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【ネタバレあり】君たちはどう生きるか感想

宮崎駿最新作、君たちはどう生きるかを初日に見てきました。
公開日まで、出演者、内容は全く明かされていないということで、
その辺の人にネタバレを喰らうのも癪なので自分で見てきました。

何も明かされてないということで、
何を喋っても、ネタバレになる関係状、
普段あまり映画の感想を書いたりするときは
そういうのに非常に配慮しながら書いたり喋ったりするのですが、
こればかりは無理なので、ネタバレあり、ということで話していきます。


ここからネタバレがありますので注意してください。


もういいですか?





序盤

圧倒的な作画クオリティ。
これが日本が昔から誇るジブリアニメーションの真骨頂というべき
作画。動き。
特に圧巻されるのは、炎。そしてババアのぬちゃっとした感じ。
それから動物たちの動き。
これらはどれをとっても引けを取らない。

ストーリー面で言えば、退屈に限りない。
終始、視聴者を置いてけぼりにするフルスロットルで、物語のルール説明がされないので、大人はいろんなこと考察しながら見ることができるが、子供は退屈に感じるかもしれない。
もう少し早い段階から宮崎駿特有の「不思議」が起きてほしい。

うーん、また戦争映画なのか?
という疑問がありながらも少し不思議要素もあり、
「どういう話なんだろう?」という感じがしばらく続く。

中盤

物語は一変して、冒険ものに。
不思議な異世界に、動じない主人公。もう少し年相応にビビったり、怯えたり、不安に感じたりという要素があっても良かったのだが、物語の進行状、それらはノイズになるので、徹底的に排除されている。

そしてここでも目立つのは、過去作のオマージュといえば聞こえがいいが、
焼きましというか、「またやってんのか」という内容。
勝ち気な中性的なキャラ、コダマのようなマスコットになりうるキャラ。
説明のされない「〇〇はやめておけ」「そこには入るな」など。
冒険、というには少々振り回され方が強引な上に、従順な主人公。
それでいいのか? もう少し不思議に思わないのか?

主人公は新しい母を助けに行くというものだが、
半分くらい謎の塔の中を冒険したいという欲望も混じっているため、
中盤くらいで思い出したかのように母を連れ帰る!と言い張るのだが、
主人公の連れ帰りたい!という動機があまりにも弱い。
メリットがないし、作中でもそれはババアたちに言われたりもするのだが、
それには全く応えない。ただ、説明がない。すべてを説明するというのは野暮なのだが、他になにか作画や表情で説明されていたのかもしれないが気がつけなかったなぁという感じ。

終盤

クライマックスに近づくなり、急に現れたインコという敵集団。
結局アオサギがどういう立ち位置なのかわからないし、序盤の「お待ちしてますよぉ」も意味が分からなくなる。お前は何の理由があって待っていたのか。なぜ塔に呼び出したのか。大叔父様から指示があったのかもしれないが、結局大叔父様のいる方へは「入ったことがない」など言っているし。大叔父様とアオサギの薄い関係性。
それにインコの王のぽっと出感。

一応、母を連れて変える!という名目で冒険していたのだが、
いつの間にか、母は置いてけぼり、火を扱う女の子を助ける話に。
まあこれは捕まったからというのもあるが。
クライマックスは何かを暗喩したものになる。
自分の跡継ぎを探しているんだ。という大叔父様。
まるで宮崎駿が俺の跡継ぎは誰だ?と世間に問うかのような。
しかもそれに主人公は元の世界に帰るという選択をして、大叔父様の誘いを断る。こういう流れにしたのは、
宮崎駿が「宮崎駿の跡継ぎは誰だ?」の問いに「誰もいない」を表しているかのようで、あの石たちはこれまでの宮崎駿作品の数をさしているかのよう。世界はアンバランスだ。という自分の作品たちを持ち出して、
そして最後には石を一つ持ち帰らせることによって新たな宮崎駿作品としてこの作品が完成したことを示し締めくくる。

クライマックスについては別に盛り上がりも特にない。

総括

これまでの宮崎駿作品が好きという人たちには「お?これは」という内容があるが、
別にそれらのすべてを推している訳では無い私にとってはどれもこれもがどっかで見たことあるなぁという内容なのだが、そのどこかが宮崎作品の中での話になるので、これはもうこの人は自分の中にあるものだけで書いているんだなぁという感じ。
戦争映画要素、ラピュタ、ナウシカ、もののけ、千と千尋、ハウル、etc……。
あらゆる要素が積み重なってこの作品ができている。
手癖で書いたような作品群で、宮崎駿見本市、
ある意味ではこれが集大成としての意味をもつ。

これがもし普通に宣伝されていたら、
私ならどういう広告を打っていただろうか。
あまりにも序盤中盤終盤で話が違うために、予告編を作ることが難しすぎて、プロデューサーも頭を抱えただろう。
ただ、ネームバリューのパワーをぶんまわして
何も宣伝しないという選択肢。
私のようなうがった人間がいるせいで、
その目論見は成功しているといえる。

一言でこの作品を言えば
「宮崎駿VS宮崎駿VS宮崎駿」みたいな作品。

急いで見に行ったほうがいいとは絶対に言わない。
私のようにネタバレがいやだ!という人は見に行ったほうがいいかもしれない。



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