何が嫌って?そりゃ、暑さよりも重たさよりも。

満員電車。身動きできないほどぎゅうぎゅうの状態ではないときの方が、逆にストレス濃度は高いような気がする。よりかかる場所もなく、周囲の人に触れないように、我が体幹に全神経を集中する。

なんて私の苦労をよそに、時折どっかりと背中を預けてくる人がいるのだ。携帯をいじりながら、私の背中にもたれかかってくる。楽だろうな、と思いつつ、私は感じなくてもいい人様の体温に、どうしようもなくイライラとするのだ。

唐突に、緊急停止で電車が止まる。もう目的の駅のホームにさしかかっているときだった。私に全体重を預けていた女性は、慣性の法則を体現するかのように、車両内で1番派手に前方にずっこけていた。

何事も無かったかのようにまた携帯をいじりうつむいていたけど、まあ、恥ずかしかっただろうな。

私の背中は、ただただ鬱陶しい熱気から解放されたことを喜ぶばかりで。

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