点を打ち続ける、いつか振り返って結ばれるように。〜中丸くん × 藤原丈一郎くん対談感想〜

未来を見て、点を結ぶことはできない。
過去を振り返って点を結ぶだけだ。

スティーブ・ジョブズ

好きなんですよね、この言葉。


丈くんことなにわ男子藤原丈一郎くんが17年半打ち続けた点は、振り返れば壮大な関西ジュニアのヒストリー。でもそれは、一瞬一瞬の不安や焦りと闘いながら、それでも諦めなかった人にしか、語ることができないものだと思う。




この前のキスマイ兄さん回然り、なにわ男子のパブリックイメージとはまた一味違う、渋い魅力を引き出してくれるありがたい動画が続いている。

とにかく言いたいのは、この丈くんの動画、
ただの "デビューまでが長かった苦労話" では決してない、ということ。
長期的な振り返りの視点でなされる冷静な解釈と、当時の生々しくも瑞々しい戸惑いの感情の対比が印象的な動画でした。

例えば。

東京とは一味違うものを考えたんだよね、
でもプレイヤーからすると結構戸惑う。

ファンもよく知る、 "関西ジュニアがさまよってた時期" 。笑いを交えたエピソードを披露する丈くんに対し、中丸くんは"組織としてね"、というアイドルらしからぬワードチョイスで俯瞰的に話をまとめていく。


首を捻りやや険しい表情で答える丈くん。

これ、ダメなんですけど、慣れてくるんですよ。

迷走の関西ノリに戸惑いつつ振り切ること。
後輩に先を越されてバックで踊ること。
違和感も挫折も、繰り返せば日常になる。手探りで進むしかないといえば綺麗だが、疑う選択肢すらなかったのかもしれない。
中丸くんが呈した俯瞰的な視点に対する、一筋縄ではいかない複雑でリアルな当時の本音。
ちゃんと思いを馳せれば結構絶望的な心情だ。


続いてキャリアの繋がりについて聞こうとする中丸くんに対し、丈くんはまたも説明する。

この事務所での分岐点って、
大きく分けて大体3つ。

高校、大学入学、そして就職。
漠然と将来に抱く不安や不可逆な年齢への焦りは、彼でなくても、ジュニアでなくても誰もが人生のどこかで思いあたるもの。

後から振り返れば繋がるのだろうけど、その一瞬一瞬は何も見えず、期待と落胆の繰り返しでしかない。叶う/叶わないの境目はこんなにもわかりづらいのに、諦める/諦めないは明確で、自分次第だ。
そっと用意されたリクルートスーツ、悪気のない友達の言葉…こと細かに語られるエピソードは、おそらく丈くんの"諦めのボーダーライン"にある出来事だったからこそ、鮮明なのだろう。


後半はグループ結成から始まり、2組が先にデビューを決めた出来事についても触れられていた。

俺らも、まだやったんやなって。

"No"ではなく"Not yet"と言い換えて切り替えられるのは、なにわ男子の当時の年下組の勢いと年上組の経験値あってこそ。
デビューを前のめりで期待する素直なみっちーに対して、"とりあえず頑張ろう"と言葉を濁す丈くん…振り返れば笑えるけど、自分がくらってきた絶望を考え万が一を心配する丈くんの切なさに心がキュッとなる。

そして、彼自身"選ばれる側"になる苦しさも経験する。"落選ではないけど落選"、ショックをくらう、同志たちへ。

待てよおいっ!って言ってるんですけど、
グループ入っているから言いづらい。

"めっちゃ辛かったわ…" とこの前末澤くんがようやく、それもたった一言だけ、口にできた弱音。その一端を説明する丈くんのやや掠れた声からは、苦さも優しさも感じられた。

※事あるごとにYouTubeでリチャ末の名前を出す丈くん、複雑な思いではあったと思いつつ実際Aぇの知名度拡大への貢献は半端なかったはずなんだよなあ。私がAぇに興味持ったきっかけも丈くんだったし。↓チームSDGs小っちゃいS担当末澤ネタが好き



丈くんは自分の過去を決して苦労話にも美談にもせず、ただただ当時の思いをそのまま一貫して説明し続けた。

これは、つまるところ頑張る全ての人へのエールだと思う。
つながっていくキャリアという成功のセオリーと照らし合わせたり、年齢という絶対的な尺度や周りに置いていかれる相対的な比較に焦ったり、みんな多かれ少なかれ不安じゃないですか。
成功からの逆算をして行動すべきなんだけど、決して思い通りにいくことはなく。
それでも今がんばることが、どうにかこうにか未来につながる。振り返れば簡単なストーリーでも、リアルを生きる自分からするととにかくモヤモヤして、不安で、焦る。これ、もう信じるしかないっていう境地ですよね。

私はどうだろう。
挫折に慣れるほど挑戦を繰り返せているか?
選ばれなかった落胆を何度も経験するほど、全てを賭けて勝負に挑めているか?


丈くんの動画を見て、奇しくもこの動画と同じタイミングでデビューをつかんだ彼の親友たちの境遇を噛み締め、私は改めてこの言葉を繰り返したい。

未来を見て、点を結ぶことはできない。
過去を振り返って点を結ぶだけだ。
だから、いつかどうにかして
点は結ばれると信じなければならない。

おわり。


P.S.
大橋担兼チーム六甲山担、もしくは丈橋担兼リチャ末担なので(もはやどっちでもいい)、Funky8の話出たときは興奮したし、年末のカンバリで嬉しそうに屋良くんに全力感謝する末澤誠也を重ねて泣きそうにもなりました。

P.S2
ゆっちこと中丸くんの聞き手力と編集力がすんばらしすぎる。こんな風に自分を出しすぎず相手を引き出せる先輩になりたいものだなあ

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