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青空を味方につけてしまう彼

そろそろセーターをしまっていいよと、季節は言う。それでもたまに寒くなって、いじわるだ。焦らされるほど、訪れたときの喜びがおおきいなんてことを知っている春って、本当にずるい。

わたしは犬が好きだ。ちいさい頃からの口癖は「犬が飼いたい」だった。実家がマンションだったのでそれは叶わなかったけれど、いつか飼うのだと思う。犬のようなひとが好きなのだけれど、過去をさかのぼっても、そうだよなあと我ながら納得する。

そういえば犬のような彼には、春に出会った。

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あまり甘えるのが得意じゃないので、わたしは人前であまり泣かない。それでもきみの前では泣けてしまった。どうしてもうまくいかなくて負のループに陥ってしまったとき、まっさきに電話をかけて、声を聞いた瞬間に泣いてしまった日。

だれかの前で泣けるというのはかけがえのないことだと思う。わたしを泣かせてくれる受容をいつもくれるきみが、本当に好きだ。かけがえのない友人で、尊敬するひとで、たまに同志。

(あまりにも好きだ、と言ってしまっているので補足しておく。恋愛関係だったことはないし、きっとこれからもない。ただ、心のそこから惚れ込んでいるのはたしかで、これからもたまにわがままで振り回して欲しい、と思う)

きみは本当にすごい。いつまでもタフで、輝いている。太陽のようなひと、なんて言葉が似合うから。例えるなら君に届けの風早くんだし、有閑倶楽部の魅録だし、ストロボ・エッジの蓮くんだと思う。

それでもきみは自惚れないし、自慢しない。隠しているとはちょっと違うけれど。

自慢した瞬間に “自惚れ” になる。自分のためにひっそりと貯めていく自信は、自分で自分の背中を押せる力になる。


そんなことを、きみを見ているといつも思う。

いつまでも変えたくないと思わせてしまう写真を撮ってしまうきみは本当にすごい。わたしがいろんな背景に使う写真はいつだって、あの日青空に向かってピースをしたわたしを切り取ってくれたもの。きっと分かっていたよ、第六感で。このひとはわたしの人生において欠かせないひとになる、なんてことが。

多分そんなことをきみに対して思っているひとは、この世にたくさんいて、そう思わせられるところも本当に頭が上がらない。笑えるぐらいに、羨ましいなと思う。

人生の転機は、そんなスーパー王子さまにも存在する。人生軽々と乗り越えてきているようにみせて、実はちゃんと苦労しているのを知っている。笑い飛ばす強さがあるから、やっぱりヒーローなんだけど。

だって、思い返せばきみのうしろはいつだって晴れている。空までも味方につけてしまうのか、きみは。

大丈夫。いつだって、きみのうしろは晴れている。きみはつよい、わたしの第六感で保証する。ここまで甘い文章をかかせて、春と同じね、きみはやっぱりずるいひと。

読んでくださってありがとうございます。今日もあたらしい物語を探しに行きます。