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友達のサトシくん

僕には変な友達がいる。

彼の名前はサトシくん。ポケットモンスターと同じ名前だが、キャラクターは全然違う。

彼は少し変わってる。どのくらい変わっているかといったら、まぁまぁほんとに変わってる。

彼は、約束の時間には現れない。30分遅れがデフォルトだ。
彼は、いきなり木によじ登る。それが何故かは分からない。
彼は、喜怒哀楽表現をあまりしない。そんな彼だがよく笑う。
彼は、基本的にぼーーっとしてる。まぁまぁたくさん、ぼーーっとしてる。

例えば、何人かで話してるときに、「サトシはどう思う?」って聞いたら「ごめん、ぼーーっとして聞いてなかった。」っていうこのくだり、120回くらいはした。( #最近は仕事を始めてからぼーーっとする癖が改善されつつあるらしい #なんかそれはそれで悲しい

そんな彼と初めて会ったのは、小学校5年生の夏休み。それぞれ違う小学校だったが、友達の誘いで彼の小学校に遊びに行った。そこにサトシくんはいた。何をしたかあまり記憶にないが、一つだけ覚えていることがある。


彼は池に落ちた。


鬼ごっこか何かをしていて、彼は校庭にある池に落ちた。
「池に落ちた友達の友達」それが彼の第一印象だ。

その後、縁あって、同じ中学、高校(高専5年間)に通った。いつも遊ぶみたいな関係ではなかったが、仲は良かった。( #一方通行じゃないことを信じたい
そして、今でも年に1度か2度遊ぶことがある。

でも、未だに僕は彼のことを分かっていない。多分、彼も彼自身を分かっていない。

ただ、分かっていることが一つある。それは、僕と彼はタイプが違う。何が違うかというと、時間軸が違う。

僕は、常に時間対効果みたいなものを気にして生きているし、まぁまぁ何事にも生産性を求めてる。

対象的に彼は、とにかく気にしていない。気にしていないというか、多分そういう概念をあまり持っていない。ひたすらゆるい。ひたすらマイペース。( #早いのは酒を飲むペースだけ
なんなら彼の口から生産性みたいな言葉を聞いたことがない。


そんな彼は、時間軸をバグらせる。


一昨日の夜、彼が帰省していると聞いたので、ウォーキングに誘った。夜が冷え込む季節になってきて、寒さを感じながらも、3時くらいまで喋っていた。近所の川沿いで。何にもないけど。

いつもどおり、その日も彼はマイペースだった。もうひとり別の友だちもいたせいか最後の1時間くらいは寒そうにゲームをしていて、話を聞いてはいなかった。

でも、その空間にサトシくんの存在は欠かせなかった。
そして、無性にその空間が心地良かった。もっともっといたかった。( #寒くて普通に帰ったが

さっきも言ったが、僕はまぁまぁ時間対効果みたいなのことを気にしてる。例えば、意義が見出だせない遊びは嫌いだし、朝まで続く飲み会なんかもっと嫌いである。( #てか行かない

でも、たまに「そんなものは幻だ。」と思わせてくれる場所ある。人がいる。彼らは、あとの事を考えさせてはくれず、もう少しここにいたい。もう少し一緒にいたい。って思わせてくれる。

生産性みたいなことを気にして生きているからこそ、その日常の中で出会う、時間軸をバグらせてくる人や場所、そしてその空間が好きである。

こんなにも忙しく、何より余白が失われつつある時代だからこそ、もう少しだけここにいたい、もう少しだけ一緒にいたいって思わせてくれる人と場所ってほんとに大切。自分も誰かにとってそういう人間でありたいし、そういった空間の一部でありたい。

サトシくんこれからもよろしくです。

おしまい。

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