ドラマ "だが、情熱はある" に毎週励まされてるよ、って話

みなさん、ご覧になってますか?

当初"若林さんと山里さんの半生をアイドルである高橋くん森本くんが演じるギャップを楽しむものだ"、と思い込んで見始めたが、いい意味でめちゃくちゃに裏切られた。

日曜の夜に、こんなに人を勇気づけるドラマ、ありますかね…。


見入りすぎて、毎回エンディングテーマでふと現実に戻るくらい。(そういえば後半エンディングも変わりましたね)


ドラマの主題が至ってシンプルでして。
そしてその主題というのが、もうタイトルそのままなんですよね。

ちなみにこれまで知らなかったんだけど、若林さんと山里さん、お二人は
"(社交性と社会性が)たりないふたり"
というコンビを組んでいらっしゃって、その言葉に対する返しとしての"だが、情熱はある"、というタイトルのようだ。
そして主題とは、

足りないことはあれど、
"情熱があること"、それ自体にフォーカスしてもいいんじゃないか。



その"足りなさ"を象徴するものとして私が好きな、オードリー若林さんの若手時代のシーンをまずは紹介させていただく。
(このドラマ、私は基本若林さんに感情移入しながら見ている。)

若林さんの切実すぎる負の感情が凝縮されて、凄みのある圧巻なシーンである。報われなくて迷走する時代が、オードリーにもあったんですね…。演じる高橋くんもすごい。こうやってぶちまけられる感情に、私はかなり見覚えがあって。


私が携わっている新規事業のお仕事では、自分1人では何もできないから、誰かに面白さを説いて、時には利害関係も調整したりして、ついて来てもらったり協力してもらったりしないといけない。まあこれが難しくて、なかなかうまく行かないんですよね…。自分も、関わってる事業も未熟ゆえに、正論で足りないところをつつかれて、揚げ足を取られたら終わりだ。苦笑いされて、疎ましがられて、こんな時間にこんな記事書いてるくらい、悔しくて眠れない夜もある(つまり今)。

というか仕事関係なく、私も、多分ここで描かれている若林さんも、自意識への集中力と自分の感性に対する自信だけはめちゃくちゃにあるんだと思う。(文に3回"自"の文字が出てくるくらいには、自我が強い。)
だからこそそれにとらわれすぎたりもして、自意識が変な方向にとがってしまうんだ。とがって、いびつな形になって、足りないところばかりが周りからすると目についてしまうんだろう。そしてそう見られている自分も同時にわかるから、悔しいし情けない。

で、"自分を否定されたらどうしよう"と、毎日びくびくしながら、でも認めてほしくて、自分の想像を現実のものにしたくて、そのとがっていびつな自意識を世間に突きつけ続けるのだ。その分脇はガラ空きで、そのガラ空きの部分にこの春日さんみたいな本質めいた言葉のパンチを決められることもある。(それを素直に聞ける日も聞けない日もある)


↓もうやめてやるよ!って言いたいけど自分でやめたいというのはめちゃくちゃにシャクである。わかりみが深い…


ちなみにこの負の感情の構造、もう1人の主人公である山里さんも似たような感じと見ている。自意識への集中力が自分への攻撃に向きがちなのが自滅型の若林さんだとしたら、他人に向いてしまうのが、"妬み嫉みの天才、努力の天才"山里さんなんだろう。

そんな2人を支える相方のおふたり、春日さんやしずちゃんは、足りない2人によるそれぞれの尖った感情をぶつけられつつも、本当に素直に柔軟に、その先にある情熱を見ている。まじで器がでかい。そして私はまた自分を重ね、ああこうやって周りに迷惑かけつつ、自分は見守られているのか…とひれ伏したくなるのだ。


はぁ…共感できる…と恐れ多くも思ったところで"サクセスストーリーではない" と毎回ナレーションで言い切るのもまた、このドラマの面白いところ。

足りない2人だけど、情熱はある。でも、情熱があったからといって、足りないことには変わりがない。情熱があるからといって成功するわけでもないし…成功ってなんなんだろうね、山里さん、ひと足先にM-1準優勝で"成功"したけど、余計にストレス溜めちゃってるし。

だからこそ、最初に戻るんだけど
情熱があること、情熱を持てることの尊さにフォーカスしてもいいんじゃない?
と、とりあえず、でも力強くいってくれるこのドラマが好きだ。

そして、少し説教めいたメッセージを自分で足すと、"足りないことだけを笑うだけの人間にはならない"。そして、足りないことだけを笑うだけの人間には、構わない。

足りないことで、このドラマでいう家族とか相方とかマネージャーさんとか、大事な人に迷惑をかけたのであれば真摯に反省して努力する。信じてくれる人には心を開いてアイデアを出し合う。でも足りないことだけを笑って揚げ足を取る人のせいで、自分を疑ったり弱めたりしなくてもいいんだよ。

なんかもう、何が正解なんかわかんない世の中で、何したって誰かになんか言われるんだったら。"だが、情熱はある"、と言えるかどうかを、その情熱を支えてくれる人に真心を見せられているかどうか、を心のチェックリストにしたいなとここ最近毎週日曜の夜に決意する(と思いきや早速月曜に打ちのめされて改めてこんな記事を書いて心を新たにしてる)、なおちょりんなのでした。

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