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夜の清水を三日間満喫をして

京都に引っ越して数日が経った頃、仲のいい後輩と通話している際に、

修学旅行で京都に行ったときに撮影した、という清水の夕暮れ時の写真を送ってくれた。

その写真の雰囲気だったり、色合いがとても良かったので、「せっかく京都にいるのだから、今日の夜、撮ってくるよ!」と言った。

これが発端となり、その日の夜に行くことにした。

でも、まさか三日間も同じ場所に行くとは思っていなかった。

今回はそんな話です。

はじめての夜間走行

一日目の夜、後輩が送ってくれた写真を見るに、ねねの道付近だろうと、かるーく予測して自転車を走らせた。

とりあえず駐輪場に行ければいいや、と京都市清水坂観光駐車場をナビに入れて20時に家を出た。

そういえば京都に来てから観光らしい観光はしていなかった。

家の付近ですら現在もそこまで歩いていない。

だからか、桜の木を通るたびに写真を撮っていた。夜の京都が目新しかったのもあると思う。

慣れない夜間撮影に苦戦しつつ、良いロケーションだな、と思ったら適宜撮影していた。


予想外の建造物

もうそろそろで清水に到着しそうな時、アップダウンの激しい場所に差し掛かった。

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下り坂の桜も綺麗だったのだけど、先に進んだ奥には、街灯とは思えない明るさの照明と人だかりができていた。

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どうやら、知恩院というところを通ったらしい、とこの日家に帰った後、知った。


まず、目に入ったのは巨大な灯籠だった。

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大きかった。とにかく大きかった。しかし、内部の灯は灯っていなかった。

少しずつ自転車を押していくと、三門が見えた。

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その場では、歴史的な建造物に疎い僕は建物の名称は知らなかった。

また、この門を見るにここは華頂山という場所なんだな、と勘違いをしてしまった。

ちなみに、華頂山という名称は山号と呼ばれるもので、仏教の寺院につける称号
らしい。

つまり、知恩院の山号は華頂山、ということになる。(元慶寺という寺もそうらしい)

現地に居た僕は勘違いを起こしたままだったけど、三門と月の素敵な構図に見とれながら、ナビが示す方向に進んでいった。


ここを通るんだ...

ナビは、円山公園を突っ切れ、と指図した。

門の先に、公園の中に人が大勢いた。

車はもちろん、自転車もまたがったまま走行してはいけない感じだった。

しょうがなく自転車を降り、園内をまっすぐ通った。

園内の桜もとても綺麗だったのだけど、街灯が邪魔をしてチカチカしてしまった。

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強い光源があるとき、良い撮り方はあるのでしょうか。助言がほしいところです。

先に進み、長楽館というお店を通ると、やっと園内を脱出、車道に復帰したので、サドルにお尻を降ろした。


見覚えのある道

そして、待ちに待ったねねの道に突入した。

ねねの道沿いにある高台寺の桜と月が非常に綺麗だった。

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少し進むと、八坂の塔が見えてきた。

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薄暗いけど、右下に見えます。


知らなかったことを知る

こうして十字路にさしかかり、視界がひらけ、空全体を見ると、空が妙に明るかった。

これもそのうち分かることなのだけど、清水寺では4/4(日)まで夜の特別拝観をやっていたらしく、その一環で、ディズニーのナイトショーでしか見たことがないぶっとい光線が空中に轟いていた。

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三年坂を登り終えたところにある桜の木。右下に光線が見える。

桜の木に着いた頃には、21時を回っていた。

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もう、この日は拝観できなかったのだ。

しかし、元はと言えば、清水寺の拝観をするために来たのではない。

清水の夜の町並みを撮りたかったのだ。

とは思いつつ、光のある方に進みたくなってしまうものだから、清水寺のある方向に進んでいった。

そういえば、自転車は押しているままだ。

時間的にも停めるほどでも無いな、と思っていた。

入口付近に到着すると、まだ見たことのない夜の清水寺の姿があった。

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でも、中には入れない。

ひとしきり満足するまで撮影し終えて、来た道を戻った。


お気に入りの場所

でも、なんだか名残惜しかった、

そうだ、まだ八坂の塔の写真を撮っていなかったことを思い出した。

馴染み深い場所で。

一応清水寺に向かう前に撮ってはいたものの、好きなアングルでは無いところからの撮影だった。

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迫力があって好きだけど、技術不足故にグッと来るシャッターを切れない。

そこで、好きなアングルが撮れる場所に移動した。

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人が集るぐらいの場所。

それくらい意外性は無いですが、このアングルが好きです。


ということで、このアングルからの撮影に時間を注ぎまくっていた。

でも、やっぱりこのアングルは人気で、三脚を構える人たちが大勢いた。

この時、思い出したんです。夜なのに三脚を持ってきていないことを。

持ってきたレンズはどれも夜の撮影や風景を撮るには向かないものばかり...

なんとか手持ちの状態や、どこか平らな場所で撮っていったが、無謀だった。

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シャッタースピードが遅いため手ブレをモロに受けた写真。

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高さが足りなくて前で撮影してる人の手が入ってしまった写真。

そんな感じで、22時を過ぎたところで完全に八坂の塔のライトアップは消灯した。


やるせない気持ちのまま、この日は帰った。

走行中、とにもかくにも、人は多いし、三脚を忘れるし、グッと来る写真が取れなかったことが何よりの後悔だった、と考えていた。

そのため、次の日も行くことに決めた。

加えて、せっかくなら清水寺の特別拝観にも行こう、と。


高ぶり気味の参拝

二日目の夜、早めに夕飯の支度をし、夕飯は夕飯で楽しみ、19時頃家を出発した。

昨夜見とれていた場所もさっさと激走して、

駐輪場に着いた後、喉が乾きすぎて、抹茶アイスを買ってしまったけど、

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慌てて撮った食べかけの抹茶アイス。

なんとか20時前に清水寺の前に到着した。

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入り口は昨夜と変わらず、綺麗だった。

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でも、今夜はこの先の景色も見られるんだ、と胸を踊らせて、少し階段を登った先にあるテントで入館料の引き換えに入館券を手に入れた。

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流石に現金だった。


日中と違う世界

序盤はライトアップ三重塔ばかりをしつこく撮影していた。

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どのアングルから見たって見惚れていた。小声で感銘の嘆をしていた。

順路に進むと、京都タワーをはじめとする市街地が見える立地が現れた。

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ここに来たら、すこし拓けてきたのと、三脚を使っている人を見て、持ってきた三脚の存在を思い出して、おもむろに取り出した。

三脚を使うとシャッタースピードを遅くできるので、強気になれる。

ただ、三脚を使う一発目は絞りの調節忘れがあって神々しくなってしまう。

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初心者過ぎてやっちゃうミス。

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B面の素顔

そして、清水の舞台の方に向かった。

一回は来たことのある清水寺だけど、そのときは平成の大改修の真っ最中で、本堂を眺めることはできなかった。

つまり、事実上の初対面となるわけだけど、先に夜の顔を見てしまってよかったのか、人間関係だったらぎこちなくなりそうだけど、構わず進んだ。

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吊灯籠がいちいちおしゃれだった。細部まで細かい。

吊灯籠の通路を右に曲がると、また市街を一望できる地点が現れた。

清水の舞台だ。

舞台からは京都タワーはもちろんのこと、遠くに子安塔(こやすのとう)を眺めることができた。

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望遠レンズ、ほしいです。(それで想像した写真を撮れるのかはさておき)

本堂には賽銭箱があったので、五円玉を放り込んだ。

フリースタイル一礼をしてしまった。ぎこちなかった。作法が神社と混同していた。


あのアングル

順路に従うと、阿弥陀堂が見えてきた。

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そばにはお守りとかを売ってそうな売店があった。御朱印集めをしてる人もいた。

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奥の院に向かうところ。光線がすごい。

そして、奥の院に着いた。その場にいたときは「本堂が見える場所」という認識だった。

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よく見るアングル。京都に行きたくなってしまうアングル。

舞台の上は総じて三脚禁止なので難しかった。人も多いし。


映える夜桜

奥の院を出ると、初めての下る道となった。

草薮から見える子安塔が綺麗だった。

三脚OKゾーンだったので、存分に使っていた。

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下り道が終わると、音羽の滝が見えた。

別にライトアップは程々だったので、綺麗よりも怖さが勝った。

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清水の舞台の骨組みを観て、

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このアングルいいなーと思ったから、並木道を撮った。

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参拝客のシルエットがエグいほど気に入ってます。


そして、池に映る夜桜を抑え、

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ダメ押しの三重塔を撮った。

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あんまり書くことが無いのも、ここでも三重塔ばかりを撮っていたからだ。

その手前では、良いアングルが無いからと言って、参拝のスピードを早めてしまった。


リベンジをしに行く

そして、再度入り口に戻ってきた。

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すでに21時半頃だった。

閉門ギリギリだった。

すごい楽しかった。声が漏れる参拝だった。

しかし、感慨に浸る暇もなく、

人気がかなり減った駐輪場までの道を歩き、

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そして、自転車を押しながら今宵もキラキラな月を眺め、

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やっと着いた。

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今日こそは...!という思いで、昨夜のフォトスポットに望んだ。


撮影途中、ナダルのモノマネばかりする激イタ学生集団や目の前でキスをするなどのイチャイチャする国際カップルが通りかかったけれども、撮影している人の民度が高いこともあって、なんとか申し分ない写真を撮ることができた。

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しかし、今見ると街灯の光量が邪魔をしすぎている。

でも、その場では満足していた。


今夜で終わりだと思っていた

昨夜と同じ時間になった頃、ライトアップが終わり、良いものが撮影できた充足感に浸っていた。

そんなときに、一緒の場所で撮影していたおっちゃんと話した。

最初は八坂の塔のライトアップ、終わっちゃいましたね〜という話をしていたのだけど、その後に耳寄りな情報を教えてくれた。

明日の20時から21時の間に京都タワーの色が東京タワーの色のように変化する、と。

ついさっき会ったおっちゃんだったから、半信半疑で、清水の舞台から撮ったらさぞ綺麗でしょうね〜などと言っていた。


後で調べてみると京都タワーにはサプライズ用のライトアッププランがあるということだった。

上記のサイトによると、単色は30分で3万円、ということだから、オーダーした人は総額6万円払ったことになる。

意外と安い。


そんな事があったので、内心清水の撮影には満足していたけど、その日初めて会ったおっちゃんに二つ返事をしたまでに、次の日の夜も行くことになった。

規則正しい生活リズムも大事だけど、新しい経験には替えられなかった。


巻き巻きの行程

三日目の夜、20時にライトアップが変更されるということだったので、それまでには清水寺に到着できるよう、19時半には清水周辺にいた。

今までとは比べ物にならないくらい早い。


そういえばのシャッターチャンス

受付で拝観料を払い、チケットをもらい入場した。

20時までにはちょっと時間があったので、昨夜は忘れていた三脚での三重塔の近い距離での撮影を行った。

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サイドの桜が、良い。


そろそろその時間

ひとしきり様々なアングルで三重塔を撮った後、三重塔の左側の市街地が見える地点に数分間三脚を構えていた。

変化前の写真を取ろうと何度かシャッターを切ったが、腕が無さすぎてイマイチだった。

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遠い...が、ピントは一番合っている。

20時になる一分前にスマホをとりだして、ビデオ撮影することにした。

中々変わらないなーと思っていた。

が、

突然変わった。

一人でいるのに思わず声が漏れた。嬉しさがこぼれた。

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にしても東京タワーの色過ぎだった。

それでも、周りはただ京都タワーが見える、ということだけにワーキャーだった。地元の人はおろか、観光客にも当たり前のイベントだったのだろうか。

それもあって、ひとりでに熱が上がっていた。

はたから見れば恥ずかしい人だ。一眼レフを持っている人に少々自慢げに話したことも恥ずかしかった。


うーん...

でも、

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迫力が足りない。

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持ってる機材にケチはつけたくないけど、確かに、遠くのものを撮るための機材は持っていなかった。


多分、間に合わないけど

もっと迫力のある写真が撮りたい、と思い、奥の院から京都タワーのできるだけ近くに向かうことにした。

残り二十分。

駐輪場まで向かっているときには既に残り十分だった。

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駐輪場付近。ここの風景も好き。

駐輪料金の支払いのときに小銭をボロボロ落としている自分を見ていて、あぁ根本には行けないだろうな、と半ばあきらめていたが、できるだけ近くで見れればいいと、漕ぎまくった。


ひたすら漕いで、マックが面する交差点に捕まったところで、残り三分だった。

三脚を出す余裕も無かったので、可能な限り、撮った。


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これが限界だった。

距離的にも、技術的にも。


まもなくして、京都タワーは通常状態に戻った。

通常状態だけど、純粋に夜の京都タワー、というか長時間露光での撮影をしたくなった僕は、良さそうな撮影位置を見つけて、三脚を取り出して撮り始めた。

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中心部に近かったので、交通量が多いかと思いきや、そこまでだった。

それでも、こういう写真が取れたことが嬉しくて、満足して家に向かった。


すごいものを取れたわけじゃないけど、引っ越して早々の新鮮さで、こんな経験ができたのは、僕の新天地への期待値をズバッと上げた。

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