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言葉にすることで、人を動かす。〜「名付ける」のパワー:後半〜

前回のお話はこちら👇

りさ:言葉は人を動かすって話、面白いですね〜!

なんぼー:面白いよね。「言葉をつくること」ってパワーがある。さっきまでの話からさらに「人を動かす」ことに貢献したことばの事例もあって。

りさ:名付けるってすごい…!

なんぼー:例えば「ググる」って言葉あるじゃん。

りさ:あー!

なんぼー:りさちゃんは頭がいいからもうわかったかもしれないけど。

りさ:言葉になったブランドは強いですね。

なんぼー:そうだね。さらに言うと、「行動の動詞化に組み込まれたブランドは強い」かな。

りさ:ほうほう。

なんぼー:でも、りさちゃんが考えたとおり、動詞化したブランドってめっちゃ強いんだよね。「LINEする」「ふぁぼる」「ポチる」とか。あと最近だと「しまパト」もあるね。

りさ:しまむらですか?

なんぼー:そうそう。しまむらって、プライベートブランドもあるけど、輸入品も沢山置いているお店だから、商品の種類が多いし、それぞれ同じ商品が大量にあるわけでもないし、入れ替わりも激しいんだよね。だから、掘り出し物を見つける楽しさがある。

りさ:確かに、しまむらは掘り出し物を探すお店ってイメージあります。

なんぼー:掘り出し物を定期的に探しに行くことをユーザーが「しまパト」って言いだしたんだけど、この言葉を公式も押し出していて、言葉として定着してるんだよ。

りさ:instagramのハッシュタグでも沢山投稿出てきました!

なんぼー:「しまパト」みたいに、動詞化されるとものすごく強いよね。「検索する」と「ググる」は違うしね。

りさ:検索するといえばグーグルですもんね……!

なんぼー:そうそう。行動に組み込まれると、その行動をするときに自然とそのブランドを選んじゃうんだよね。

りさ:は!!!!!

なんぼー:どうしたの?

りさ:話が飛躍しちゃうんですけど、私ダイエットしている時、まさに「いきなりステーキパトロール」してたんです。まさに定期的に通ってて。それで「肉マイレージ」っていうの貯めていて。

なんぼー:肉マイレージ、僕も貯めてたな。確か昔は……

りさ:来店回数じゃなくて、食べたお肉のグラム数を蓄積していけたんです!それが面白かったんですよ。

なんぼー:「累計300kgも食べてる!」とか、貯まっていくこと自体が楽しめる仕組みだったよね。

りさ:そうなんですよ。回数じゃなくて「グラム」に変えるだけでこんなに面白いんだと思って。

なんぼー:「言葉」というよりは切り口かもしれないけど、「何を可視化して楽しんでもらうか」と言う意味では一緒だね。面白いな。

りさ:そうなんです。でも、いつのまにか来店回数でポイント貯める形式になってて…

なんぼー:それ、撤回してまたグラム数に戻ったらしいよ。

りさ:えー!そうなんですか!

なんぼー:同じ特典が戻ってきたわけじゃないけどね。ただ一回離脱しちゃったわけだし、これでどれだけの人が戻ってくるかは未知数だけど……!

りさ:そうですね。私も、そもそもこのお知らせを全然知らなかったですもん!

なんぼー:牛といえば、最近言葉の力を感じたのが「和牛一頭買い」っていうことばで。

りさ:牛……!肉……!聞いただけでお腹空いてきました……。和牛一頭買いって高級店のイメージ……!

なんぼー:そういうイメージあるよね。だけど実際、あんまり消費者側に意味のある言葉ではなくて。

りさ:えー!

なんぼー:「和牛一頭買い」って、言葉通り、お肉をパーツに分けずに購入して仕入れているって意味で。一頭買いをすれば、パーツに分けずに買うから中間コストを省いていい肉が買えたり、いろんな部位を一気に買うことができたりできるんだって。

ただ、最近はパーツ売りも進化していてそのメリットも薄れていたり、そもそも一頭買いだと肉の良しあしがパーツ売りより見分けにくい問題もあったりするらしい。

りさ:そうなんだ。

なんぼー:だから、特に「和牛一頭買い」でも、消費者に大きなメリットがあるわけではない場合が多いんだけど、なんか聞いただけで「お肉にこだわってるんだ」と思っちゃう絶妙なワードだよね。

りさ:思っちゃいます。お腹まで空いちゃってます。

なんぼー:同じようなことばで、マッサージ業界に「肩甲骨はがし」っていうのもあってさ。あれって実際に肩甲骨をはがしているわけじゃなくて。

りさ:はがしたら死んじゃいますよね……。

なんぼー:実際は、肩甲骨周りの硬くなった筋肉をほぐして、本来の動きを取り戻しているんだけど、「肩甲骨はがし」って言われると、ものすごいことをしている気持ちになる。

りさ:確かに。気になってました。インパクトがすごいですよね。

なんぼー:こういう風に、なんてことないモノやコトを、インパクトのある言葉で語ることで、言葉の受け手に強い印象を与えることもできるという事例だなと思ったよ。

りさ:すごいパワー。

なんぼー:そうそう。

りさ:でも、ちょっと怖くなってきました。

なんぼー:まさにそのとおり。それが行き過ぎた例もあるよね。今って最上級表現がカジュアルに使われるじゃない。「神」「前人未到」「最強」とか。

りさ:私もすぐ「最高!」って言っちゃいます!

なんぼー:そういう言葉があふれる中で、よりインパクトのある言葉で表現していこうとする流れはわかるけど、いきすぎると、疑似科学とかデマになっちゃうから。

りさ:強い魔法だからこそ使い方には注意ですね。

なんぼー:まさにそうだね!良い魔法を使っている人たちをリスペクトして、自分たちもうまく使っていかないと。

りさ:言葉の魔法を受け取るときも、使うときも、本当に意味がある言葉なのか考えるのは、令和の人たちに必要なスキルなのかも!

なんぼー:確かにそうかもしれないね……!

りさ:私も他に面白い言葉の魔法があったら、また共有してお話します!

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