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はじめてますか?ファンベース by ファンベース著者:佐藤尚之さん

4月に開催された #MMU 2019のレポです。
メモ書き含めなのであとで編集する可能性があります!

もくじ

0. 佐藤尚之さんについて
1. なぜファンベースを始める必要があるのか
2. ファンベースで大切にすべきポイントはどこか?
3. ファンべースは何からどう始めるのか?


0. 佐藤尚之さんについて

”ファンベース”の著者で、もともとは電通に25年務めた方です。その頃は「新規のお客さんをどれだけ増やすか」「企業側の言葉をどうやって伝えるか」をやってきており、それを経て現在のファンベース施策でお仕事に就かれたそう。

さて、そんな佐藤さんですが、今回のイベントの中核とも言えるファンベースについて、自身の著書の内容も踏まえてお話をしてくださいました。


1. なぜファンベースを始める必要があるのか

まずはファンベースの重要性についてそもそもの部分です。こちらは著書を読んだ方なら飛ばしていただける内容になっています。


1) 時代:市場が急激に縮小する

* 人口急減
* ウルトラ高齢化社会
* 若者の物欲減少、独身者の増加
* 超成熟市場(マーケット飽和)

上記に挙げたように、日本では新規のお客さんがどんどん減っていくのをみんなで取り合うことになります。今いるお客さんを大切にして、その方達に愛し続けていただくことが本筋でしょう、と。


2) 売上:今いるお客さんが売上を支えてくれている

パレートの法則とLTVについても言及されていました。

▼一応、用語の説明を置いておきます。

パレートの法則:今回は「売上の8割は全顧客の2割が生み出している」という意味。広義ではもっと大きな概念なので、気になったらググってみてください。
LTV(life time value):顧客がサービスを使う上で、生涯でどのくらいの額を使うかの指標。

パレートについては、データで証明できていないものの、イベントで各社の方に聞いてみると大体あっていたそうです。こちらは自社の内訳などを調べてみると良さそうですね。

そういった傾向も踏まえて、ファンの20%のLTVを上げていくことに注力することがとても大切なのだそう。事例ではソニーが同施策を実施して売上げが5.3倍になったことを紹介されていました。

Eg. ソニーα:メール→αカフェ→体験会(売上が5.3倍)


3) 類友

次に類友です。

バズはすぐに忘れられてしまいますよね。バズを作ること自体もかなり難しいので、コスパも良くない。

ところで、私たちは普段なにがきっかけでものを買ってるのでしょうか?広告で買ってますか?それよりも、友人からのおすすめで買うことが多くありませんか?ここで言いたいのは「友人の紹介がもっとも強力な媒介である」ということです。

ただ、友人/家族などおすすめをする人はそんなに品物のスペシャリストでもない場合が多いですよね。なぜ、情報通でもない、目利きでもない、家族や友人が信頼されるのか?

なぜなら、それは価値観が近いから。価値観が近い友人が愛用している物や大好きなコトは自分もそうなる可能性が高いのです。

類は友を呼ぶ(ホモフィリー):親近感を持ちやすい。つまり「友人からのおすすめは最強!」ということです。また、「価値観が強い」に加えて「熱量がすごい」も購買行動に影響する大きな要素になります。

つまり、ファンこそが(伝えるのか難しい)新規顧客を増やしてくれる。CVどころじゃない、強い購買意欲を生み出してくれる、というわけです。


2. ファンベースで大切にすべきポイントはどこか?

ファンベースの必要性がわかったところで、次はポイントをご紹介します!さて、どんなポイントに気を使ってファンベースを考えたらいいんでしょうか?


1) いいところを伸ばす

1つ目のポイントは「いいところを伸ばす」です。

今までは「買ってくれてない人のために改善する」が多かったかもしれませんが、これからは「今いるファンを大切にしてコミュニティーを広げる」という切り口です。つまり悪いところを補うではなくて、いいところを伸ばしていくという考え方です。

ここで、ひとつ勘違いをしてはいけないことがあります。それはファンベースとは「ファンを増やす」んじゃなくて、「今いるファンを大切にする」という考えということです。

ファンの位置付けとしては全体の顧客の上位20%くらい。

「改善施策」では80%の売上を支えてくれている20%のファンが離れてしまう可能性があります。ファンを増やすのは間違えではないかもしれませんが、先にそこにいってしまうと失敗してしまいます。

まずは、今いるファンからサービスの推しポイントを聞いて、それを強化していく事が大切とのことです。


2) 機能価値より情緒価値

2つ目のポイントは「機能価値より情緒価値」です。前述でも少し出ましたが、これからは超成熟市場になります。顧客は、色々ありすぎて選べない、という状態です。

また、先行商品はその商品特徴が優れていればいるほど、後発に研究され、追随され、付加価値をつけられ、安価化され、陳腐化する。つまりUSP(独自の売り)が強みになりずらい。

ではどうすればいいのか?

ここはUSPが発揮された一瞬の貴重な機会に「感情でファンにしておく」ことが大切になります。機能価値より情緒価値というのはこのためです。機能重視のファンはすぐ乗り換える。感情でファンにすることが大きな強みになります。

ファンのステージは色々ありますが、
共感から、熱狂へ。
愛着から、唯一無二へ。
信頼から応援へ。
USPが発揮された瞬間に、ファンの支持をより強くする導線を考えましょう。機能価値はコピーできるけど、情緒価値はコピーが大変難しいのです。


3) Through the Community

3つめのポイントは「Through the Community」。

SWT(Strong Tie/Weak Tie)理論というのがありますが、これを利用した
「トライブ間の拡散で広がるファンコミュニティ」というのを提唱されていました。

▼用語説明

強い絆/弱い絆(Strong Tie/Weak Tie)理論:世の中の人のつながりには、「お互いに共通の知り合いがたくさん存在している」強い絆と、「自分たち以外に、ほとんど共通の知り合いがいない」弱い絆の2種類が存在するというもの。
トライブ:部族のような、共通する特徴/傾向をもった人々で構成されたコミュニティ

よくあるのは「一度買ってる人は(購買行動が済んだので)終わり」とい考え方です。いえいえ、その人たちはそれぞれ自分のトライブを持っているので、その人たちを通してサービスが他のコミュニティーに発信されるように設計をしましょう。

大切なのは良くあるツリー状の人間関係ではなく、面で広がっていくイメージを持つことです。(本紹介:コミュニティーマーケティング)

どうやったらファンは自分のトライブに伝えたくなるだろうか?その熱量を向上させる取り組みを行いましょう。


3. ファンべースは何からどう始めるのか?

ここまでポイントを見てきましたが、最後は「ではどうやって始める
?」です。

まずは、ファンをよくよく知らないと何も始まらないですよね。
ファンたちのツボがわからないと、どう手を打っていいかわからない。
どの言葉がファンの琴線にふれて、外に出ていくか?研究して発信をしましょう。

でも多くの方はファンを舐めてるので、ほとんどファンに会ったことがないでしょう?と佐藤さん。

そこで、ファンをもっともっと知ろう!ということでファンミーティングをお勧めされていました。ファンミーティングとは、ファンイベントでも、販促でもなく、「傾聴」のための機会のことです。アンケートやグループインタビューではなく、ファンミーティング。

多くの場合、一般の人は「なぜそれを愛しているのか」話せる人はあまりいません。ファンは言語化できていないんですね。自分でもどこを愛しているのかわからない、言葉にできない。

聞きたいのは「あ〜、昔から家で使ってたので〜」とかじゃなくて、「亡くなった祖父が大切にしていたので、こんな想いがあって使っていて…」みたいな深い部分です。

そこでできるのは「ファン同士」を合わせることです!

熱量の高いファン同士ほど、濃い会話が生まれます。ファンは最初はエモの部分を言語化できていないんですが、ファン同士で語ると想いが重なったり盛り上がったりして、深い内容が出てきます。ファンミーティングでは、ファン同士の会話に聞き耳を立てましょう。ファンミーティングで会社側ができるのは、お題を投げることだったり、ちょっとしたファシリテーションくらいです。

また、ファンを選ぶのも慎重に行う必要があります。

アンケートを使ってファンの選考する方法もご紹介されてました。アンケート欄に自由入力を入れておいて、そこに「長く書く人ほど熱量が高い」ということですね。

とあるタオルメーカーの事例では、ファンミーティングの開催内容が「生産工場まで自腹で来てね、会費7000円だよ」ってものなんですが、みんなファンなので嬉々として駆けつけてくるそうです。

しかも、現地では生産者の人に「わー!鈴木さんだー!」って駆け寄っていく。これは事前に生産者のプロフィールや、制作ストーリーを発信しているため。

その後、タオルについて延々グループディスカッションする会が開かれます。ええ、タオルです。ファンたちは品番や生地について延々と話して、最後に発表会をしたそうです。すごい熱量だ…。

ファンミーティングでは、予算をかけなくていいんです。普段の現場の雰囲気が好きなファンも多いそうですよ。

まとめ

以上、佐藤さんから事例も含めた45分間のファンベースのお話でした。

1. なぜファンベースを始める必要があるのか
・時代:急激に縮小する市場では今いるお客さんを大切にする。
・売上:20%の今いるお客さんが売上の80%を支えてくれている。
・類友:近い価値観をもった類友のおすすめが最強。
2. ファンベースで大切にすべきポイントはどこか?
・いいところを伸ばす:今いるファンに愛され続けるために力を入れよう。
・機能価値より情緒価値:機能重視の顧客はいなくなる。エモで勝負。
・Through the Community:ファンの周囲のトライブまで届く施策を練ろう。
3. ファンべースは何からどう始めるのか?
・ファンミーティング:ファン同士で語って深い濃い内容を聞き出そう。

私は都内でUI/UXデザインをやっていますが、やっぱりデザインを通して誰かが喜んでくれて、好きになってくれてというのが大好きで仕事をしています。その「好き」の究極体がファンだと思いますので、ファンベース施策も踏まえて、今後も精進していきたいです。

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