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【藤井風】優しくあるには強くあれ【嵐のモンバス】

調子のっちゃって、また藤井風トークを繰り広げる。

さて、野外フェスモンバス(MONSTER baSH)がYouTubeでのオンライン開催となり、藤井風は8月22日(土)に出演した。

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この時、ちょっとした事件が起こった。Twitterで「藤井風」と検索しようとすると、サジェストに「藤井風 民度」など、穏やかではないものが並ぶようになった。

要は、藤井風ファンのコメントが周囲からは荒らし行為として問題視されたのだ。

モンバス配信ページでのコメントやチャットは、彼の登場を待ちわびるファンの熱い言葉が飛び交い続けていた。もちろんそこに微塵も悪意はないのだが、ファンの大多数はオンラインフェスに慣れていなかった。藤井風への黄色い声を他の出演者の出番にも上げつづけ、結果的に、他の視聴者からの不興をかい、ファンへのバッシングツイートが並ぶこととなった。

純粋な好意というそよ風が、嵐になった瞬間だった。

だが、わたしはここで音楽関係者であった身として、結果的にやらかしてしまったファンを擁護したい。(何様だと言われるかもしれないがご容赦願いたい、苦手な人はここで閉じるのを推奨)

通常、新人アーティストを追うファンは、必然的に対バンやフェスに足を運ぶことになる。その過程でライブ会場でのマナーを学び、ファン同士交流し、時には議論を戦わせるなどして、推しを恥じさせないファンとしての立ち振る舞いを身に着けていく。

ところが、藤井風の場合は活動黎明期を過ぎたら、いきなり渋谷公会堂のワンマンライブでデビュー。コロナ禍の影響もあり、以降の主な音源発表場所はYouTube。

ファンとしての作法を学ぶには、その環境とスピード感はあまりにも特殊で、普段ライブハウスに足を運ばず、ネットに触れない層にファンとしてのリテラシーを求めるのは、教育環境の不足を鑑みるといささか厳しいものがある。

特に、藤井風ファンには中高年の女性が多く、SNSを日常的に活用している人ばかりではない。(Twitterの巻き込みリプでそれを確信した)そして彼の世界観やキャラクターに魅力を感じる、穏やかな者同士が共感しあう形になるため、どうしてもファン内部での自浄作用は働かない。

迸る情熱と愛情が時に濁流となって周囲を巻き込み、なぎ倒していく、それも仕方のないことかもしれない。

藤井風はあまりにも早く上り詰め、あまりにもまばゆい光を放つために、ただ消費されるイコンとなりつつあり、若干それを危惧している。

応援にはいろいろな形がある。

コメントやリプでの声援。
 情報拡散。
  物販購入。

お金の有無や声の大小は関係ない。それぞれが無理なくできる形で、自分のできることを、思慮深く行うことが尊いのだ。

ファンの活動は人や状況によって全く異なるので、あるべき姿を啓蒙するつもりは毛頭ないが、自分の「好き」が意図せず好きな人を傷つけないように、少しだけ想像力を働かせてみるのはどうだろうか。

相手の立場に立って考えようとするその時間も、大切なファン活動なのだと思う。

と、ここから話は脱線する。

「優しさは弱さなんかじゃなく優しさは『強さ』ということ」
「ただお互いに優しくなりましょ」

そう彼は述べていたが、<優しさ>は難しい。 

彼曰く、優しさはKindness。直訳すると<親切>。
ここで一寸思索を巡らせてみる。
親切とはどんな行動だろうか。

共感を示すこと?
持っているものを差し出すこと?
自分を抑え譲歩すること?
寄り添うこと?

そう、どれも自分がされたら嬉しいこと。

けれども親切は、エゴの香りを漂わせた瞬間、違うものに成り下がる危うさを孕んでいる。自分が必要ない時に受けた親切に困惑した経験、あなたにもあるのではないだろうか。

自分を認めてほしい、
優しくしてほしい、
離れないでほしい。

そんな思いが少しでもあったなら、自覚の有無に関わらず、<怖れ>に基づいた親切は、優しさになり得ない。それは残念ながら交渉で、取引だ。

優しくあるためには、精神的な自立が不可欠。
それには、結構な覚悟が必要なことなのだ。

これを読んでくれている人には、子供を育ててきた人が多いことと思う。
子育てでは、子供の将来を思えばこそ、相手が必要としているものを与えることだけではなく、心を鬼にしなければならない時もあったはずだ。
そんな時、相手は悲しみ、困惑し、怒ったかもしれない。
それでも気付きを促すために、あえて突き放す。
愛すればこそとはいえ、そんな時の親心は、孤独ですらある。

それでも、自分が思いやりや深い愛情に基づいた行動ができていたら、それってすごく、素敵じゃないか。
それこそが強さだとわたしは考える。

彼は語る。

「優しさって『クソかっこいい』ってこと」

優しくあるのはすごく難しいことだけど。

「互いに優しくすることを諦めないでいましょう」


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