

オンラインで展開する参加型LIVE配信授業「現場学校」第二弾がいよいよ4月1日〜5月31日で開催されます。「現場学校ってなに?」という方はこちらから。
第二弾については文末でお知らせするとして…いよいよ現場学校第一弾、全10講義のラストになります。ラストを飾るのは長谷川さん!私もポッドキャスト楽しみに聞いていたり、長谷川さんの美しいグラレコも大好きでいつもこっそりと拝見してたりします。
今回はデザイン批評の現場という事で…もうね最近、前置き長いのでいきなり本題からガンガン!入っていこうと思います。

とは言いつつ本題に入る前にひとつ

今回のセッション、実はこれまでコンスタントに現場学校のレポートとしてあげていたんですが、前回から間が開いてしまいまして。
これは年度末だった~とか、誕生日だった(3/17)~とかそんなの抜きにして、一回約2時間の講義をフルで5回以上アーカイブ視聴してずーっと考えてて、自分なりの着地点みたいな所を探してたんです。

で、何をそんなに考える事が…理解力の問題なんじゃない?と言われればもちろんその通りなんですが、今回のセッションって結局のところめちゃくちゃシンプルな事なんです。
でもそのシンプルで、研ぎ澄まされた事がさらに今、自分の中で思い描いていた「仕事の在り方」とか「これから必要先となる考え方」とか、そのあたりの自分の概念を越えた先の、上位レイヤーでのお話しなのかもしれない。
っていう自分で書いていてもわけが分からない事になってしまって。
ベクトルが頭1つも2つも飛びぬけてるというか、テーマ自体はほんとにめちゃくちゃシンプルなのになんでこんなに考えるんだろう?
って、自分でもめちゃくちゃ不思議だったんですが、これきっと5年後の自分だったらストンと入ってくるんじゃないかな?みたいな着地点に辿りついたわけです。
つまり、現時点ではレベル5くらいでまだアリアハンさまよってるレベルなんだな私。って思った所存です。

でも、講義自体は本当にめちゃくちゃ分かりやすくて楽しかったんですが、ものすごい質量のクエスチョンを投げかけられた気がした現場学校の最後にふさわしい講義でした。

批評ができる現場

今回の講義では、単純にノウハウやテクニックではなく「批評ができる現場」作りや考え方、そして、それを自分事に置き換えて実践出来る批判が可能になったり、ヒントになればという所からはじまります。
確かに、色んなメソッドや便利で効率のいいツールやサービス。
確かにすごく良いんですが、環境や状況によってすべての人みんながみんな実際にこれらを現場に落とし込む事ってなかなか厳しいという所があります。
これは、大きな会社・小さな会社関係なく現場で起きているリアルな現状だったりするのかなと、自分の経験も含めて思いました。
その中で今回は「批判ができる現場」という自分事に置き換えやすく、活用が出来るようにするためのアプローチでした。
少し大げさに言うと、今回の講義は制作に携わる人々に向けたある種の考え方の再定義だったんじゃないかなと感じました。

そもそも批評って?

課題の解決よく間違えてしまう表現ですが、批評と批判は違うという事。

批判というのはそもそも
・成長のためにあえてキツく言ったりする
・自分が求める結果にするため
・議論を促すため
・機嫌が悪かったり、そもそも自分のエゴの為

簡単に言うと、批判とは成果物に対してではなく、作った人に対して言うのが批判で、そこには成長や解決する為のヒントが無いという事。

では、どのようなアプローチで批判から批評へと変えていけばいいのか?という所ですが…
そもそもデザインプロセスをひも解くと、4つのフェーズに分かれていて、これらが全てが意味を持ち、そして一貫性を持って機能している事が重要になってくるという事。

1.VISION → webサイトの目的・想像図
組織としての在り方、CRの考えているvision、何を目的としているのか?関係性として共有されているのか?
2.STRATEGY達成のためのプラン・基準
進み方・考え方、visionに基づいた自分たちがなにをしたいのか?戦略を練るに基づいた考え方
3.DESIGNどういう見せ方、伝え方が最適か
目標達成のための設計、戦略に基づいたデザイン・設計
4.DEVELOP作り方、見せ方の技術、スキル
設計に基づいたカタチ(成果物)作り

ワークフローというか、デザイン制作の過程においてここまでじっくり意識した事、実はあんまりなくて、改めて見ると、デザインプロセスというひとくくりと言うよりも、まさにゴールへ向かうためにどのような事を理解し、クリアにしていくか?という思考する部分が大半を占めているのが良く分かります。
そして、今回のセッションで何度も出てくるワード「STRATEGY 戦略

「STRATEGY 戦略」…とは一体

スタートからゴールにたどり着くための道順は色んな選択肢がある。
長谷川さんは東京から池袋までの道のりで例えられていましたが、要は目的地へと向かう手段は様々な選択肢があるという事。
電車なのか、バスなのか、徒歩なのか?
早さを求めているうえで決めた事なのか、予算なのか、経験則に基づいたものなのか。
様々な条件や状況の中、選択肢は本当に色々と存在していて最終的にたどりつく先は同じでも、様々な条件下において進み方をまず考えないといけないと言う事が分かります。
その「進み方」を決めることがまさに戦略であるという事。

一見、戦略だと思われがちなのが見た目やCMS、マーケティングや機能、運用、SEOなどの部分的な要素は戦術であり、戦略ではないという事。

そもそも、私がイメージしていた戦略の部分ってまさにSEOやマーケティング、そして運用・CMSこれらの要素の部分を指していました。
でも、蓋を開けてみると実はこの要素はあくまで戦術という言葉にハッとなったわけです。戦術はあくまでどんな武器をどう使うか?みたいな所なのかな。
お客様に提案する際、肝心な戦略ではなく戦術ばかり話している気がしたのです。国盗り合戦だったらとっくに国を取られててもおかしくないこの考え方…

ここで話を元に戻すと、戦略が無いと結果。行き当たりばったりになってしまったり、偉い人の好みでの決定になってしまったり結果として進行の遅れや、一番大切な一貫性を失ってしまうという点にもつながってくるという事。

そのうえで、次なるポイントとして出てきた課題は近年、色々なサービスやツールができてきて気軽にwebサイトの制作と言う事自体はできてきたという事。しかし、比例してwebサイトにおいての求められる事がとても比重がおおきくなった事で、難易度としては確実にあがっているという事。

無料のサービスや優れたサービスやツールって、まだまだこれからどんどん便利で活用されていく分野だと思ってて、例えば、過去に配信されたバナー表現+CTR実績(クリック率)の関連をディープラーニングで分析して、5秒に1枚のペースで候補を1000枚以上だし、その中で特に優れた20案を実際に出しちゃうとかいう…う、うそだろ…みたいな時代に突入しているんだよな~というなんか、この流れの速さにどう順応していくか?みたいな所も、この戦略の部分にすごく感じました。制作の流れというかあり方自体が少しづつ変わっていく…どんどん進化していくのに対し、私たちは今後どうあるべきか?みたいな所なのかなと。

じゃあ、戦略のメリットってなんだ?

戦略の部分をものすごく簡潔に言うと、「ビジョンの視覚化」「言語化」「ユーザーゴール」「文脈の共有「良い」「成功」の判断基準」このあたりの部分になるんですが…結局、戦略から始める事によってどんなメリットがあるのか?と言う所。

・理由に基づいた制作ができる。
・プロジェクトにおける良いの共有
・デザイン批評がしやすくなる
・お金になる


先ほどの無料や手軽におこなえるサービスが増えてきたという所とリンクするかもしれないなと思ったのですが、戦略を考える部分(道筋を立てて、ブレないように、惑わされないようにきちんと精度を上げる事)は、人にしか出来ない部分なのかもしれません。
そういう意味では、この戦略を立てる事の重要性=価値(対価)と繋がってくるのではないかと考えました。

デザインの批評がどこに作用するのか

先ほどの4つのフェーズのVISION/STRATEGYで視点・イメージの共有・視覚化・明文化を徹底し、基準のある批評をもったうえで、DESIGN/DEVELOPという進み方を決めたうえで設計し、進みながら精度を向上させるというカタチが見えてきます。

進めていく上で大事なのが、「約束事」を決めるという事。
この約束事。具体的にどんな事を約束するのか?という所ですが…
例えば、山間部の電波が安定しない場所での閲覧が条件としてあって、「0.1秒でも早く表示する事」というという約束事をきちんと定めておくのか、おかないのか。で違いが出るという事。

例えば、先の条件でサイトを制作するとして…
制作側はこの「0.1秒でも早く表示」という条件を長い時間のチューニングを経て実現しようと努力します。
どうしたら0.1秒でも早く表示させる事ができるか?思考錯誤し、デザインや構築、細部の細部にまで自分たちの力を注ぐとします。
ここで、きちんと約束事として取り決めをドキュメントに残したり、共有していないとその制作者の「0.1秒でも早く表示」という労力はボランティア、つまり、クライアントからするとそれが「普通」になってしまい、結局、かけた労力に対し正当な評価に結び付かないという事が起きてしまうという事が起きてしまうという事。
逆に、これってクライアントにとっては言ってもらわないと分からない所だから、それを伝え、重要性を共有・理解してもらう事っていうのは本当に大切だなと思いました。聞かれてないから言わないじゃなく、まず知ってもらうために、この約束事(ビジョンに基づいた)の取り決めと言うのは本当に時間をかけてやる必要があるなと感じました。

さて、戦略を準備しようか

戦略を実際に立てていく際に「下準備」として以下の様な事を準備するという事。

・ビジョンが共有されていない場合(どういう価値観を持っているか?)
・「良い」の言葉の意味を探る
・すること/しないこと
・調査をする口実にする

下準備(ビジョンを視覚化)をし、いよいよ戦略を「作っていく」わけですが、マーケティングファネルもツールとして、有用だという事。
例えばユーザーが0なのにいきなり製品の購入に結びつけるという事は現実的ではなく、どこをどう攻めていくのか?と言う事をVISION(ユーザーの課題・行動・文脈・自分たちらしさ)を元にして、考え選ぶという事。

これは、色んなファネルとチャネルをプロットする事ですが、ビジョンやリソース。そして、「今、何をすべきか決める」というプロセスを通して、やっとデザインの批評に結びつくという、ここまでくるともう「赤とか青」とか、社長が「こうしたらどうか?」みたいな事を議論する必要が無いという事。
だって、あらかじめしっかりと決めた戦略に基づいて進めているわけだし、そもそもその戦略も共に作り上げたものだから「赤だの青だの」の話ではないという自分たちの本筋(4つのフロー)をしっかり共有する事なのかなと。
冒頭にシンプルって言ったんですが、実際は準備における重要性が見えてきます。ただ単に「戦略立ててやっちゃいましょう!」じゃなく、これらの準備があって初めて成立するものだなと感じました。

あえてもう1つ

戦略を立てるうえで材料になってくる+αの施策として指標を設ける事。
これは、品質を測るうえでの指標になってくるのですが、ウェブサイトの評価においてコンバージョン率や離脱率など、ぱっと見の解釈ができてしまう、これらの見解では、様々な解釈が生まれたり、ユーザーの姿や行動が見にくかったり、短期的ゴール達成の施策が増える。という、スポットで見てしまいがちなこの指標。
どういう事かというと、CV率ばかり見てしまうとクリックされればいい、スワイプされればいい。という極端なデザインが出来上がってしまうという事もあります。

これらの指標からもう一歩、踏み込んだ指標を設定する必要があります。
では、ここから一歩踏み込んだ良い指標とは一体何なのか。

良い指標=具体的に次に何をすればいいのか分かる
■すぐに分かる目標
■ユーザー属性
■比較できる時間
■ユーザーの成功体験

・ユーザーゴールに基づいている
・期間が区切られている
・作る前に考え始める(デザイン批評がしやすくなる)
・計測の結果に基づいて改善できる

まとめ

レポート…まさかこれだけのボリュームになるなんて思ってなかったんですが、講義でのお話しをゆっくりじっくり咀嚼してやっとこのまとめの意味が分かった気がします。

・課題解決に話題をシフトさせる
・「良い」の基準を作る
・戦略から見直して共有する
・意図/経緯を記録として残す

具体的にデザイン批評ってこうするんだよ。みたいな所は長谷川さんのGitHubにあるので早速ダウンロードしました。
デザインフィードバックを始めやすくするためのシートを作りました

この後の質疑応答でも実際の現場からの視聴者の皆さんの質問にもガンガン答えて、尚且つ書籍のプレゼントまであったなんて…アーカイブで視聴した身としてはLIVE配信で参加できなかったのが悔やまれますが、ちゃんと自分で購入させて頂きます。現場学校、角田さんの講義の時も書籍のプレゼントがあったんですが、こうやって突然のプレゼント企画があるのでやっぱりLIVEで参加したいよな~と心から感じました。

さて、今回ラストのカンブリア宮殿風に締めくくりたいと思ってるんですが、今回のレポート5000字越えて400字詰めの原稿用紙約13枚分です。
兵法三十六計の話とか、山岳の馬戦とか関係ない話まで盛り上がって書いて「あ、セッションと全然関係ない方向になってんじゃ…」と、泣く泣く2000字位はしょりましたが、それくらい色々思う事がありました。
とにかくすごい質量だったんです。長かったので、読むのも大変だったと思うんですが…
でも、長谷川さんのここまで濃密なセッション。ほんとに、聞ける機会めったにないな~と言う所と、私自分が一番身に付いたような気がします。

今回のセッションは改めて、感じたのは現場の、制作に携わる人々に向けた再定義だったと思う。これは、ものすごく尖った事をしようとか、新たに何かをプラスしてという事ではなく、今現状持っている事をアップデートするというイメージだった。制作の現場は時代の変化や進化と共に確実に変わってくる。
その一部のフローがAIやサービスに置き換わって行く事も確かにあると思うし、時代の流れも今後そうなってきてくると考える。
しかし、今回、デザインの批評を通し知的生産という考えるコアな部分については、まだまだ人の領域であり、可能性であり、面白さである。
そして、それそこが今後デザインの現場や制作の現場においてとても重要な新しい部分になるのだろうとも感じた。


長くなってしまいましたが、そしてレポートも遅筆になってしまいましたがめちゃくちゃ考えて考えて頭パンク寸前になりました…が、ものすごく意義のある講義と時間でした。

長谷川さん、ありがとうございました!!!

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冒頭でも書きましたが現場学校 第二弾が発表されました!
今回は4月1日〜5月31日までの2ヵ月間で全10回開催されます。
今回の内容もリアルな現場の話(正直、レポートで書けないお話しももりだくさんです)ぜひ、実際に体感してみてくださいね!

・ヒアリングの現場 田口 真行(株式会社デスクトップワークス)
・UIデザインの現場 松田 直樹(株式会社まぼろし)
・JavaScriptの現場 谷口 允(株式会社エイチツーオー・スペース)
・Adobe XD活用の現場 松下 絵梨(Adobe XD ユーザーグループ)
・コーディングの現場 前川 昌幸(株式会社オミカレ)
・アクセシビリティの現場 植木 真(株式会社インフォアクシア)
・アクセス解析の現場 井水 大輔(株式会社エスファクトリー)
・ビデオ編集の現場 市井 義彦(株式会社Command C)
・AI導入&活用の現場 中村 健太(株式会社レッジ)
・アイデア発想の現場 川口 智士(株式会社ZIZO)

詳細はぜひこちらからご確認ください。
講師の方々のインタビューもそれぞれ見れるので、実際自分のポジションとは違うし…どんな内容か分からない…という方はぜひご一読ください。自分と違うポジションの方が案外違った方向から発見できる事たくさんあると思います。わたし的には。

現場学校の参加者さんたちのレポをまとめたマガジンは下記になります。




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タナカナナ

ライブ配信セミナー『現場学校』レポート

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