Siriを使う広島の霊

2019年08月初旬の猛暑日 世田谷区のネパールカレー店でめしを食ってたら 女子大生らしい二人連れが入店 後ろの席に座って食事しつつ雑談をはじめたのが 聞くともなしに聞こえてくる

どうも高校時代 修学旅行のときの話らしい 広島の原爆ドームの前のホテルに泊まった ホテルは原爆ドームの真ん前で 浴場の窓にもほとんどドームしか見えない 

一行は日中に原爆資料館を見学していた 「みんなショック受けるよね」 そしてその夜 霊感のあるという子の部屋で みんな寝しずまったあと 急にiPhoneのライトが付き Siriが立ち上がったという Siriは「よくわかりません」みたいな返事をしている 誰も触ったものはいない

「ふつう ヘイSiri みたいに呼びかけるよね でも呼びかけの言葉がよくわからない時は Siri は聞き返してくるんだってさ」

そのくらいではなしは終わったが Siriを使う霊 あまり聞かないので ここに記録しておく

メディアを使った怪談 かつては電話や 留守番電話を使った怪談 それが進んで 異様なFAXが不明な送信先から深夜に送信されてくる パソコン通信で幽霊とチャットする 見てはいけないウェブサイトなど そこから携帯ネット網と音声インターフェースを通じた怪談に到る ほかには赤外線センサーや 暗視スコープがとらえる霊 情報端末やセンサーが「気配」のチャネルになっている 類話としてGoogle Alexaが人間以外のものに反応する話はどこかでチラッと見たような気がするが覚えていない

そしてまだ原爆の惨禍は一種の忌みのようなかたちとして 残されているようだ