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韓国競馬に思いを寄せて...

(2022年9月19日 初稿)

2022年9月4日(日)、韓国・ソウル競馬場にて韓国国際競走が開催され、コリアカップ(国際G3/韓国G1、1800mダート)にはセキフウ(牡3)が、コリアスプリント(国際G3/韓国G1、1200mダート)にはラプタス(騙6)が出走しました。

残念ながらセキフウは3着、ラプタスは2着と、両馬ともに地元・韓国調教馬であるウィナーズマン/Winner's Man(牡4)オマオマ/Eoma Eoma(牡5)に負けてしまいましたが、これまでの韓国国際競走の歴史を顧みると実に感慨深いものを感じました。

韓国国際競走は2016年に始まりましたが、2018年までの3年間はほぼ日本調教馬の独壇場となっており、特に2018年のコリアカップはロンドンタウンが2着に15馬身差を付けて圧勝し、韓国の競馬関係者やファンはさぞかし落胆したものと思います。

その時のレース映像はこちら↓です。(英語実況)

これは・・・そう、ちょうど41年前に東京競馬場で開催された第1回ジャパンカップ。日本調教馬からはモンテプリンスやホウヨウボーイといったG1馬が参戦しながら、これまでG2しか勝っていない米国調教馬メアジードーツにレコード勝ちされ、世界との力の差に大きく落胆したように、です。


・・・話を戻します。その後、2019年の第4回韓国国際競走のことでした。

その頃の日韓関係は徴用工問題や半導体品目輸出管理の強化などで過去最悪ともいえる状態で、その外交問題が競馬にまで飛び火してしまい、レース開催直前になって日本調教馬のみ、その招待が主催者である韓国馬事会(KRA)によって取り消されてしまいました。

ワタシはあの時、正直こんなところにまで政治に絡めてくる韓国側に嫌気が差したのですが、後日KRAはJRAに対しお詫びするべく来日しましたし、あの時に痛かったのは韓国側も一緒。日本調教馬を除外したことでコリアカップ・コリアスプリントの国際G3格付が取り消しになってしまいました。

その時のことについては東洋経済の記事に詳述されていますので、よければご覧ください。

しかし、基本的にKRAは日本であれどこであれ海外から強い馬を呼んで韓国調教馬と戦わせ、最終的に韓国競馬のレベルを上げることに強い情熱を傾けているのは十分に感じていますし、このコロナ禍においても高知競馬・上田騎手の武者修行を受け入れてくれたり、とても真摯で温かい対応を見せてくれていますので、個人的にはもう2019年の件についてはこれ以上深堀しないことにします。

そんなこんなで、2021年は米国でKRAが馬主となっているニックスゴーが大活躍したことも記憶に新しく、KRAの動向がますます気にはなっていた中、コロナ禍による中断(2020年、2021年)を経て今回3年ぶりに韓国国際競走が開催され、日本調教馬の参戦も実現しました。

勝った韓国調教馬は両方とも、道中先行する日韓の実力馬をきっちり差し切っての勝利であり、力が無ければそのような芸当は行えません。これは、”ロンドンタウンショック”から4年の間に韓国調教馬のレベルが確実に上がったことを如実に示していますし、決して今回参加した日本調教馬のレベルが下がったという訳ではないでしょう。

セキフウもラプタスもG3クラスの馬ですので、「G3競走でG3馬が負けた」ただそれだけのこと。即ち、実に普通の景色がみられただけだと思います。そして、そのことが、今回の韓国国際競走の国際G3格付の適正度や信頼性を証明したのだと感心しました。

韓国としても早く国際G1競走を開催したいはずですし、まずは国際G2への格上げが次のステップ。そのために年間レースレーティング110を3年続けないといけない中、韓国調教馬で110以上を超えるのはおそらく2, 3頭ぐらいですので、今後韓国から海外への”出稼ぎ”も活発になっていくことでしょう。韓国で大レースの無い1~3月にはコリアカップと同じく左回り1800mの東海ステークスG2もありますし、ぜひ近いうちに韓国調教馬の姿を日本で見たいものです。(個人的願望)

2019年より韓国で種牡馬入りしたクリソライト産駒が今年より韓国でデビューする見込みです。あと、ウマ娘の韓国語版もリリースされましたし、競馬界の日韓交流が今後ますます盛んになればと祈念しつつ、今日はここで筆を置きます。ご精読ありがとうございました。


(2023年8月18日 追記)

今年のコリアカップ・コリアスプリントも海外招致馬が決まり、ワタシが韓国競馬のウォッチを始めてそろそろ1年近くになります。できれば韓国競馬に関するシェアオブボイスというかインプレッションを上げたいとの思いもあり、X(旧ツイッター)でのつぶやきやここnoteでの記事投稿を始めました。

と言いますのも、すぐお隣の国でしっかりとした運営が行われている韓国競馬に対し、その情報(日本語情報)は検索すればネット上でそこそこ見付けることができるものの、それがタイムリー且つ網羅的・体系的に纏まっているかといえばそうでもなく、いわば散在しているという状態。あとは当然のことながら言葉の壁もあります。

そのような中、韓国競馬に対する興味・関心を持っている人は意外といるなぁと思ったことと、でもその割には情報発信している人もあまりいなかったので、それならば競馬好き・韓国好きで、且つ多少韓国語も使える自分が #韓国競馬 のタグを使ってとりあえずワーワー言っておくことが何かそのような興味・関心をお持ちの方々のお役に立てるのかな?と思い、「何か一つでもインフォーマティブであるべし」をモットーとしてこれまで記事を作成したり、Xでつぶやいてきました。

それに対する皆様からの反応は、肯定的な意味で正直予想以上でした。「なんや、みんな韓国競馬にも興味あるんや!」と。否定的な反応は全くありませんでした。

最近は米国血統が主流となり、対馬海峡・朝鮮海峡を越えて韓国に渡った元日本調教馬の種牡馬たちの血がマイナーな存在となってきた韓国競馬ですが、それでも海を越えた種牡馬たちの「その後」を知りたいと思っている人たちが多いことはこれまでのSNS交流で十分に理解できましたし、いまや帝王賞よりも高い賞金のG3競走(コリアカップ・コリアスプリント)を実施するのが韓国競馬。

今年はメイショウハリオが辞退してしまいましたがその帝王賞1,2着馬がコリアカップに選出されるというある意味エポックメイキングな出来事がありましたし、それに対するネット界隈での賑わいもすごいもの。やっぱみんな韓国競馬にも興味あるんや!

そんな気付きや発見が、ワタシの韓国競馬ウォッチングのモチベーションになっています。これからも微力ながら皆様との情報共有を第一に色々と発信していければと思いますので、よろしくお願いいたします。


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