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酵素浴レポート

1年前くらいに、最寄駅の近くに酵素浴の施設ができた。

とにかく散歩をしていた時期だったので、看板ができたな〜、工事してるな〜、とか、通りかかるたびに進捗は目にしていた。

行こうかなと思ったこともあったが、人生がやばすぎてお金を使うことにかなりシビアになっていたため、行ったことはなかった。先日、母とその施設の話になり、ついに行ってみることにした。お金の心配もなくなってきているので。予約したのが今日だった。

お店に入ってみると、めちゃくちゃ賑わっていた。男性も2人いたし、待合スペースにある椅子は私たちが座ると満席になった。

カウンセリング用紙を書くが、「思い当たる不調」という項目があり、疲れやすい、ストレス過多、日中に眠くなる、夜中に目覚める、眼精疲労、肩こり、冷え性…などなど、20くらいの症例が挙げられていて、「正直今はあんまり当てはまるものがないな」と思い、自分の体調が悪くないということに改めて驚く。
ちなみにうつのときは、ほぼ全てに当てはまっていた。

紙パンツと紙ブラジャーとシャワーキャップを身につけ、酵素浴スペースに入ると、まろやかな納豆の香りに包まれた。「あ、なかなかくさいな」と思う。ちなみに、酵素浴は7年ぶり2回目で、前回の記憶はあまりない。

人が一人横になれる大きさの木でできた箱の中に、おがくず(?)が敷き詰められていて、その中に座る。脚におがくずをかけられ、「横になってくださいね〜」と言われ、横になると、顔にガーゼをかけられ、口元以外のすべてにおがくずが容赦なくかけられた。

その瞬間、「やばい!自分が閉所恐怖症なの忘れてた!」となって、パニックにおちいりかけた。左手を上げて顔に持ってきて、口元に手を当て、すると「苦しいですか?」と聞かれたので、「あっ苦しいですね」と言って、鼻と口にかかってたガーゼを取ってもらった。隣にいた母もそれを聞いて、「私も苦しいです」と言って、(見えないからおそらくだけど)ガーゼを外してもらっていた。

おがくずが意外と重くて、「生き埋めだ」という考えに支配される。苦しい、出たい、どうしよう、動けない、ガザで建物が破壊されて生き埋めになってしまった人たちは本当に苦しいだろうな、などと思う。リラクゼーションをしているはずなのだけど、全く落ち着いた気持ちにならない。本当に出たいけれど、3,300円支払っているし、もったいないよなという、謎の意地もあり、必死で耐える。上田岳弘さんの「塔と重力」という小説にも、主人公が生き埋めになる描写が出てくるのだが、その描写にものすごい時間差で共感する。経験することでしか感じることのできないものがあることに改めて深く気づき、変な経験が増えれば増えるほど本はもっと楽しく読めるのかもしれないなどと、思う。

体感5分ほど耐えたら、少しマシになってきて、平常心を取り戻してくる。おがくずが自然にこんなに熱くなるってすごいなあ。手をグーパーして、おがくずを握りしめてその感触を楽しむ。

体感15分ほど経過すると、今度は熱さに耐えられなくなってきた。手足が脈を打ち、血管がすごい速さで流れているのを感じる。やっぱり無理は良くないので、手を外に出したが、お姉さんが「かけなおしますね〜」とやってきて、せっかく手を外に出していたのにまた埋められてしまった。

早く出たいな〜と思いながら横になっていると、母が「あとどれくらいですか?」とお姉さんに聞いた。
「5分くらいですよ、苦しいですか?」
「いや、ちょっと暑くて…でも大丈夫です」

あと5分か、頑張ろう、となる。
膝を立てておがくずから抜け出し、腕も外に出した。
そして、体感5分以上が経って、「はい終わりですよ〜」と声をかけられ、ようやく起き上がり、用意してくださった酵素ドリンクを飲んだ。

シャワーを浴び、着替えて、水素水を飲みながら休憩した。

お店を出て母と話すと、母も開始5分は苦しくてやばかったらしく、「『バァ〜!!!!』って出てやろうかと本気で思った」と言っていて、それされてたら私も出てたと思う。

スタッフのお姉さんの肌はめっちゃピカピカで、美肌効果はあるんだと思った。

ただ、閉所恐怖症の人にとって酵素浴は辛いかもしれない。

私は、スーパー銭湯の露天風呂でゆっくりあったまるくらいがちょうどいいなと思った。

少なくともしばらくは行かないと思います。

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