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おすすめライブ:弁護士シンガーソングライター

7月12日、金曜日。帰宅ラッシュの東武東上線に、さも普通に働いてきましたよ私は、という顔で仮眠明けの私は詰め込まれた。

行先は埼玉のみずほ台。
千葉市出身東京在住の私からすれば、ほぼ地の果てである。

目的である弁護士シンガーソングライター藤元達弥さんのライブがなければ、一生縁がなかったに違いない。

各駅のみ停車、とある。そこに呑気なひらがな表記の駅名とくれば、さぞや田舎なことだろう、みずほ台。まあ、千葉に比べたらな。

と、考えを巡らせていたところでみずほ台のアナウンス。車窓の外に目を移すと、鮮やかな駅前のネオンがうかがえる。

どういうことだ。

みずほ台は各駅停車しか停まらないが、私の出身県の県庁所在駅・千葉の次に快速が停まる都賀よりも明らかに栄えているではないか。

千葉がさいたまに負けていた。
圧倒的に負けていた。

これで田舎というなら千葉はいったい何だというのだ。「そこらへんの草でも食わせて」もらえなさそうな気すらしてくる。

そんなわけで、今回はさいたま遠征編です。さいたまさいたまー!

気を取り直して、本日の会場「おとなり」。

(下画像はオフィシャルサイトより)

バンドマンの夫婦がアーティストの目線で多様性を持ったライブスペースを提供出来るように、と4年前にオープンしたお店で、月25~30本ほどライブイベントを行っているそう。木目を活かした内装を施された店内が白熱電球で照らされ、なんともあたたかみのある空間になっていた。

これが、さいたまの本気…!

三越が千葉駅前にあるからって油断していた。
さいたまは今や完全なるおしゃれ文化スポットだ。
もはや埼玉県民は星友ではなくおとなりに行くようになっていたのだ。

狼狽した私は、会場で会った藤元弁護士に「普段治安が悪い場所ばっかりだったので、こんなきれいな場所は初めてです」とトンチキなことを言ってしまい、苦笑いされた。そりゃ困るべな。

さて、弁護士シンガーソングライターとは何かというと、業務を通して感じたことや、弁護士ならではの法律知識を弾き語りするもの。

「債務整理の歌」は、業務中にはけして出せない弁護士の本音が詰まっていて、切実な叫びにちょっと笑わされてしまいながらも、藤元弁護士の人柄の良さがにじんでいる名曲だ。

なお、藤元弁護士は新宿に自らの事務所を構えるマチ弁として広範な業務を行う一方で、難民申請、ろくでなし子の弁護など大変興味深い取り組みもされてきている。

私も何度か法律相談にお伺いしたことがあるが、貸付金回収や雇用トラブル、果ては拷問プレイの際の確認事項など、広範な相談に当意即妙な回答をくれる、いろいろな意味ですごい先生である。

話をライブに戻すと、この日のセットリストはこちら。

1.離婚の相場
2.ポンコツじいさん
3.立正佼〇会の大聖堂(新曲)
4.新宿の空の下
5.債務整理の歌

同日の出演者とは趣の異なる芸風だが、一般の人にとって遠いような法律ネタを身近に感じさせることで、進行するにつれて箱をしっかりと自分の空気にしていった。

1曲目「不倫の相場」
こちらは掴みとして最高。
慰謝料や保釈金の相場をやさしい語り口で教えてくれる。

歌詞には具体的な金額が歌われているが、ご本人の補足によると、「一般的には悪いとされている行為であっても、法律、裁判例に照らして考えると、金銭的に換算されて相場が存在するものであり、そのことによって、本来その行動を止めるものと考えられている法律が、相場を設定し、あたかもその行為を助長する側面があることが面白いと思って歌っている曲」だそう。

相場の金額自体に目的があるわけではなく、相場はあってないようなもの、とのことでそれはMCでも触れられていた。何かあったらネットで検索するのもいいけどプロに相談だな。

2曲目「ポンコツじいさん」
絶対にYoutubeにあげられないであろうネタ曲。
転調を組み込んだ展開がドラマティックで大変気に入っている。
曲が終わるころには誰もがポンコツじいさんのことを好きになってしまう、憎い構成。

3曲目「立正佼〇会の大聖堂」
新曲。ご本人のために補足すると、彼自身は特に特定の宗教をアレしていない。小学生男子(ダンスィ)の心は何歳になっても失われないのだな、とほっこりした気持ちになれる迷曲。ライブ後も2日くらいサビがリフレインしていた。絶対音源化されないと思うので、ぜひライブで聴いてほしい。

4曲目「新宿の空の下」
素直なメロディにストレートな言葉を乗せたらどうなりますか?
はい、名曲です。新宿に事務所を構える者としては、余計クるものがある。
こちら音源がYoutubeにあるので、どうぞ。

5曲目「債務整理の歌」
上でも触れたので、ここではピアノセッションバージョンを。

藤元弁護士の曲は、繊細な感性に、ちょっと間の抜けた素朴さと、ほんのり効いた皮肉が相まって、実に人間味を感じさせる。うるっと泣かせる曲があると思えば「ゴリラの歌」「キャバクラの歌」なども混ざっているあたり、まったく稀有なバランス感覚だと思う。

アコギの弾き語りって、やたらとセンチメンタルなイメージがあって食わず嫌いだったのだが、これはどうやら楽しいなあ、と素直に感じた。

個人的一押しは「やよい軒」共感ポイントが多い。

自分がカメラマンとして仕事をしていて思うのだが、「とにかく圧倒的な技術のプロ」より、「コミュニケーションがとりやすいプロ」の方が需要が多い。(技術と近さ、どっちもあるのが一番いいけどね)知り合いベースで仕事が来ることも多く、その意味では本業以外にいろいろな入り口を設けておくのは、経営者のプロモーションとしても、仕事の量を増やし幅を広げるにも、実に有用だと思う。

弁護士ってなんだか高そう、大変なことになりそう、という先入観がどうしても先に来てしまうもので、一般の人は困ったときでも相談がしにくいが、弾き語りライブという入り口で少しでも法律知識と弁護士の人柄に触れると、心理的ハードルがかなり下がる。

法律は人を罰するけれど、守ってもくれる。何もしないように見えるかもしれないけれど、生まれる前から死んだ後まで寄り添ってくれている。
そんな法律とうまくお付合いするための入り口として、弁護士シンガーソングライターってなかなかいいんじゃないかしら。

次回ライブ、7月25日(木)にまた行く予定。(べらぼうに近いしね)
興味がある人は、ぜひご一緒しましょう。連絡ください。

なお、藤元弁護士の藤元法律事務所は埼玉ではなく、新宿にあります。笑
一般相談30分5400円。
事務所ウェブサイト

<藤元達弥 ライブ予定>
7/25(木) 東新宿 真昼の月 夜の太陽
8/20(火) 高円寺無力無善寺
9/1(日) 中目黒トライ 弁護士音楽同好会ライブ 
 → 個性豊かな弁護士たちによる音楽ライブ 7組出演予定
9/15(日) みずほ台おとなり
9/21(土) 高円寺ムーンストンプ

<Twitter> @tatuyafujimoto


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