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中近世のペルージャの美術・歴史を学ぶ:両替商組合の間(Collegio del Cambio)/ 商人組合の間(Collegio della Mercanzia)

他のヨーロッパ諸地域に比べて、中世において商業・交易が発展していたイタリア半島。

商業が盛んな町においては、商業・交易を担う市民たちが力を持ち、政治にも参入していた。

その市都市の中でも特に、商業、銀行、両替、羊毛業を担う人々のアルテ(Arte; 組合)やギルド(gilda; 同業組合)が、都市の中でも特に力を持ち、政治の舞台でも活躍していた。

ここペルージャにある両替商組合の間(Collegio del Cambio)と商人組合の間(Collefio della Mercanzia)は、都市の中枢プリオリ宮に隣接しており、当時は組合員たちによって使われていた。

まず、商人組合の間は、シンプルながらも、その壁・天井一面は、15世紀の細やかな寄木細工で覆われている。

次に、両替商組合の間は、ペルージャを代表するルネサンス期の画家ペルジーノと弟子たちによる壁画と寄木細工が見事である。


筆者は、暇さえあれば美術館や教会に出かけているが、これほど見事な天井画は見たことがないというほどであった(好みの問題もあるが)。

入り口すぐのチケット売り場。

残念ながら、両替商組合の間の壁画・天井画は、撮影禁止だったため、購入したポストカードを元に解説を進めたい。


両替商組合の間の入口手前の部屋は、法廷(Sala di Udienza)となっている。

アルテやギルドは、裁判を行うこともあり、その長官(Console)が裁判官(Uditore)を務めていたために、この間は、この名で呼ばれることとなった。

1490年、フィレンツェ出身のドメニコ・デル・タッソ(Domenico del Tasso)によって木の机や椅子の装飾が着手された。

そして1496年1月26日、組合の裁判官と陪審員は、天井画と壁画の制作を、ペルージャを代表する画家ペルジーノ(Perugino)に委託することに決定した。

天井は、ローマ神話の神のうち、月の女神のディアナ(アルテミス)、戦いの神のマルス(アレス)、商業と知恵の神のメルクリウス(ヘルメス)、全能の神ユピテル(ゼウス)、美と愛の女神ウェヌス(アフロディテ)、時の神サトゥルヌス(クロノス)が、中央の太陽の神アポロ(アポロン)を囲む形となっている。

(※名前の後の(丸がっこ)内はギリシア神話での名前を表す)

壁画には、ペルジーノ作の「ギリシア世界とローマ世界の人々の力と節制」(Fortezza e Temperanza con personaggi del mondo greco e romano)(1498-1500)や宗教画が並ぶ。

また写真には写っていないが、この間の一角には、小さなものであるが、作者ペルジーノの自画像も飾られている。

1500年に完成したとされるこの間の世界観は、64年から68年にかけてローマ皇帝ネロがローマに作った「黄金宮殿」(ドムス・アウレア; Domus Aurea)を基にしているという。

天井画のローマ神話のモチーフと、壁画のキリスト教のモチーフが、絶妙に融合している間である。

続いてその奥には、サン・ジョヴァンニ・バッティスタの礼拝堂(Cappela di San Giovanni Battista)がある。

こちらは、ロンバルディアの建築家ガスペリーノ・ディ・アントニオによって1506-1509年に建てられた。

その後、ジャンニコラ・ディ・パオロ(Giannicola di Paolo)らによって、1529年にかけて、中の装飾が施されていった。

このジャンニコラは、当初は、隣の法廷を制作したペルジーノの作風に習っていたというが、後に、それを改め、ラファエロの作風を取り入れていったと言われている。

この礼拝堂の目玉は、何と言ってもジャンニコラ作の天井画であろう。

まるで星空のように煌びやかな天井画。

また壁画の方もジャンニコラ作(1515)。

なお、このフレスコは、1988年から1989年の間に、天井画は2001年から2002年の間に修復されている。

商人組合の間も同業者組合の間も、こじんまりとした造りながらも、そこでは、ルネサンス期の英知と技が結集した傑作を見ることができると言えよう。

商人組合の間(Collegio della Mercanzia)

住所:Corso Vannuci 15

開館時間:9:00-13:00/ 14:30-17:30 (3/1〜10/31)

     8:00-14:00(11/1〜2/28の火木金曜日)

       8:00-16:00(11/1〜2/28の水土曜日)

                 9:00-13:00(11/1〜2/28の日曜祝日)

休館日:月曜日、1/1、5/1

料金:1.5ユーロ

両替商組合の間(Collegio del Cambio)

住所:Corso Vannuci 25

開館時間:9:00-12:30/ 14:30-17:30

※9:00-13:00(日曜祝日)

休館日:1/1、12/25、11/2-3/15の月曜午後

料金:4.5ユーロ

※※商人組合の間(Collegio della Mercanzia)と両替商組合の間(Collegio del Cambio)との共通券は5.5ユーロ。


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