参院選:自民党比例区候補者・山田太郎氏は、表現の自由を訴えるが、緊急事態条項に積極的に賛成する(1/3)

マンガの表現規制問題が以前から存在している。これに対抗する政治的・社会的運動の一つとして、マンガ家の赤松健 氏らのロビー活動が有名である。

政治家の側から有力なプレイヤーとして、山田太郎 前参議院議員がいる。コミックマーケットなど大規模な同人誌イベントのときに、国際展示場駅前ロータリーで演説をしている姿は自分も幾度か拝見したことがある。

山田太郎 氏は現在下野しているが、今回の第25回参議院議員通常選挙に、自民党比例区から立候補している。やはり「表現の自由を訴える」がスローガンである。

表現の自由を守る
今回の選挙、まず「表現の自由を守る」をスローガンに再選を目指して立候補させていただきました。(決意文 | 前参議院議員山田太郎 公式サイト

表現の自由というのは自分にとっても重要な問題であり、現場でロビー活動や法案審議など、面倒でテクニカルな問題に関わっておられる方々には敬意を表したい。

しかし、批判的な意見も見かける。たとえば:

仮に第一の前提、つまり山田太郎氏が表現の自由を守るために非常に信頼できる、それこそ英雄的な人物であることを事実であると仮定してもなお、氏への投票を通じて自民党へ投票することは表現の自由にとって危険であるということです。(残念ながら、表現の自由を守りたいなら山田太郎に投票すべきではない : 九段新報

自民党そのものが表現の自由を抑圧する方向に動いているという現状では、山田太郎 氏一人がそれを覆すことは難しいのではないか。現与党内のインサイダーとしてたたかう、違う意見のメンバーを一人でも送り込む意義はあるかもしれないが、けっきょくちゃぶ台を返されてしまって終わるのではないかという意見である。たしかにこの見解には一理ある。

しかしいまの自分は、この批判を十分に検証できてはいない。山田太郎氏の実力や実際の活動をそこまで緻密にフォローしているわけでもないからである。

そのようなことをTwitterでつぶやいていたところ、次の動画を紹介してもらった。山田太郎氏のYouTube公式チャネルの配信である(【第346回】「個人名の投票は政党への投票!?」「党議拘束どうする?」山田太郎に何でも質問DAY!【山田太郎のさんちゃんねる】)。

多数の配信をYouTubeで行っておられ、全てをチェックすることはいまの立場では難しいのだが、紹介していただいたこの動画の途中で、少しだけ気になるポイントがあった。

それは、緊急事態条項に関する、山田太郎氏の見解である。気になったのは、見解そのものの内容というよりも、むしろ論理の展開に関わる部分である。これについては、項目を分けてみたい。