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A先生は結婚したんだろうか。

もうすぐ元号が新しく切り替わる。という事で地域に根差したニュースとして取り上げられるんだろうなと思う二つの事柄についての話をしようと思う。

新元号最初に提出される出生届と

婚姻届についての話。

個人的に婚姻届については「元号が変わろうが変わるまいが、別れるヤツはすぐ別れるだろうよ」とひねくれた観点でものを見る癖があるんだけど、

それをいさめる人格もそれなりに存在していて「いやいや、こういう節目があるからこそ、大きな一歩を踏み出そうって決意が固められる人もいるんだよ」という意見を引っ張り出してくるので、私の脳内はかなり混沌としていて心地が悪い。

というよりもまず、婚姻届も出生届も私の生活には何の関係もないんだよな。

私が役所ですべき事はそういった手続きに関する事ではなくて、税務課職員と親しくなって節税対策を聞き出す事だよ。

こちとら個人事業主だもん。節税だよ節税。

それ以外にないよ。

そういえば5月頭は、やっぱり婚姻届の殺到に備えて窓口には多目に職員を配備するって言ってた自治体もあったようななかったような。

役所も大変だな。と思いながらも、

やっぱり自分には関係がないので別の話をしたい。

言ったそばから別の話て。

具体的には高校時代の体育教師、A先生の話をしようと思う。

身近な人間関係の中から結婚報告が飛び出す度に、私がふと思い出してしまうのがこのA先生の存在である。

彼は若い頃、当時交際していた彼女にプロポーズしようとしたものの、タイミングを逃してしまったせいで結婚に至らず、

そのまま有耶無耶になって別れた結果、ずっと独身でいる事を大きく引きずっている中年男性だった。

あの日あの時君に言わなかったせいで、今も明かりが点いていない家に帰っていると憂えていたのだった。

「いいか、タイミングは逃すな」と保健体育の時間に熱弁していて。

なんなら男子にデートでの気の回し方をレクチャーし始める勢いだった。

男はさりげなく車道側を歩けとか真顔で話していたのである。

保健体育の授業中にやで。

授業が潰れるのは万々歳だったから割と真剣に耳を傾けていたけれど。

A先生の声には哀愁が漂っていたので今でも印象に残っている。

タイミング。

人生はすべてタイミングで出来ている。

新元号というタイミングに背中を押されるカップルはどれくらいいるんだろうね。

新元号のおかげで新たなスタートを切れる人もそれなりにいるんでしょうな。

そもそも新元号ならず。

誕生日もクリスマスも大晦日も正月も

何だかんだでタイミングのために存在しているような一面があるじゃん。

ならばどこまでも託つけて、利用しない手はないじゃん。

毎日が記念日みたいなものなんだし。

ほら、Yahoo!JAPANで「今日は何の日」って出てくるじゃん。聞いた事もない記念日とか出てくるじゃん。

4月12日はパンの日なんだってさ。

てか毎月12日はパンの日に制定されてるんだってよ。

今日12日だね、うまいパンでも買いに行こ。とかサラッと言えたら素敵だと思うんだけど、これって私だけかしら?

私だけか。

まあいいんだけどさ。

でもさ。A先生の話だってさ。

例えばプロポーズがうまいこと運んで結婚してたとするじゃない。

でも結婚したらしたなりに何とも言えない苦労とか発生してたと思うのよ。

何なら保健体育の授業中に愚痴を溢してた可能性だって否めないワケだよ。

実際いたもん。日本史の先生とかめちゃめちゃ愚痴溢してたもん。

自分の嫁の事「同居してる女」って言ってたもん。

普通に「嫁」でいいだろ。なんだ「同居してる女」って。

文字数増やすなよ。

独身が既婚者を羨ましがったり、既婚者が独身を羨ましがったり、そういう状況に何度も立ち合った経験はあるけれども。

最終的に私が行き着くのは、いつだって「健康第一だよね」って事。

独身も結婚も、健康じゃないとやってられないでしょ。

体調を崩して、全く起き上がれなくなった時期があったからこそ言える事だけど。

今この瞬間、自由に動かせる身体があるってだけで本当に大きな資産だなあと感じている。

だからA先生がどこかで結婚してればいいなとは特に思わないけれど、

今日もどこかの学校で元気に働いていればいいなとは思う。

それだけの話。

新元号入籍カップルにも、余計なお世話だけど同じことを言いたい。

身体は資産だから。

相手にとっても資産だから。

是非ともお互い労っていただきたいなって。

そう思いました。


ーー〈以下、補足。〉ーー

ところで。

男はさりげなく車道側を歩けって言葉がさっき出てきたじゃない。

あれ、させるの苦手な女もそれなりにいるって話をちょっとだけして終わりたい。

例えばウチの母親なんかは結婚前、

三人くらいの男性と昭和の香り漂うプラトニックな交際を経験したらしいんだけど。

皆それなりに気遣い上手で。

やっぱり車道側を歩いてくれたり、そういうレディーファーストが発生したんだって。

でも「道幅が狭くて歩きにくかった」とか言うタイプの女なんだよ。ウチの母親。

もちろんあの、プレゼントとかもね。

デートの度にさりげなく渡されたりしたらしいんだけどね。

「これ以上貰ったら逃げられない」っていう、得体の知れない危機感を覚えるタイプだったから長続きはしなかった。

お姫様扱いが苦手で。

男性とは対等に渡り合いたいって思うタチだったから続かなかった。

そんなウチの母親が結婚した男がどんな男だったかって言うと。

タイトスカートにハイヒール姿の母を、その場の思いつきで蔵王山の御釜に連れていくような男だった。

空気読めよ。

少しは気を遣えよ。

相手の服装くらい見なよ。

ハイヒールで蔵王山行くヤツどこにいるんだよ。母ちゃん浮いたわ。

なんなら凍えたわ。

婿入り道具の車もさ。ローン組んでたの発覚してさ。

最終的に一括で支払ったの母ちゃんだからね。そう聞いてるよ私。

めんどくさいから一回で払え!って。男前かよ。

そんな感じで紆余曲折あったけれど

それでも今日まで別れなかったから、奇跡だと思う。

…、

はあ。

この世は不条理だねミスター。

とりあえずウチの親父は気疲れした現代社会に謝った方がいいな。

私は空気ヨメオの娘です。はい。

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