岩国錦帯橋空港を利用してみた

岩国付近で用事があったので、岩国錦帯橋空港を利用してみた。米軍海兵隊岩国基地や海上自衛隊岩国航空基地に間借りしている空港である。岩国基地の沖合展開に合わせて旅客ターミナルが設置され旅客便が運航されるようになった。広島空港よりも発着便数が少ないが、JALが就航していないにも関わらず広島空港発着便よりも個人包括旅行運賃が安いし、岩国の市街地にほど近いので交通の便は良い。JR岩国駅までバスで7分。近いのでタクシーに乗ってもさほど高くない。

駐車場は航空機への搭乗客は5日間まで無料なので、地元の人が車を駐車して飛行機に乗るのに便利である。岩国は新幹線を利用するには不便な場所なので、地元の人が東京に行くとなったら岩国空港からの飛行機しかないだろう。

レンタカーは空港ターミナル内のカウンターで手続きできて、隣のレンタカー用駐車場から乗り降りできるので、送迎バスで移動する手間がなく、時間を有効に活用できる。レンタカーの指定給油所も国道188号から空港に入る交差点のすぐ近くである(トヨタレンタカーは指定給油所が無いので岩国市内の他の給油所でも給油できる)。

しかし、空港から高速道路のインターチェンジまでは遠い。山陽自動車道岩国インターまで10km20分。高速道路を使うなら山陽自動車道河内インター直結の広島空港の方が便利だろう。徳山方面なら玖珂インターまで欽明路道路を使うと早い。大竹や廿日市といった広島県西部に近いが、岩国空港から大竹インターまでは国道2号の2車線の道路しかなく意外と時間がかかる(国道2号岩国・大竹道路が工事中で、完成すれば国道188号岩国南バイパスに接続する予定)。むしろ、岩国駅からJRの普通列車で移動するニーズにマッチしているかもしれない。広島方面ならそこそこ本数が多いので大竹や廿日市や五日市くらいなら岩国駅から電車で行くこともできる。広島市内へはバスで市内中心部に直通できる広島空港の方が便利そうである。

飛行ルートは意外だった。広島付近までは大分行きとほぼ同じ航路である。北風の季節には南側から進入するが、てっきり倉橋島と周防大島の間で進路を変えて進入するのかと思いきや、周防大島の南側を回って、周防大島の西側から北向きに進入した。岩国飛行場のチャートを参照したところ、着陸時はもともとそういう進入ルートのようである。現在の滑走路は沖合展開後のものなので、飛行ルートを勘案したうえで滑走路の向きを決めたのだろう。

米軍基地内は撮影禁止である旨が出発時と到着時にアナウンスされた。あいにく右側に座っていたので米軍機は何も見えなかった。米軍機に興味のある人は岩国行ではA席の方がよく見えるかもしれない。旅客ターミナルは北側から長い通路を通って基地の北西の端にある。その分タキシングに時間がかかるが、羽田に比べればどうということはない。旅客ターミナルエリアは米軍基地区画の外にあるため、旅客ターミナルと米軍基地のと間にゲートがあり、飛行機が出入りするときのみゲートが開く。

空港ターミナルビルはこじんまりとしている。地方空港であっても2階建てで、2階が出発階、1階が到着階であることが多いが、ここでは空港施設が1階に集約されており、出発ロビーも1階にある。そのため、駐機中の飛行機や、地上での仕事がよく見える。ゲートをくぐってからエスカレーターで2階に上がってボーディングブリッジに出る。駐機場は2機分確保されているが、ボーディングブリッジがあるのは1機分だけである。バゲッジクレームはレーンが1つだけで、サイズからして737クラスの飛行機1機分の処理能力しかなさそうである。その代わり荷物はすぐに出てくる。コンパクトな空港なので歩く距離が短く、飛行機が到着してから空港を出発するまでの時間が短い。

離陸便は離陸するとすぐに旋回できるので、北向きに離陸するとすぐに右旋回して宮島や江田島を左側に見ながら松山方面に向かい、松山付近で東に向かう。松山からは九州北部から羽田へのルートと同じかと思いきや、それよりも北のルートを通った。大阪付近から九州北部から羽田へのルートに合流し、そこから先はいつもと同じである。

徳山あたりだと岩国空港と宇部空港の両方を利用できるが、宇部空港の方が道路アクセスが良いし、便数が多いし、しかもANA優勢なのでJALは運賃が比較的安い。しかし岩国空港はANAでも宇部空港発着のJALよりも安い。岩国から羽田行の便は最初の2便の出発時刻が早く、地元の人でないと利用が難しい。その次の便は午後なので、羽田から岩国に往復する使い方では便利とはいえない。たしかに、羽田からなら広島空港や宇部空港も利用でき、それらの空港との競争になるので、あまり競争にならない地元の人の利用を優先させているのかもしれない。


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