浅田真央ちゃんへラブレター
美容院で出された雑誌をめくっていたら、「あっ」と声が出そうになった。
浅田真央ちゃんの特集ページ。
フィギュアスケートの衣装ではなく、モードなファッションに身を包み、きりりとした表情でポーズを決める彼女は新鮮で、とても美しい。
インタビューは現在の彼女のメイン活動であるアイスショーについて。
残念ながら私は行けていないその浅田真央サンクスツアーは、すごーく特殊で新しいアイスショーだと思う。
アイスショーにも色々あるし、近頃は多様なものが生まれてきているけれど、
よく聞くアイスショーと言ったらやはり引退した人気選手や今が旬の人気現役選手を集めて、代わる代わるそれぞれの演技を披露していく…
歌番組で例えるならミュージックステーションのようなものが多い。
それに対して真央ちゃんのアイスショーは歌番組で言うとSONGS。
もちろん終始真央ちゃんだけが一人滑り続けるわけではないが、真央ちゃんが今までに滑ってきた演目をメンバーと共に作りあげて披露する。
こんなショーは他にない…というか、出来ないよなあ。
この人といえばこの演目!という代表作はけっこうみんな持っているけど、
真央ちゃんは人の記憶に残る演目があまりに多くて。
優秀な選手だった故にテレビで見る機会がたくさんあったのはもちろんだけど、
毎年変わりショートフリーエキシビションと増えていく演目の、ひとつひとつが粒ぞろいでキラキラしているんだもの。
自分の演目だけでプログラムが組める、
それ以前に自分一人の名前で大量のお客さんが呼べる選手ってあとは高橋大輔さん、羽生結弦くんくらいじゃないかな~。
さて、ここまで書いてお気付きかと思いますが、私は浅田真央ちゃんの大ファン。
昔からフィギュアスケートは大好きで、今ほどフィギュアがテレビ放送されない時代から、NHK杯やオリンピックを楽しみに見ていたが、
そこにある年彗星のごとく現れた天才少女。
当時フリップやルッツにセカンドトリプルを付けれる女子選手はそんなにいなくて、それに加えてビールマン等の多彩なポジションを持つ選手は本当に貴重だったように思う。
何より華があった。
愛らしく舞う姿を妖精のようだと思い、トリプルアクセルを跳ぶ前には手に汗して見守った。
それでも、実はその時はまだ、ただただすごい子だな~なんでもできるな~かわいいな~
くらいに思っていた。
見方が一気に変わったのは、タラソワ振り付けのプログラム、通称ラベンダー。
なんっだこれは!!!
衝撃を受けた。
とにかく美しかった。
愛らしい無邪気なジャンパーではない。
この子は表現者だ。
そう感じた。
悪いがそれまでの女子のステップは比較的地味で、まだ目も肥えてなかったのもありよくわかんないな~くらいのものだったのに。
大きく広げた手。
次々変わる角度、ポジション、スケート靴の軌跡。
夢のような速いツイズル。
それからはもう夢中だった。
その一方で、真央ちゃんのファンでいることは結構辛かった。
ルール改正でどんどんジャンプを封じられていくし、
少しでも情報が欲しくてネットを開くとキムヨナと比較していがみ合うファン達のバトルが目に入ってしまう。
バンクーバーの試練も、コーチを変えてジャンプを見直した時期の不振も、ソチの奇跡も、引退前の調子も、見ていて心臓に悪くて。
それでも、どうしても見たかった。
いつだって彼女は美しかったから。
そしてジャンプを、スケーティングを、表現をたくさん失敗しながらも向上させていたから。
目指すものが見えたから。
そして衝撃を受けた時に思った通りの表現者だったから。
基本はクラシックメインで美しさを表に出したものが多いのだけれど、やはり言っておかないと。
普通の選手が「鐘」、できる?!!!
愛らしさと美しさに定評のある19才が、重厚で曲調にメリハリも少なくにこりともしないあのプログラムで戦った勇気と心意気、気迫にはもうね。ひれ伏すしかない。
大人になってからは、妖精のようだった雰囲気が人間となって、新しい深みも増していったし、
ずっと真央ちゃんを見てこれて私は本当に本当に楽しかった。たくさん驚いてたくさん元気をもらった。
詳しく語ると一冊本が出せそうなくらい書いてしまうのでこの辺にしておこう。
ありきたりな言い方だけど、浅田真央ちゃんと同じ時代に生まれたことを幸福に思う。
いつか、絶対ショーを見に行きたい。
それまで死ねない。
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