見出し画像

【ナニWAA!セッション第19回】レポート

〇開催日時
2022年2月10日(金曜日)19:30~21:30
〇テーマ
ウェルビーイング経営の実態~縁ある人の幸せを考えて取り組む企業経営とは~
〇登壇者
・中西 栄仁さん(株式会社フロンティアホールディングス代表取締役)
〇モデレーター
・黒野 正和さん(株式会社ラシク代表取締役。ナニWAA!メンバー。JPPI認定ポジティブ心理学トレーナー。キャリアコンサルタント。)

今回は「センチュリー21」の加盟店で、昨年、センチュリー21内で件数で日本一、そして今年は総合売上で日本一になった創業14年目の株式会社フロンティアホールディングス代表取締役の中西栄仁さんをお迎えして、ウェルビーイング経営の実態についてお話を伺いました。
モデレーターは株式会社ラシクの黒野正和さんです。

縁ある人への価値ある貢献と、全従業員の物心両面の幸福の追求。
中西社長
フロンティアホールディングスでは経営理念に「幸福」という言葉が入っています。経営理念にもっともこだわる会社であり、経営理念を体現することが会社の事業目的ということを全社員に公言し、新卒採用をするときも全面的にこの経営理念を打ち出しています。
社員数が200名を超え、この「幸福」が曖昧になってきた時にどうすればこれが体現できるか心理学などさまざま学びました。その中で稲盛和夫さんの「企業の目的は社員の幸福の追求以外にない」という言葉に導かれ、たどり着いたのがポジティブ心理学の※PERMA理論でした。
ビジネスを通して売上を上げるプロセスの中でこのPERMA理論を満たし、仕事のやり方もPERMA理論に則って設計しています。

取り組みの一例
・4回の社員旅行(表彰式)
・内定者研修、合宿、アルバイト
・目標はノルマではなく自分で設定
・3ヶ月に1回フィロソフィー研修
・日報に上司、同僚が毎日コメント
・サンキューレター 5000通/月
・各店舗、部署に飲食代の支給
・心理学研修(人間関係、営業、マネジメント)
・成果に全社で賞賛するシステム
・学生のお役に立つインターン
・時間をかけたマッチング採用
・成長の舞台を準備(事業・店舗展開)
・外部研修補助制度
・経常利益の25%を賞与で還元
・3ヶ月ごとの評価会議と評価面談
・お菓子を食べながら日本一を実現・・・などなど

※PERMA理論 ウェルビーイング(心身ともにいい状態)の5つの要素の頭文字を取ったもの。 
Positive emotions:ポジティブな感情
Engagement:物事への積極的な関わり
Relationship:人間関係
Meaning:人生の意味や意義の自覚
Accomplishment:達成

黒野
最初は物心両面の幸福を経営理念で掲げられていてその時から幸福を追求されていましたが、途中でPERMA理論に切り替わったのはどのタイミングだったんですか?

中西社長
新卒採用を始めた頃です。明確に打ち出したのは1年前。私は成果思考で達成して幸福を得るタイプだったのですが、自分の常識が当てはまらなくなりました。特に高学歴の新卒者が入社してきて悩みだしました。分かりやすく幸せを伝えるにはどうすればいいか。自分が幸せというものを分かっているのか。そこで勉強した結果たどり着いたのがPERMA理論です。

黒野
PERMA理論にたどり着いた時、伝えていこうという第一歩目はどんな風に入られたんですか。

中西社長
そのまま、いきました。先ず社員研修で行うのは経営理念の確認です。幸せとはこうなんだ、僕達の的は永続的な幸せを得るのが人生の目的なんだ、と。新卒採用の選考時に最初「皆さん人生の目的は何でしょうか」と入り口から人生の目的、幸せの追求から話すので結構みんなすぐ入ってこれたと思います。30分ぐらいかけて説明するのでわかってくれてるはずです。

黒野
それは会社説明会の時ですね。元々いらっしゃった社員さんに対してPERMA理論を説明された時の社員の方の反応はどうでしたか。

中西社長
うちはそういう社員しか残ってません。違和感があったらうちの社員じゃない(笑)。14年間言い続けているので「NO」の社員は残ってないと思います。

ここで、先ほど例にあげた16の取り組みを参加者の方にアンケートで回答していただき、回答が多かった3つの項目についてお話しいただきました。
まずはこちらについて(^^♪

お菓子を食べながら日本一を実現
中西社長
なぜかね普通に社内でお菓子を食べる文化がありまして。会議でも研修でもたいがいお菓子を食べながらやります。なぜそうするかというと、あまり緊張感が好きではないんです。緊張すると言いたいことも言えなくなりますし。常にプライベートと同じ精神状態を社内で保つということを心がけてます。基本的は極度に緊張をなくそうとする会社ですね。幹部会議でも一緒です。ただ、成果が出ているのでこれは間違いじゃないと思います。

黒野
導入のきっかけは、気づいたらそうなってたのか、社長が率先してそうだったんですか。

中西社長
私がお菓子好きなんで(笑)。たいがい、僕が食べて配る・・・、それが普通になっていったんです。緊張感も大事ですが、適度に緩んだ方が言いたいことを言えます。社内環境、職場環境が大事です。いかにプライベートと同じ精神状態で職場にいられるか、その一環がお菓子を食べながら、ということです。

黒野
不動産って本当にこうノルマノルマっていう印象がありますよね。先ほど、ノルマではなくて目標は自分で設定っていう項目もあったんですけれども、これはどのようなお考えなんでしょうか


目標はノルマではなく自分で設定
中西社長
まず、やらされてる感でやってもそんなにいい行動はできない。僕は営業会社しか勤めたことがないんですが、ノルマで縛って怒り散らしてガチガチに圧を与えても何も出てこないということを身を持って知っています。やればやるほど社員がウソをつきます。何のための働くかと言えば幸せのためなんです。どういう人生を歩みたいのか、どうありたいのか、自分のなりたい姿に必要な目標設定を自分で立てなさいと言っています。その立てた数字に対して結果も負わない。部長も同じです。私の知ってる限りの会社では部長も数字に縛られて何としてでも達成しないといけないという圧の中で生きているんですが、結果に対して部長にですら責めない。目標達成した時にあえて檄を飛ばします。経営理念の中に「社員の幸せの追求」というのが入っていますのでノルマを課したからといって誰も幸せにならない。どうすれば幸せになるかという逆算です。ですから、効果のないことはしない、ということです。

黒野
とは言え、ノルマを示さずに個人目標とすると、普通は楽したいな、と低め低めで設定すると思うんですけど心配にならないですか。売上はある程度は上げないことには事業は存続も発展もしないと思うんですが。

中西社長
会社がどういう目的でやっているのか、会社はどういう状態になればみんなが幸せになれるのかというのを日々言い続けるんですね。そのために個人がどう動くか、自分で考えてもらうということですね。だから、楽をするとか仕事に対して意識が薄いとかそういう社員はまず、雇わないです。入ってきてもすぐに辞めると思います。自分の成長を持って、縁ある人を豊かにしていくというのが経営理念の中に入ってますので、これにYESの人材をいかに採用していくか。中途も同じです。ですから弊社は働き者ばかりなんです(笑)。ほっといても働きます。何のために働くかということをみんな意識してます。どういう自分になりたいのか、そのためにはどうするのか、これが幹部、メンバー1人ひとりが考えています。それの集合体です。私がいちいち言わなくても全然大丈夫です。

黒野
ポジティブな時に檄を飛ばすとおっしゃいましたが、良い成果を上げている時に「檄」というのは、褒めるのか厳しく言うのかどちらですか。

良い時にあえて欠点・足りないところを言った方が効果的
中西社長
意識しているのは、良い時にあえて欠点・足りないところを言った方が効果的です。心理学的にもそうです。数字が落ちてる時は誰も分かっているんです、部長であろうが新卒1年目の子であろうが。だからそのタイミングは考えています。うちのリーダー陣はそれが分かっていると思います。

黒野
先ほどの言葉で印象的なのがやればやるほどウソをつくとおっしゃってたんですけれど、最近よく話題になってる心理的安全性の高い組織、低い組織で言うと、心理的安全性の低い組織で表面上の数字が良くても、結局水面下では悪化していくというところに気づかれてると思うんですが、気づかれたきっかは何かあったんですか 。

中西社長
実体験です。実体験を心理学やマネジメントを学ぶ上で確信に変わったという感じです。

黒野
どうありたいのかっていう、まず自分っていうところを本当に尊重されていると思うんですけれども、フロンティアの社員さんはどうありたいのかと、問われた時になかなか答えにくいんじゃないかと思うんですが、実際どうなんでしょうか 。

中西社長
うちの社員は堂々と答えるんじゃないんでしょうか。先ずは自分の価値観を明確にして、その後どうなりたいのかビジョンを明確にして目標設定して計画を立てて実践していく文化というか、そういう研修をずっとやってます。新卒は選考の中でそういうものを入れてますので、恐らく当たり前です。

黒野
選考は10次選考ぐらいかけてされていて、入社する段階で既にもう仕上がってると伺ったんですが、選考ってどんなことをされてるんですか。

選考は10次まで。入社時には既に社会人以上の仕上がりに
中西社長
最初にざっと会社説明を20分ぐらいして、その後の私がいきなり出て30分経営理念の話をします。まずは人生の目的から話し、弊社が取り組んでいる内容をそのまま話します。割と極端な話をしますので、だいたい8割ぐらいがそこでいなくなります。残った2割の学生と向き合うという感じです。2次選考なると、今度は店舗に来てもらってそこで社員と触れ合って、情報を与えてこの会社でのマッチング度がどれくらいかというプレゼントをしていただきます。それで残った学生には店舗に通い、10日後、家を売ってもらうというミッションを与えています。何なら10日間朝から晩まで会社にいてもいいよ、と。そこで営業同行も全部連れていくんです。学生が欲しいものは全部提供する。そこで会社のことも分かるし、ほぼ大半の社員とね接することになるので、そこでまたロープレで試験をします。その後を合宿するんですね。今はできないですけど1泊2日でうちの幹部社員と丸2日ミッションをクリアするために合宿をして。まだそれで3次かな。4次選考になると私とトレーナーが行うフィロソフィー研修に1日参加させます。研修に参加させて丸1日うちの考え方を1日中しゃべります。5次選考になると、周りの大切な人から。エールシートという形でフロンティアに入るにあたってエールを送ってもらいなさいと。大切な人5人に。それを持って最終面接。これが5次なんですけど、その間にWebで面接かもしくは対面の面接を挟んでいきますので、だいたい、9次選考、10次選考ぐらいまであります。

黒野
間あいだにポジティブ心理学的な要素も入れられてるなと思いました。エールを送ってもらっていうところも、それをやってもらうと繋がりっていうところはPERMAでいうところの“R:リレーションシップ”というところも感じられます。合宿でまだ4次選考ってすごいですね。

中西社長
たいがい学生は泣くんです(笑い)。やりきって感動で、ですかね。何でここまでやるかと言いますと、理念経営なんです。弊社が大事にしてるものを同じように大事にしてくれる学生を採用しないといけないので、ここまでやるんですね。入り口で間違うと研修では取り返せないんですよね。同じような価値観を持った子を入れないと言葉が通じない。とにかく価値観の共有ができるかどうか。価値観が一緒であれば入社してからのマネジメントが楽なくなんです。何言っても大丈夫です。だから採用にものすごく時間をかけるんです。で、採用したからといって、価値観が同じだからといって、うまくいくかと言えば全部が全部うまくいきません。そこを研修でやっていくんです。それを徹底している会社なんです。

黒野
まさに、最近パーパス経営とか理念経営とかという言葉が流行ってます。それをドンピシャでされていて、実態もそれについてきてるということなんですね。価値観が合う人をということですが、一方で同じ価値観、似たような価値観の人ばかり集まると、多様性がなくなるんじゃないかなっていう心配もあるんですが、それはどうなんでしょうか 。

中西社長
全然関係ないです。人はそれぞれ違います。価値観というのは多様性が要らないんです。答えになってないかもしれませんが、人って違うんです、同じ価値観でも。ほっといても人は違う発想をするんです、仕事上で。違う角度から考えます。ただ、根っこの大切にしているもの、企業が大切にしているもの、社員が大切にしているものを共有しないと、絶対うまくいかない。これは信念を持っています。

黒野
ありがとうございます。エールというお話もありましたが、合宿で泣くという話ですけれども発表するまでに学生さんが各店舗に訪問したり、その店舗の社員さんがまた応援しに合宿の場に現れるみたいな話を伺ったんですけれどもその辺りお聞かせいただけますか。

中西社長
課題を与えて学生がクリアするために社員が協力するんですね。協力してそこに人間関係が生まれますし、そこで価値観が違っていれば学生が気づくんです。ですから、うちの選考は落とす選考ではなく、自ら辞退していく選考なんです。社員と一体感を持ってクリアして選考を乗り越えていく。だから合宿の時なんかは難しい課題を与えるです。それを寝ずに社員と学生でクリアしていくので、そこで友情が生まれる、お互いいい意味での感情が生まれます。それでも生まれない学生は生まれない。だから、分かりやすいです。だからものすごい時間をかけてやっている。だから最後にこれが感動に変わるんです。ただ、その時の感情だけで決断させるということはさせないので、一旦、冷やします。現実に、本当にそうなのか、と。採用チームが「まだこの学生は完全ではない」と思ったら、あえて他社を受けさせます。いくらものすごくスペックの高い人材であっても。他社を見た上でフロンティアと比べるように考えさせます。入りたいと言っている学生を突き放す会社なんです。ちょっと変態会社なんです(笑)。ほっといたら1400人ぐらい集まるんですが、能力と共感だけで採ろうと思えば70人ぐらい採れます。それをあえて理念の共感にこだわりぬいてやって20人ぐらい採用します。簡単には採りません。

黒野
何ができるかというよりも、誰とやるかが大事ですね。

中西社長
価値観が会社と同じというのは圧倒的に幸せになりやすいんです。お菓子の話になりますが、普段会社にいて精神状態がプライベートと変らないというのはそれだけで幸せなんです。だからPERMA理論に則りながら、どうすれば5つの要因を満たせるのか、それを実際やっていることに結び付けて実行しています。まだ完全ではないですが。

黒野
先ほど、難しい課題を学生に課すということでしたが、どのような課題なのでしょうか。

中西社長
最近課題で出しているのは、10年後、フロンティアで活躍している前提でそのプロセスをドキュメンタリー風にリアルで演じなさい、というものです。社員も含め6人チームぐらいで。いろんなことを考えて演劇しています。

黒野
プライベートと社内での精神状態を同じに、という話が出ましたが、社長と社員の距離が近いと思いました。体調を崩した社員には毎日電話されたり、社長の奥様からもサポートされたというお話をうかがいましたが・・・。

中西社長
一人暮らしをしている社員に限りますが(笑)。

黒野
一社員が体調を崩しているという情報はどこから上がってくるんですか。

日報に上司、同僚が毎日コメント
中西社長
日報を全社員で共有してるんです。どの社員がどういう行動をしているか、感想も見れます。全社員140名分の日報を見ています。休みも全社員で共有して見れます。体調が悪いくらいはすぐにわかります。

黒野
「日報に上司、同僚が毎日コメント」ですね。上司だけではなく同僚の方も見れるんですね。

中西社長
誰がコメントしてもいいんです。やはりPERMA理論で言っている、承認されるということが非常に大事。誰かが契約を取った…例えばサッカーであればゴールを決めたであれば、全店舗に大きなスクリーンがあるんですが、そこに写真付きでどういうことをやったかを音楽付きで流すんです。旅行もそうですが、3ヶ月に1回、年4回表彰する、みんなで大賞賛するというのを心がけてます。これも幸せの一つです。

年4回の社員旅行(表彰式)
黒野
求職者支援をしていて「社員旅行に行きたくない人」と質問するとほぼ全員が手を挙げます。でもフロンティアの社員の方は喜んでいってらっしゃるんでしょうね。

中西社長
もともとは年1回の日帰りのバスツアーでした。僕自身は社員旅行は地獄でした。社員旅行なんか絶対行きたくないと思ってました、ろくなことがなかったので。当然社員は行きたくないものだと思ってたんですが、新卒1期生の社員から、友達のように「社員旅行行かないんですか」と話しかけられまして…(笑)。そこから行くようになったんですが、行く限りは何か意味を持たせたいと思い、4半期ごとに表彰を兼ねていってみてはどうかと考えました。そこで四半期の成績を残した社員には思いっきり賞賛しようと。宴会を5時間+2時間、合計7時間するんです、表彰式を含めて。旅行の目的は3つあります。1つはできた社員は賞賛、2つ目は思うような3ヶ月を過ごせなかった社員はこの旅行を持って忘れる、3つ目は普段関わりの少ない人との交流とかしゃべりたい社員との交流、です。無理やり飲ませたり、歌わせたり、芸をさせたり、強制なことは一切排除してます。狙い通り、交流は広まりますし、社員も悔し涙を流したり、嬉し涙を流したり、酔ってうっぷんを晴らしたり。でもコロナで2年旅行に行けていないんです。行けなくなって初めて社員旅行が有効だったんだとわかりました。社員がそう言ってます。

黒野
社員旅行に行けてないひずみはどのようなところで感じているのですか。

中西社長
新卒が入ってきた時に他店舗との交流が薄いんです。研修はするんですが、研修だけではなかなか距離を縮められません。年4回行くことによって全社員と交流ができてたんですが、新卒は店舗の限られた人間としか深い交流を持てないです。私自身も社員1人ひとりとちょっと薄くなっていると感じています。どんなことがあっても今年の4月は行こうと思ってます。

黒野
社長と社員との距離感はよくわかるんですが、他店舗との交流は日常的に仕事の関りがないのであれば影響はないと思うのですが。

中西社長
他店舗というより他部署の方が大きいです。人間関係を良くすることによって一番の企業にとっての利益はコミュニケーションです。コミュニケーション取れることによって仕事が効率化します。いろんなアイデアも出ますし。今、リフォームとFPと不動産と自動車と連携してやってるんですが、これはうちしか出来ないんです。他部署が仲良く連携をとってお互い協力し合うのはなかなかできないです。それはこういった会社の細かい施策が実ってきていると思います。その中でも旅行で丸2日、7時間も宴会をすると結構好きなことも言えるようになります。他店舗との交流が無くなると技術的な情報が横のつながりで回らなくなる。仲良ければうまくいったことを共有できるんですが、個人で止まってしまうんです。他店舗もそうですが、他部署の繋がりは大きいです。

黒野
元気をなくして居場所がない社員にその人に適した部署を起ち上げるという話も伺いましたが。

成長の舞台を準備(事業・店舗展開)
中西社長
成長をすればそれなりの舞台が必要になります。それは儲かる儲からないは別にして作りにいきます。社員と約束してます。成長した社員の数だけ拠点と部署を作ります、と。当初は営業職しかない会社だったんです、営業ができなかったらほぼ終わりでした。それを克服するために創った部署が結構当たるんです。救済のために作った部署が結構活躍してくれて、今の形になってきています。儲かる儲からないじゃなくて、経営理念をどう体現するかを軸にやった方がいい結果が出ます。

黒野
この人にはこれが合う、というのはどうやって生み出すんですか。

中西社長
もともと不動産業なのでやれることは何個かしかない。その何個かを何が合うのか無理やり作ってます。本人には大義名分があるように話しますが、実際は救済が多いです。でもほとんど外したことがないです。社員には救済されているという自覚はないと思います。「お前、営業ができひんからこの部署をつくった」とは面と向かって言いませんから(笑)

黒野
ぜひ皆さんに聞いていただきたいことがあるんですが、実際に社員さんはどんな人がいるのか、どういう心持ちで働いているのか。社長さんはこんな思いでやってるけど社員さんはどうなの?と。

フロンティア社員の有馬さん
最初に選考でフロンティアにきた時はこんな会社あり得ないと思いました。全部社長が話してることはウソなんだろうと思っていました。でも全部会社を見せる。それだけこの人たちは自身があるんだろうなと思いました。何よりも私の決め手は一学生にものすごく真剣に向き合ってくれたこと。全員が入社するわけではないし、全員が合う会社ではないのに、インターンシップにしろ、選考にしろ、全ての目的が就活がいい方向に向けばいい。縁ある人への価値ある貢献を全うしてると思いました。私のことを知ろうと歩み寄ってくれました。全社員が会社のことが好きだし、社長の事も含めフロンティアの事が好き。なのでそこに貢献したい、恩返ししたいという一心で働いてると思います。実際に働いてみて、家のリビングと同じ状態で毎日楽しく働かせいただいてます。私は新卒採用なんですが、学生にも本当に楽しそうですね、と言われます。

フロンティア社員の森田さん
内定者の時に、1つ上の先輩や奈良店の部長と話しているだけでも楽しくてもっと話したい…と帰るのが遅くなりました。自分が求めてた会社ではなかってのですが、これぐらい人間関係がいい会社を理想としました。もともと軸は違いましたがフロンティアで働きたい、という思いで選考に入りました。自分から次の研修いかせてください、イベント参加させてもらえませんかとアプローチさせてもらえる会社だと。今思うと、あらためてすごい会社だと感謝しかないです。一番嬉しかったのは幼稚園の時からサッカーをしていたんですが、インターンの時に、中西社長がサッカーと同じ熱量を埋めれる仕事を見つけなさいと、言ってくださったことです。それがフロンティアに入る決め手になりました。自分自身、暇さえあれば働きたいと思います。でも休むところは休むというメリハリも大事です。それも働きながら感じたことです。

ここからは参加者のみなさんからの質問と中西社長の回答をご紹介します。

質問:中途採用の場合、どのような点に注意されていますか。
中西社長
エン転職です。たくさん応募は来るんですが、新卒みたいにマッチングは計れません。面接でいろんなことを聞いて、最長2ヶ月の試用期間で働いてもらいます。試用期間中にクリアしてもらう項目があるのでそれができた人間を正式採用しています。精度は新卒採用ほどではないですが、ある程度は見れます。正式入社できるのは5人に1人ぐらいです。でも入れてみないとわからないというところはあります。

質問:日報はどんなことが書かれているのでしょうか。何かフロンティアさんならではの項目はありますか。
中西社長
所感を結構書いてますね。項目は、今月、今期、今年の目標は入れてます。それが全社員にわかるように。誰がどういう目標を立てているかが全員分かります。この日報に対して上司は必須ですが、他の社員はしたければコメントできるんです。実は日報以外に「レター」というものがあるんです。「手伝ってくれてありがとう」とか「手助けをしてくれて助かった」とか。感謝が多いです。もしくは単純に「誕生日おめでとう」とか。契約があがっていれば「どうやって契約したの」とか。特に若者は感謝したりされたり、言葉によってお互いを高めあったり、なかなか言えないことをレターの換えてやると人間関係がスムーズにいきます。照れくさい相手もいるのでレターを使うと素直に伝えられます。面白いのが、月初に前月のデータが出るんですが、レターのやり取りが少ない社員は要注意です。孤独感があるのか、ちょっとふてくされてるかのか、理由があって参加してないと思います。なので、直ぐに面談します。

質問:ここまでに状態に来るには困難もあったと思います。最大のピンチをどう乗り越えたのですか
中西社長
うちの経営理念は原理原則なんです。私が考えたことではなく、個人が幸せになる原理原則、企業が繫栄する原理原則を2つ並べているんです。それを本気できちんとやっていけば、ないですね。もし困難に遭うとすればやってない。14年間これを示したのではないかと思ってます。いろんな葛藤はありますが、世間で言う経営者の苦労はないです。本当に従業員の幸せを追求していけば絶対に社員は応えてくれます。

質問:社長のこれからの夢、未来を教えてください。
中西社長
経営者としては全くないです。38歳の時に大病で死にかけてから、経営理念が自分の人生理念みたいなものです。今54歳なので、10年ビジョンで自分が全盛期の時に縁ある人が幸せになる仕組みを作りたいです。自動巻きで社員が幸せになれるような仕組みを作りたいです。キレイごとではなく、本気でそう思っています。

質問:社員さんに質問です。ぶっちゃけ、社長の最高なところと困っているところをお聞かせください。
社員の有馬さん
ないです…。あ、困ってはないんですが、すごく関係性が近い会社なので、社長とも恋バナをするんですが、私の男性の趣味が悪いらしく、それを日々ご指導いただいてます(笑)社長の最高のところは…。私は選考を通して入社させていただいて、ここまで言ってることとやってることが同じ方は初めて見たんです。日々、本当に楽しく働かせていただいているんですが、一言でまとめると…本当に申し訳ないんですけど…お父さんみたい…です。本当に全員を娘、息子のようにかわいがっていただいているので…甘えてます(笑)。

質問:社長の世代交代にはどのようにお考えでしょうか。
中西社長
65歳まではやりたいと思っています。あと、11年。この5年で後継者をはっきり決めて、プラス6年で完全にマインドも引き継ぐ。引継ぎしやすいように上場も視野に入れています。仕組みも作って、マインドはもっとも経営理念にYESの社員を次の代表にしたいと思ってます。11年かけてやろうと思ってます。

質問:万が一、配属後に人間関係がうまくいかなかった場合、どのようにされているのでしょうか。
中西社長
そういう場合は私が介入して、私が双方の話を聞きます。その後になぜこういう状態になっているのか、周りの話も聞きます。根本的に合わない場合もあります。そいう言う場合はどちらかを部署異動させます。話し合っていけるのであれば間に入ります。これはタイミングを逃さず、早く介入します。横のつながりが強いので、そういう情報はすぐに入ってきます。もう、ダイレクトに「誰々と誰々がうまくいってない」と。力関係がはっきりしている場合は弱い方は落ち込みます。そういうものは私の耳にすぐ入ります。朝聞いたら、昼にすぐ走ります、どこへでも。答えは、人間ですから合う合わないはあります。仕方ないのは部署異動です。なんとかできそうな場合は誰かが入ります。

黒野
部署異動された人は納得されるんですか。

中西社長
納得させます。しっかり対話します。これだけ人間関係の大切さを言ってる会社なので本人も申し訳ない気持ちがあるんです。職場の人間関係が悪ければ不幸だとはっきり言ってます。うちの経営理念に反するんですね。反することを自分がやってるんだという自覚があるんです。そこで部署異動を言われたら本人も反省しながら異動します。

質問:営業が主体の会社ならではの施策が多いように感じます。ITなどそもそもコミュニケーションが得意ではない人を巻き込むようなヒントなどがあれば教えていただけますでしょうか。
中西社長
営業以外のバックヤードはコミュニケーション能力は要らないと勘違いしてる方が多いですが、バックヤードほどコミュニケーション能力、人との連携が必要です。なので無理やりかかわる機会を設けてます。1人で黙々とする仕事でも必ず連携はある。ちょっとした行事を無理やり作りながらやっていけばいいのでは。営業だからというのは関係ないです。例えば経理と営業を旅行で結び付けていく。小さな理解が必要です。

質問:現在社員が140名くらいということだったのですが、規模が大きくなっても同じような経営を継続することができますでしょうか。恐らくできると思われますがそれには何か今と違ったことに気をつけないといけなくなるのでしょうか。
中西社長
まずうちの経営ビジョンが「中小企業的大企業の完成」ということを掲げている。このまま大企業になるんだ、社風を一切変えず大企業になるんだというビジョンを掲げています。特に幹部に共有しています。今、140名ですが、300名くらいまでは自信があります。恐らく300名を超えたら私はできなくなります。どうするかというと、部長クラスを私と同じ考え、同じ行動ができるように幹部研修に力を入れようと思っています。その研修というのは外部の会社にも協力してもらいながら、社員育成部もあるのでそこで自前でできるような状態に持っていきたいと思っています。自分の分身を作る。全く同じ考えを同じ行動をできる幹部をいかに創るか、そしてその思いを経営にジョンに換えて共有できるかこの2点だと思っています。
今は旅行もバス3台ぐらいで行っていますが、バス30台連なって年4回旅行へ行くんだっていうのをよく言っています。半分本気、半分冗談で。どこも受け入れできない、地方のホテルでは受け入れできないような人数で旅行へ行けたら面白いと。これは相当努力しないとこの状態を保つのは難しいと思っています。でもやらないと経営理念を体現しているとは言えないのでやります。

黒野
今を維持しようという考えではないんですよね。

中西社長
大きくするというか、必要なければおおきくになくてもいい。大きさにはこだわってないので。しかし、育成力があるので社員が成長していくので、自己実現の舞台は作らないといけない。経営理念が完全に拡張の経営理念。だから私の代が終わってもずっと自己実現の舞台を作り続ける会社である。物心両面の物心とは職場の環境とやりがいと経済。やはり経済を得ないと社員の幸せも半分。お金では幸せになれないが、お金というツールは絶対に持つべきです。経済を追求する、やりがいを追求する、こうなれば拡張するしかないんです。ですから、とことん行きます。僕がいかなくても会社がとことん行きます。

質問:若手社員の皆さまの活躍が素晴らしいなと思っています。よく最近の若者は…なんて言葉を聞くのですが、そのようなことは全く感じません。何が皆さまを引き付けていらっしゃるのでしょうか。
中西社長
経営理念を説明する時に社員に言うのですが、今の若者は貢献心がすごいある。これは私らの年代では考えられないぐらい、お役に立ちたいという気持ちがある。ただ、成長願望、何としてでも成長するんだ、こういう風に力をつけるんだという成長願望は私らの年代よりも薄い。何を言ってるかというと、お役に立とうと思えば力をつけないといけない。だから君らお役に立ちたいんでしょ、だったら力をつけるんだ、成長するんだ、成長と貢献はセットだと。それを言い続けてる。これは原理原則なんですが、縁ある人に自分の成長を持って貢献していけば必ず豊かになる。だから成長するんだ、と。で、その成長を持って貢献する。その貢献のプロセスで幸せを1つひとつかみしめるというか、PEAMA理論じゃないですけど、このプロセスに小さな幸せがあるんだと。この積み重ねが幸せなんじゃないかな、という話です。それを選考から言ってます。

質問:先ほど中途採用の方は5人に一人しか本採用にならないとおっしゃっていましたが、離職率はどうでしょう。長く働く社員さんが多いですか?出産や子育てとの両立は実現されていますでしょうか。
中西社長
実際、新卒が約6割5分ですが、出産はまだ1人です。新卒ではゼロで、中途で1人だけです。きちっと出産前と出産後でキャリアを分けて考えるように今、整備しています。出産後はオーダーメイドで働けるような環境を作っていってます。社員にもこういうようなものを作るんだと共有して、今、いろんな意見を集めています。簡単に言うとオーダーメイド。100人女性がいたら100通りの状況がある、100通りに合わせてオーダーメイドする、というものを作ろうとしています。新卒の離職率で言えば上場企業の約半分ぐらいです。想像すればわかると思いますが不動産業界って、まず、新卒採用なんてできないです。やっても1年で全員辞めてしまします。その中で3年で15%切るぐらいです。ゼロを目指しているんですが、なかなかそこまではいかないです。中途も去年久しぶりにまた始めました。まだ、データは出てませんが新卒ほど離職率は低くないです。去年の秋ぐらいから採用している社員は辞めていないですね。まだ、うちの会社は完ぺきではないので日々、改善です。偉そうに言っているように聞こえるかもしれませんが、毎日葛藤です。どうしたら良くなるのか、それの積み重ねです。完璧だとは全然思ってません。これからも挑戦です。

最後に…自分から発信し、諦めることなく、現状を変えて良い人生を
黒野
これで完璧だと思うと成長も止まってしまいますよね。だからこそさらに成長していかれるんだろうなと思いました。では、最後に社長から一言お願いします。

中西社長
自分の望む現象を作るのは自分です。お勤めの方は会社がこうだからこうなってしまっているというのではなく、自分から発信して現状を変えていくつもりじゃないと人生良くなりません。経営者の方はフロンティアが特殊と思うのではなく、自分でこういう世界を作りたいのであれば作ろうと思わないと作れないと思います。まずは「こうしたいんだ、こういう現象を作りたいんだ」と思うことが大事です。諦めずにやっていれば思うような現象が現れると思います。今回こんな機会をいただいて偉そうにしゃべらせていただきました。この縁を大事にしたいので、皆さんもこれを縁にして今後頑張っていきたいです。仲良くやりましょう。本日はありがとうございました。

中西社長&くろちゃん


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?