"伝わらない"ことは必ずしも自分が間違っていることを意味しない(だが、情熱はある)


前回の記事で若林さんに感情移入しながら見ているとお伝えさせていただきました。
だからさぁ、前回M-1の回で報われて本当に良かった…うわあ若林さんよかったぁぁぁって言っちゃったもんね。

ネタバレなるけど、
1.何気ない場面から、のちのオードリーの定番となる"ズレ漫才"を思いつく。
2.絶対行ける!と思うもM-1決勝いけず、ガチで凹む、
3.2年後に敗者復活戦から決勝2位!

ざっとこんな感じで彼は報われてました。

でも1、2の流れがまた切なくて…。
自分ではすごい面白い!と思うズレ漫才を持ち込み挑んだM-1で手応えなく、荒れてしまう若林さん。

何か新しいことを表現しよう、形にしよう、というとき、人は"自分の心の中にある最高なものを外に出そう"という思考のプロセスになるかと思う。

でもいざ形にしたとき、大概自分の中の見え方、というより自分にとっての"事実"との大きすぎるギャップに混乱することになる。あれ?意外とウケないな?という残念な気持ちが徐々に、あれ?自分の方が間違ってるの?とどんどん自身を疑い出す気持ちに変わる。私も、これめっちゃいい!って書いたnoteの記事ほどいいねつかなかったりしますからね。切なっ。

何かを実現したい過程の中で、自分の価値観を疑うほど絶望的なことはないと思う。出発点であり原点そのものが揺らぐから、未来への期待もなければ、今の自分の過去も自分も、積み重ねた時間も同時に否定することになる。それが↓の動画にあるような、面白いよと言ってくれる当時の彼女にも声を荒げて否定するふてくされた若林さんだったのではないかと思う。


確か全く同じことを、番組作家さんと山里さんが話すんですよね。薬師丸ひろ子さん演じる作家さん、"面白いと思うのに視聴率が取れない、自分はもしかしたら世間とずれてるのかなって最近思うの" ってちょっと愚痴る。いい大人だから、世間の価値観に近づけようとする。

お客様志向、お客様視点とはよく言ったものだけど、もちろんそれが1番大事だと、いち企業人として私もいつも肝に銘じているけど。

でもさぁ、自分が面白い、素敵だと思うことがそのまま世間に受け入れられるのが、どう考えても理想だよな…。

そんな当たり前かつめちゃくちゃ困難なことをしみじみと思った。


でも、でもでもでも。
同時にこのドラマは教えてくれたのだ。

伝わらない、ことは
自分が間違ってるってことを全然意味するものじゃない。ただ、"まだちゃんと伝わっていないだけ"で、自分の中の正解は正解であり続ける。

これ、目から鱗でした。
オードリーは苦しみながらも2年間同じズレ漫才のコンセプトを続けて(サラっと言っていたけど2年てすごすぎんか)、ついに認められ始める。
嬉しいけど不思議にも思う若林さん。
"ぼくら、同じことばっかりずっとやってきて、これでいいんでしょうか…?"

それに対して、オードリーにとって大事な存在である"たにしょーさん"(おそらく前田健さんですね)は優しく諭す。

"馴染んできたのよ、あなたたちのスタイルが。ほら、見た目とか言い方でも受け止め方は全然違うんだから。"
※ごめんなさい、ちゃんと見直してないので意訳です

そっか…。
やっぱり若林さんは面白くない人なんかじゃなかった。若林さんが思う"吐き気がするほど心が踊った面白いネタ"はやっぱ面白かったんだ。価値観が世間とズレてる事なんて最初からきっとなかった。


ただ、伝えられてなかった。
それも、ほんの些細なプロセスが足りなくて。
最初から、正解は正解であり続けたんだ。

アイデアを思いついてワクワクする時、絶対にこうするべきだと衝動に駆られた時ほど、それを口に出して行動に起こす際の周りとの温度差に私はいつもビビる。自分の中で見える正解はそのままの形で相手に見えないのだから、そこで冷められようが否定されようが、本当はそんなに自信をなくさなくてもいいことなのだ。
きっと、自分の中でキラッと光るすごい大事なポイントを、相手に伝えられていないだけかもしれないから。もしかしたら自分ですら、何がすごいかよくわかっていないものなのかもしれないから。

伝わらないことは、悔しいしもどかしいし情けない。工夫できる余地があるかもしれない。でも、だからといって、自分が世間とズレてるとか、間違ってるとか、そこまで疑ってかかる必要はないのかもしれない。

私は"他人に伝える事" にもっともっとフォーカスして努力すべきなんだ。100か0か極端な思考でひねくれる前に、自分の中の揺るぎない真実をまっすぐ見据えて、こぼさず掬って、丁寧に見えるように形にしていかなければいけないんだな。

しかも、伝える上で足りないプロセスは、もしかしたら誰かが奇跡的にいつか補完してくれるかもしれない。時が解決するのかもしれない。環境が変われば驚くほどすんなり行くのかもしれない。それをじっと待てる胆力も同時に必要なんだろう。私が行ってる新規事業なんて、本当に本当にまさにそうなんだ。

じっと待つ…でいうと、前回の↑の動画のエピソードに救われた自分もいる。

"惨めな気持ちはそれだけで、
誰かの心に響くからね。"

確かラジオのオーディションがあった時の若林さんに向けた作家さんの言葉だったかと思う。心に残った言葉のくせに記憶があやふやだが、こうやって、遠い未来でなく"ズレてる今"すら肯定してもらえるのがどれほど心強いことか。

だってこのnote読んでくださってる方にとっては、私が頑張ってるって記事を書いたとて、"本当に優秀でセンス抜群だけど今は報われない新規事業の人"なのか、"全然センスないズレまくってる有象無象のポンコツ"かなんて判断できないでしょ。ってか判断できない誇れるネームバリューもない時点で後者ですからね。
そこまで大袈裟に書くつもりはないが、それって惨めですよね。惨めだけど、この惨めさっていつか覆せるから素晴らしいんだ…じゃなくてたとえ認められる未来が来なくても、この気持ち自体が同じ惨めな誰かを救うかもしれないじゃないか。

情けないなぁって思う時は頭の中で若林さん(を演じる高橋くん)に情けない!って叫ばせて、ああ惨めな私カモーン!って最近は思えるようになってきてる、このドラマのおかげで。


そして大事なことだから繰り返し言うが、

伝わらない、ことは
自分が間違ってるってことを全然意味するものじゃない。ただ、"まだちゃんと伝わっていないだけ"で、自分の中の正解は正解であり続ける。

そして、いつか報われる未来が来ようが来まいが私は今の自分の惨めさを愛することができるのだ。

とか言いつつ結局このドラマサクセスストーリーではあるじゃん?と思いつつ…
来週も楽しみです。


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