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コリアカップ・スプリントの招致馬選定について

本記事は旧記事です。焼き直し記事を「(改)」としてアップしましたのでよろしければこちらもご覧ください。


史上初の帝王賞連覇を果たしたメイショウハリオ(RT=117)がコリアカップG3(2023年9月10日、ソウル・ダート1800m)への予備登録を行っているとのニュースがありました。

このように、いよいよ今年もコリアカップ・コリアスプリントの開催に向けて動きが出てきましたが、そのような中あるツイッターのフォロワーさんから日本調教馬の出走枠及び招待馬の選定方法について質問を頂きました。

「例年通りだと日本調教馬はカップ・スプリントそれぞれ1頭ずつ」
「KRA選定委員会が過去実績等を総合的に勘案して選定」
「レーティングは決め手ではないがそれなりに必要」

というのが答えになるかと思いますが、どうやって出走馬が決められているのかよくわからないのがまたコリアカップ・コリアスプリントの両競走。今回、自らの理解や認識を再確認するちょうど良い機会かと思いましたので、この記事にて昨年の例を取り上げながら見ていきたいと思います。


フルゲートは何頭?

既にKRAより関係者向けガイド(Horsemen's Information Guide)が公開されていますが、この中で両競走ともフルゲートは16頭と記載されています。ここは別に何も疑ったり不思議がるようなところはありません。

海外招待馬枠は?

フルゲートが分かったのは良しとして、しかしそのうち海外からの招待馬は何頭なのかと言われると実はガイドには明記されていません。そこで引っ張り出してくるのが年初に公開された「2023年韓国競馬施行計画」です。

この施行計画をみていきますと、30ページ目に出てくるのがコリアカップ・コリアスプリントに関する記述です。

オール韓国語での記載につき、下記の通り和訳してみました。

これでようやく「16頭のうち最大8頭が海外からの招待馬」ということがわかりました。

日本調教馬の出走枠は?

それでは海外招待馬8頭のうち、日本調教馬に与えられている枠がいくつかと言いますとこれまた不明ですが、上表の「招待国」で8つの国名が記載されていますので単純に考えると1か国1頭なのかな?と思われますし、実際、昨年の例からしますとコリアカップにはセキフウ、コリアスプリントにはラプタスの1頭ずつでした。

ここで、昨年の予備登録馬をみてみます。

2022年コリアカップ予備登録馬(海外調教馬のみ)
日本20頭、英国1頭、香港1頭、フランス2頭
2022年コリアスプリント予備登録馬(海外調教馬のみ)
日本19頭、英国1頭、香港3頭、フランス3頭、シンガポール1頭

この予備登録のあと、実際に出走した馬はどうなったかと言いますと・・・

<コリアカップ:13頭>
韓国調教馬 10頭
海外調教馬 3頭(Intellogent(英)、Kings Shield(香)、セキフウ)

<コリアスプリント:13頭>
韓国調教馬 9頭
海外調教馬 4頭(Annaf(英)、Celavi(星)、Computer Patch(香)、ラプタス)

ということになりました。

「海外枠が8頭もあるのになぜ3頭だけ」と思ってしまいますが、この事例から推察されることは、「やはり各国1頭ずつで、余った枠は韓国調教馬に回す」といったことになるかと思います。

海外招待馬の選定方法は?

上の英国・シンガポール・香港(カップ)のように1頭しか予備登録していない場合は恐らく自動的に選定と言うことなのでしょう。フランス馬は確か全てが回避したというのはどこかで聞き及んだ気がします。

そうなると複数のエントリーがあった香港(スプリント3頭)と日本(カップ20頭、スプリント19頭)の中でどのように選んだのかということですが、ここも「過去実績等を総合的に勘案して」ということなので詳細は不明です。

ここで気になるのが「レーティング順なの?」ということですが、上表にレーティングの欄がありませんし、セキフウやラプタスがエントリーした日本調教馬の中で最高レーティングかと言われればそうではないかもしれません(ここは調べ切っていませんので、もしかしたら最上位かも知れません)。

ただ、各馬へ招致の受諾確認を行っていく際レーティングの高い順に声を掛けていき、結果的に受諾した最上位がセキフウ・ラプタスだったのかも知れませんし、セキフウについては両レースにエントリーしていますのでその「熱意」が買われたのかも知れません(ここは完全に筆者の勝手な想像です)。

ちなみに両競走のレースレーティングは下記のようになりました。

コリアカップ 2022年レースレーティング
コリアスプリント 2022年レースレーティング

セキフウ・ラプタスが出走馬の中ではトップレーティング(112)になっている中、勝ったのは地元馬。

ということは、「地元馬でも勝ち負けになるような、そこそこ/それなりのレーティングを持った馬」として選ばれたのがセキフウやラプタスかも知れません。

・・・ということで、「~かも知れません」ばかりになってしまいましたが、KRAとしてコリアカップ・コリアスプリントの両競走をいつまでもG3のままにしておくつもりはないでしょうし、そのためにはレースレーティングを上げることが必須。そしてレースレーティングを上げるためには高レーティング馬を招致し着順上位に入ってもらわなければなりませんので、その意味ではやはりレーティングもある程度は持っておかないと選に漏れる可能性があるということでしょうか。

以前のクリソライトやロンドンタウンがコリアカップを勝った頃とは異なりいまや韓国調教馬のレベルは上がっているかと思いますし、そろそろ高いレーティングを持つ海外調教馬相手にガチンコ勝負して、今の韓国調教馬たちの世界における立ち位置を確認することがコリアカップ・コリアスプリントの価値をさらに高めていくことに繋がるかと思います。

もちろん最終的には国別枠を廃止して、レーティング順に上から8頭を選ぶというのが真の姿かと思いますが、まだそこに至るまでの過渡期にあるのが韓国競馬。この意味からも今年のコリアカップ・コリアスプリントには大いに注目しています。

もし詳しい選定プロセスや基準についてご存じの方がいらっしゃったら、コメント欄やツイッターDMなどでどうぞご教示・ご指摘ください。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


★追記(2023/08/03)

その後X(旧ツイッター)で気になる投稿を見つけました。韓国の方がKRAに直接お問い合わせされたようです。

細かい字の画像部分がKRAからの回答で、概ね以下のようなことが書かれています。

  • カップ・スプリントとも外国調教馬枠は8頭で、色々な国から出走できるよう国別に枠を配分。(筆者注:国別枠の数については言及無し)

  • 2018年は国際グレード格付け前につき、韓国調教馬との能力差を考慮して選定。例えばカップのケイティブレイブはRT=116でロンドンタウンは110であったが、能力差を考慮した結果ロンドンタウンを選定。

  • 2019年以降はG3格付け後につきレーティング上位馬を優先的に選定する方法に変更。(筆者注:2019年は外交問題から日本調教馬を排除したことによりG3格を喪失しています)

  • 2020-2021年はコロナのため中止。

  • 2022年は日本調教馬の中でレーティング最上位を選定し、2023年も同様の選定方法を予定。今年は前年より優秀な外国調教馬のエントリーを見込んでいる。

ということで、2022年はどうやらセキフウ・ラプタスが日本調教馬の中では最高レーティングであったことから選定された、ということのようです。

今年のカップについては他にもマンダリンヒーロー(RT=113)、ヴァンヤール(108)、ウィリアムバローズ(107)が、スプリントにはヘリオス(102)が手を上げているとの情報がネット上で飛び交っていますが、それを待ち受ける韓国総大将の2頭(カップ向きのWINNER’S MANとスプリント向きのRAON THE FIGHTER)は共に7月初頭に骨折離脱。

それを受けてかそうでないのか、8月2日に突然「日本調教馬(だけ?)の予備登録期限を8/10→8/3に早める」との情報がありました(ジャパンスタッドブックインターナショナルのツイートより)。

これは一体何を意味するのでしょうか?

日本調教馬の選定に時間がかかりそうなので1週早めたのか、しかしレーティング最上位を選ぶなら機械的作業につきそのような時間を設ける必要はありませんしまだまだ謎に満ちていますが、何はともあれ本日(8月3日)が予備登録申請の締め切り。まずはその結果に注視したいと思います。

【さらに追記(2023/08/04)】
上の投稿をされた@knI6ewje2Rl3RGwさんが予備登録期限の変更についてもKRAにお問い合わせされたところ、そのような事実は無くこれまで通り8月10日(木)が期限であるとのことでした。


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