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静かな夏休み

上の子が小学生になってから、夏休みは祖父母の家(厳密にはちょっと違うのだが、説明が面倒なので便宜上こうする)に泊まりにいくようになった。

さらに、昨年からは下の子も一緒だ。つまりこの期間中、自宅にはわたしと夫の2人だけしかいないことになる。

お母さんならなんとなく、ご理解いただけるのではないだろうか。この「どうしたらいいかわからない感」を。

子どもがいない空間で夫と2人きり。何を話せばいいのかわからない。気まずい。むしろなんかちょっとイヤ。……少なくともわたしの周りの「お母さん」たちは、皆一様にそんなことを口にした。

わかる。それな。わたしもまったく同じだった。だから昨年は、必死で下の子を引き止めた。「寂しくなるんじゃない?帰りたくなっても、すぐには帰ってこれないよ。それでもいいの?」と脅しまがいなことまで言って。

しかし必死の引き止めもむなしく、子どもたちは行ってしまった。どうしよう。もうひたすら口をきかなくていいように、パソコンの前から動かずにいようか、なんて考えもよぎったくらいだった。

しかし、だ。わたしに限って言えばこれは杞憂だった。驚くべきことに、子どもたちがいない数日間、わたしは(そしてたぶん夫も)ものすごく快適で、楽しく、のびのびと過ごすことができた。そう、これはわたしたちの夏休みなのだ。

子どもの声が聞こえない家の中は寂しいのではないか、と思っていた。たしかに静かすぎるほど静かで、それには若干寂しさを覚えなくもない。けれどそれより何よりとにかく楽。大人だけしかいないって、何事も予定通りできるって、そしてたとえ予定通りできなくても気にしなくていいって、なんて楽でなんて身軽なのか。

そして夫との時間は、予想に反してわりと楽しいものだった。子どもと一緒では行きにくい場所へ遠出したり、ふらりと夜のドライブに出かけたり。恋人同士だった頃のように、と言えばだいぶ語弊があるけれど、それに近い感覚でいられたように思う。……いや、近くはないかな、それはさすがに嘘だ(笑)

そんな大人だけの夏休みが、一年巡ってまたやってきた。相変わらず静かで、楽ちんで、なかなかに楽しい日々を過ごしている。友達夫婦の家に夜中までおじゃましたり、漫画喫茶で各々漫画を読みふけったりと、しょーもないことばっかりやってるけども。

子どもたちを迎えにいくまで、まだちょっと時間がある。お盆だしどこも混んでいるだろうけど、一回くらい遠出がしたいな。どこに行こうかなあ、と考えるのも楽しいものだ。たまにはこんなお休みがあってもいいよね。

#日記 #エッセイ #夏休み #夏

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