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第101回凱旋門賞で思ったこと

第101回凱旋門賞が終わりました。

日本では考えられないような重馬場の中、今回出走した日本調教馬の中で最先着したのはタイトルホルダーの11着(出走20頭)。以下、ステイフーリッシュ14着、ディープボンド18着、ドウデュースに至ってはブービーの19着と散々たる結果でした。

各陣営は敗因に天候や馬場を挙げていますが、それらは各馬に等しく与えられたコンディションで、実際勝ったアルピニスタ(英国、牝5)は同じく重馬場だった昨年度の勝ち時計より1.9秒速いですし、武豊騎手が言うように言い訳にはならないと思います。あと、矢作師が言う「(天候や馬場は)最初から分かってたこと」も本当にその通りです。

天候や馬場を言い訳にしてしまうと結局凱旋門賞とは運ゲーになってしまうと思うのですが、日本競馬はそんな運ゲーに付き合う必要があるのでしょうか?

以前のワタシの記事で、「ディープインパクトの敗戦により心が折れたまま」と書きましたが、今回の結果を受けてむしろ折れた心は元に戻ったと感じます。それは何故かというと、欧州競馬は同じ「競馬」と言っても日本のそれとはもう全くの別物であることに気付かされたからです。

それはおそらく血統論でも支持されるのでしょうが(ワタシは全く詳しくありませんが)、そもそもコースの設計思想や運用・運営方法が日本と全く異なる欧州でデビューからずっとその重い芝の上を走ってきた欧州調教馬相手に、軽い芝を舞台にしてきた日本調教馬が勝負を挑むのは異種格闘技戦みたいなものでしょう。

まぁそれは言い過ぎだとしても、水泳に例えるなら比較的軽い泳法でスピードが出せるクロール(自由型)が日本競馬、パワーとスタミナの要るバタフライが欧州競馬ではないかというのがワタシの持った感想です。
(水泳にも水質やプールの深さによって水の重い軽いがあるらしいですが、あくまでも泳法違いという点での例えです)

「クロールが上手いからバタフライもこなせる」選手は一握りで、過去の凱旋門賞で上位入線した日本調教馬で例えるならディープインパクト(3位入線も禁止薬物使用で失格)やオルフェーヴル(2着2回)、エルコンドルパサー(2着1回)といった三冠馬”黄金世代最強”と呼ばれる馬たちかも知れませんが、それ以外の「日本で普通に大レースを勝った、普通に強い馬」、すなわちバタフライに出たことの無い/少ないクロールのスペリャリストがバタフライのスペシャリストを相手に勝つのは至難の業かと思います。

実際、今回の凱旋門賞には3歳馬が6頭出走しており、19着ドウデュースを除く5頭の欧州調教馬は全て10着以内に入っていました(2,4,6,7,10着)。これはもう、若駒の時から重い芝に慣れ親しんだものとそうではないものとの違い、即ち後天的な環境要因に依るところが大きいのでしょう。

あと、1着から10着までの着差合計は約10馬身である一方、11着タイトルホルダーはそこから4馬身遅れ、それ以降は1,4,クビ,3,1,2,半,6,3/4馬身と、各着順間で大きな差が付いています。このように日本調教馬4頭を含むワースト10頭(2nd tier)と、10馬身差以内に収まるベスト10頭(1st tier)の差は大きく、また、人気オッズも両tier間で着順との相似がみられました。

これはどういうことかと言うと、2nd tierは欧州に不慣れな4頭(=日本調教馬)と実力下位の欧州調教馬で占められているということで、結局環境への適合性を含んだ実力のある馬が上位10頭に来ただけという、いわば当然の帰結ではないかとの印象を持った次第です。

実際、JRA発売オッズは日本調教馬が贔屓買いされていることを除けば現地ブックメーカーとの間で両tier構成は似ており、お金のかかる馬券に関するファンのシビアな目もそういった環境要因というものをきちんと考慮・反映させていたのだと思います。

以上より、恐らくこの先、凱旋門賞で勝ち負けになるのは・・・

  1. 三冠馬や黄金世代最強馬のような破格・規格外の強さの持ち主
    例)ディープインパクト、オルフェーヴル、エルコンドルパサー

  2. 長期遠征等で環境適性を後天的に獲得した馬
    例)ディアドラ? シリウスシンボリ?

  3. 天性のものとして環境適性を持っている馬
    例)ナカヤマフェスタ?(凱旋門賞未出走だが、他にはエイシンヒカリやエントシャイデンみたいなタイプ?)

  4. 日本でそれなりに強く、当日の天候・馬場に恵まれた馬
    例)キズナ?

のような4タイプに分かれるのではないかと思います(1番以外はかなりの主観ですので「?」を付けています)。

となると、上記3番と4番は当日走ってみないと分からないバクチや運ゲーです。それならば1番や2番でなければ過度に一喜一憂したり、ましてや心を折ったりする必要はないんじゃないか、今回の4頭は全て4番に分類されるけど運が無かった部類になるのだろう、ということに気付かされたのが今回自分にとっての大きな収穫でした。(ステイフーリッシュは3番のような気も少ししていましたが・・・)

今後、バクチや運に賭けるのもアリですが、そうではなく上記1,2番に該当しないのであればアメリカのBCターフを目指すということもアリではないかと思います。あとBCにはクラシックというダート最高峰のレースもありますので、芝もダートも盛んな日本競馬がプレゼンスを発揮できる最適な機会かと思うのですが、いかがでしょうか・・・?

ご精読ありがとうございました。

日本のふたつの道がこの先、我々に幾千の夢を見させてくれると信じています

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