見出し画像

コリアカップ・スプリントの招致馬選定について(改)

2023年8月11日、コリアカップG3/KG1(2023年9月10日 ソウル・ダート1800m)、コリアスプリントG3/KG1(同日 ソウル・ダート1200m)の海外招致馬がKRAより発表されました。

カップにはクラウンプライドとメイショウハリオが、スプリントにはバスラットレオンとシャマルが選出されましたが、メイショウハリオとシャマルは辞退したため代わりにグロリアムンディとリメイクがそれぞれ代替選出されています。

コリアカップ海外招致馬
メイショウハリオ辞退によりグロリアムンディが繰り上げ選出
コリアスプリント海外招致馬
シャマル辞退によりリメイクが繰り上げ選出

蓋を開けてみれば日本からの招致馬は予備登録馬の中からレーティング上位順に選出された(後述)ということになりましたが、今回ここに至るまでは「一体どうやって選出されているのだろう」という疑問の声をネット上で見かけましたし、ワタシも同じように思っていました。

そこで先日に下記記事を作成したのですが、今般の選出過程をみてより明確になったところがありますので、ここに「(改)」として焼き直しの記事をアップする次第です。


フルゲートは何頭?

KRAより関係者向けガイド(Horsemen's Information Guide)が公開されていますが、この中で両競走ともフルゲートは16頭と記載されています。ここは別に何も疑ったり不思議がるようなところはありません。

海外招致馬枠は?

フルゲートが分かったのは良しとして、しかしそのうち海外からの招致馬は何頭なのかと言われると実はガイドには明記されていません。そこで引っ張り出してくるのが年初に公開された「2023年韓国競馬施行計画」です。

この施行計画をみていきますと、30ページ目に出てくるのがコリアカップ・コリアスプリントに関する記述です。

オール韓国語での記載につき、下記の通り和訳してみました。

これでようやく「16頭のうち最大8頭が海外からの招致馬」ということがわかりました。

日本調教馬の出走枠は?

それでは海外招致馬8頭のうち、日本調教馬に与えられている枠がいくつかと言いますとこれまた不明ですが、上表の「招待国」で8つの国名が記載されていますので単純に考えると1か国1頭なのかな?と思われますし、実際、2022年の例からしますとコリアカップにはセキフウ、コリアスプリントにはラプタスの1頭ずつでした。

ここで、2023年の予備登録馬をみてみましょう。

2023年コリアカップ予備登録馬(海外調教馬のみ)
日本33頭、英国1頭、米国2頭、香港2頭
2022年コリアスプリント予備登録馬(海外調教馬のみ)
日本26頭、英国1頭、米国1頭、香港2頭

この予備登録のあと、実際に招致された馬はどうなったかと言いますと・・・(カッコ内はレーティング)

<2023年コリアカップ海外招致馬:4頭>
日本 クラウンプライド (116)、メイショウハリオ (117) → グロリアムンディ(115)
米国 Giant Game (105*)
香港 Apache Pass (91)
英国 無し

<2022年コリアスプリント海外招致馬:4頭>
日本 バスラットレオン (117)、シャマル (112) → リメイク (111)
米国 Drew’s Gold (112*)
香港 Duke Wai (115)
英国 無し

ということになりました。日本からは2頭ずつの選出です。

*米国馬の国際レーティングの調べ方が分からなかったため、Equibaseのスピード指数(E Speed Figure)を記載しています。

今回予備登録があったのはカップ・スプリント共に4か国ですが英国調教馬は全て回避してしまったのか選定ゼロでしたので、恐らくその余った1枠が日本調教馬に振り分けられたのではないかと推察しています。

海外招待馬の選定方法は?

結論を先に書くと、下表の通り各国からレーティングの高い順に選出されました。

2022年のセキフウ(カップ)・ラプタス(スプリント)もレーティング最上位とのことですので、今年も順当に同じ方法で選出されたということになります。

ただ、X(旧ツイッター)で興味深い投稿がありましたので、ここでご紹介します。ワタシのフォロワーさんがKRAに直接問い合わせされた時の回答です。

細かい字の画像部分がKRAからの回答ですが、概ね以下のようなことが書かれています。

●カップ・スプリントとも外国調教馬枠は8頭で、色々な国から出走できるよう国別に枠を配分。(筆者注:国別枠の数については言及無し)
●2018年は国際グレード格付け前につき、韓国調教馬との能力差を考慮して選定。例えばカップのケイティブレイブはRT=116でロンドンタウンは110であったが、能力差を考慮した結果ロンドンタウンを選定。
●2019年以降はG3格付け後につきレーティング上位馬を優先的に選定する方法に変更。(筆者注:2019年は外交問題から日本調教馬を排除したことによりG3格を喪失しています)
●2020-2021年はコロナのため中止。
●2022年は日本調教馬の中でレーティング最上位を選定し、2023年も同様の選定方法を予定。今年は前年より優秀な外国調教馬のエントリーを見込んでいる。

そもそもの選定方法が

「KRA選定委員会が過去実績等を総合的に勘案して選定」

というものであり、実際2018年は必ずしもレーティング最上位ではなかったとKRAも認めている訳ですが、ここ2年続けてレーティング順での選定ということになりましたので今後もこの方式で進められるものと思います。

もしメイショウハリオが辞退していなければ帝王賞1,2着馬が揃ってコリアカップに参戦ということになりましたし、まだ招致受諾は確認していませんが米国のGiant Gameも2021年BCジュヴェナイル3着で前走Whitney Stakes G1の5着、二~四走前はG3勝ちを含む連対率100%とかなりの有力馬です。あと、グロリアムンディもダート転向後は2022年チャンピオンズカップG1を除いて破竹の勢いであることは皆さまご存じの通りです。

よって、今回KRAとして随分思い切った選定をしたなと少し驚きましたが、以前クリソライトやロンドンタウンがコリアカップを勝った頃とは異なりいまや韓国調教馬のレベルは上がっているかと思いますし、高いレーティングを持つ海外調教馬相手にガチンコ勝負して、今の韓国調教馬たちの世界における立ち位置を確認することがコリアカップ・コリアスプリントの価値をさらに高めていくことに繋がると信じていますので、今回の選定結果やプロセスを嬉しく思います。

もちろん最終的には国別枠を廃止して、レーティング順に上から8頭を選ぶというのが真の姿かと思いますが、まだそこに至るまでの過渡期にあるのが韓国競馬。この意味からも今年のコリアカップ・コリアスプリントには大いに注目しています。

旧記事では「~かも知れない」と推測だらけのものになってしまい、大変お粗末なものになりましたことお詫びします。何かお気づきの点がありましたらコメント欄でどうぞご教示・ご指摘ください。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?