新曲ポピラビに見る、なにわ男子2年目の余裕と矜持と覚悟。
セカンドアルバムといえば、自分たちらしさをリッチに表現しきる"という、"深化"コンテンツになる傾向があるんじゃないかなぁと個人的に思っています。自分たちなりの"勝ち筋"がある程度見えてきて、色々なものを取り入れながら挑戦的に形にしていく、そんな時期。
デビュー以来透明感と遊び心で始まりの予感を与えまくってきたなにわ男子も、例に漏れず。いやまだリード曲のMV見ただけだしなんならツアーも全落ちなのですが。
もっとあんな恋がしたくて…と淡く揺らいでいた初心な男子が、新曲"poppin' hoppin' lovin'"の、アメリカのショップ風?なクリエイティブの中、コミカルな動きでバチバチ笑顔で踊っている。かわいいが深まっている。
そして同時に私はそこに、彼らの
余裕と、矜持と、覚悟、
を見た気がした。
余裕について。
例えば上記サムネに出ている、1列でカクカク歩く動き。いやかわいすぎんか。
ハピサプの間奏でも似たような振り付けがあったけど、あの足を捌くような速い動きではなく、まるで"コマ送りになった"ように見えるのが今回のポイントなのかなと。
これが、ちょっと敢えて解像度を下げてる、荒いローテク感がとても良いと思うのです。最近、画質のいいカメラじゃなくて写ルンです使った方がエモいみたいな風潮あるじゃないですか。荒いのがいいみたいな。多分それだと思うんです。平成レトロってやつです。ジャケットの文字やモチーフも、解像度低くてレトロでしょ。
でも、ただ解像度が低くて荒い、ではないのがなにわ男子らしさであり、私が"余裕"と表現したいものなのだ。ローテク感は出しつつ、ビジュはめちゃくちゃに強くてクリーン。
そして最初のカクカク歩きも、コマ送り風なのにやたらと完成度が高い。おそらく先頭の大橋和也を初めとして、1ポーズずつ本当に綺麗に止まっている上に、きちんと忠実にリズムを拾えているのではないのかな。元々難しい振りだってちゃんとこなせちゃう彼らだからこそ、拾うべき音を捨てても美しい。この見事なまでに計算された違和感のせいで、何度見ても飽きない仕上がりになっている。(そもそもこんなにパキッとした色やデザインの中で全く負けない7人のビジュも控えめに言ってえぐい。)
矜持について。
YouTubeのコメントを見てみると、"K-POPに寄ってない"という言葉が好意的に使われてるのが印象的でした。その言葉にどんな意味が含まれてるかはまあわからなくもないんですが、別にJなのかKなのかじゃないと思うし、なんなら美しすぎる彼らにもはやTWICEみを感じてしまったんだが。ではなぜ、そういう感想が出てくるのか。
これは完全な推察ですけど、
多分みんな、アイドルをスペックで評価することに少し慣れちゃってるんじゃないですか?
私もオーディション番組好きなんで、審査員目線でついつい見ちゃうんですよね。その価値観は、言われてみれば確かにK-POP発祥なのかもしれない。それが圧倒的なパフォーマンスを生み出してる。
一方でなにわ男子、そもそものスペックの高さや本人の努力・成長、もちろん分かってますけど、誰がいいとか、日本が/世界が、とかじゃなくて、"ファンの期待"に呼応しながら成長していく。そういうところが、"王道アイドル" ぽさなのかなと思います。グローバルな王道ではなく、"私にとって"の王道なのです。だって他ならぬ私の期待に応えてくれているのだから。
"なにわ"という極めてローカルな地名を与えられた彼らは、宇宙で愛されるグループを目指しながらも(by大橋和也)、着実に"今ここ"の期待に応える。なにわ男子のそういうローカルさが、"推しのスペックマウントの取り合い"に疲れたファン心理からするとある意味救いにも思えるのかもしれない。それは言い過ぎか。
そういういうの、まさに嵐っぽいなぁと嵐ファンとして常々思うんですよね。"世界中に嵐を巻き起こします!"と言いつつ、1人1人淡々とスキルを磨き、目の前の期待に応え続けた結果、国民的お兄さんになった5人。
もう1つ似ているのが、
大きなネガティブに打ち勝つ
大きなポジティブを。
という覚悟が見えることだと思っていて。
実は今回ポピラビ見て最初に想起したのはParty Startersという活動休止前最後の曲でした。20年以上の大きすぎるキャリアを締めくくるシングルにしてはシンプルかつポップすぎる。でも嵐っぽいなぁとも思う。
アーティスト自身の悲しみ、無念さ、悔しさみたいなものを繊細に表現に昇華してくれる存在もとても好きでありがたいんですけど。
でも、強くて明るくて前向きな言葉をひたすら繰り返して、ネガティブを一時的でもいいから掻き消してくれることも同じくらい実はありがたい。私はこれを"多幸感ソング"と呼ぶ。
なにわ男子、大事な2ndアルバムのリード曲に弾けるような明るいポジティブ曲を持ってきましたよね。清濁合わせ飲んでやろう、自分たちはそういうアイドルでいよう、という彼らなりの覚悟を感じたわけでした。
完全に気のせいかもしれないが、1番のサビで踊る西畑くんの表情がまたそれを物語っているようで、グッときてしまって。俺らはあんたを幸せにするけど?と、べしっと挑戦状を叩きつけられてる気分になった。
色々あって推す側も辛いことはあるが、彼らの大きなポジティブを受け取って、やっぱり推したいよという気持ちに嘘はつけないなーと感じたのでした。
なにわ男子よ、君たちが令和のParty Starterになって、何度も何度でも夢を見させてくれ…!
まあツアーは全落ちしたんだがね……
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