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本当に好きなもの②


前回の記事のつづきです。


私の目にはもう
Mazdaちゃんしか映らなかったけど、

旦那さんは、
毎月のローンの支払いが高額になることに
強い不安感を示していた。

帰宅してからも
まだ他の車を探している様子。

彼の思い切りのなさにイラッとしつつも
確かに私も、考えれば不安になる・・・


そして、同じディーラーのサイトで

2021年のMazda 3で、ハッチバックではなく
セダンのタイプがあるのを発見。

外観はブラック。

内装は、写真だけ見ると
ハッチバックと同じように見えた。

価格は、3,000ドル安い。


よし、月曜日に連絡して、
これにも試乗させてもらおう。




そして月曜日。

旦那さんは仕事のため、
私一人でディーラーの元へ出向いた。


初めて対面するブラックのMazdaちゃん。
見た目は悪くない。

しかし、車のドアを開けた瞬間、

芳香剤のような匂いがして、
うっとなった。


しばらく乗っていれば
慣れてしまうかもしれないけど、

嫌だな・・・


これが第一印象だった。

ぱっと見たかんじの内装や
運転したかんじは

あのハッチバックと同じ気がするのに、

何かが違う。

テンションもそこまで上がらない。

なんだろう?


試乗を終え、駐車場に車を停めた。

私が恋したMazdaちゃんはまだそこに
土曜日のときのまま停まっていた。

この二台、いったい何が違うんだろう?


ディーラーさんに頼んで、
ハッチバックの方ももう一度見せてもらう。

また乗ってきてもいいよと言われたので、
お言葉に甘えて再びドライブ。

やっぱりこっちの方がいいんだよなー。


その後、両車の内装を見比べると、
ちょっとした違いに気づく。

セダンの内装は完全ブラックではなく、
ピラーがホワイトだったし、
シートの生地も違っていた。

そしてやっぱり、
芳香剤の匂いが気になった。

3,000ドルも価格に差はあるけれど、
私はやっぱり土曜日に乗ったMazdaちゃんが
好きだと思った。

セダンが気に入ればよかったんだけど、
そうはいかなかった。


私は、その場で旦那さんに電話をして、
感じたままを報告した。

彼は仕事が忙しい中、
がっかり&困惑しているようだった。


でも、しょうがないよ。

私がそう感じたんだから。


電話を終えて帰ろうとしたまさにその時、

ディーラーさんが外に出てきて告げた。

今ちょうど別の人から連絡があり、
今日の午後、この車を見に来たいとのこと。

どうしますか?


えーーー!


いきなり追い込まれた私。


今は、午前11時半。

13時まで時間をもらった。


それまでに決められなかったら、
その誰かが来て、今日にでも車を
買ってしまうかもしれなかった。

仕事で忙しい旦那さんに
さらにプレッシャーをかけるようで
申し訳ないと思ったけれど、

事情をメッセージで送り、

私はそのままランチへ行った。


ちょこちょこ携帯を見るも、

メッセージは未読のままで

12:30を過ぎた。


彼の仕事の邪魔はしなくないけど、
ここは大事な局面。

電話しないとダメだ。


事情を説明すると、
旦那さんはすごく不機嫌になった。

今仕事が立て込んでいて、
13時までに決断するのは無理。

こんなプレッシャーの中では
決められないと言われてしまった。

けど、あと数時間後なら話ができると。


私は、自分一人で決められないもどかしさと
不甲斐なさ、そして状況のまずさに
とても居心地悪く感じ、怒りも湧いた。


けど、どうしようもない。

ディーラーさんにそう伝えるしかない。


あと数時間後にまた連絡しますという
メッセージを送った。

もしこれで、あの車が売れてしまったら、
それはそういう運命なのだろう。

逆に、それでもあの車が私たちの元へ
やってくるのなら、それも運命なのだろう。


一旦、手を離した。


家に帰り、旦那さんの時間が空いた
タイミングで話しをした。


私は、あのMazdaちゃんが
自分にとっては快適で、

気分が良くなる(波動が上がる)ことの
大事さを伝えた。

多少支払いは高くても、
それ以上の価値があること、

車は、これから長くお世話になる
友達みたいな存在だと思うと言った。


しかし旦那さんは、
やっぱりお金のことが心配で
仕方がないらしい。

じゃあ、実際のところ、
毎月の支払いはいくらになるのよ?

そこがはっきりしないのに
想像だけで心配するのは無意味だ。


実際にローンが認められるのか、
レートはいくらなのかを知るためには、

クレジットスコア(信用度)の詳細が
調査される必要がある。

アメリカのクレジットスコアは、
お金を借りるためにスコアを調査するという
その行為自体が、信用度を落とすことになる。

なんとも無慈悲な仕組みで、恐怖。

けど、簡易版のスコアなら、
いつでも銀行のウェブサイトで
自分でチェックできる。


いざ蓋を開けてみると、

旦那さんのスコアは、
数ヶ月前に彼が見たときよりも
だいぶ下がっていたようだった。


その数字を見るやいなや、

彼はもうダメだ!無理だー!と言って
失望し、取り乱した。

私は、彼に引きずられまいと、
どうにか自分を保とうと必死だった。

けど、何も言うことはできず、

その場を離れた。


あの車はもう、
諦めなければならないのかもしれない。


ディーラーさんには数時間後に
連絡すると言ったけれど、

結局その日は、連絡できなかった。


人間というのは、一旦底まで落ちると、
また這い上がってこれるものなのだろうか。

私はそのあと、こう思ったんだ。


なんだよ、私が稼げばいいじゃんか。

また自動車工場に長期で出張通訳に行けば
数千ドルくらい稼げるよ。

私が仕事探せばいいんでしょ。


何かが吹っ切れたように、
開き直った自分。


半ばやけくそで、
またネットで車を探し始めた。


そうしたら、ほどなくして、

あのMazdaちゃんと同じ
2021年のハッチバックの色違いで、
2,000ドル安いのを見つけた。

ただ、内装が赤色という、
ちょっと変わった仕様だったこともあり、
この目で確かめたいと思った。

もう夕方5時前だったけど、

ここは全力だ。


バシャールのフォーミュラの二番目

一番ワクワクすることを
できうる限り実行する。
これ以上はもうできないところまでやる。

これを実践すると決めた。


まだ体調がいまいちで
ちょっとしんどさはあるけれど、

ディーラーへ連絡を入れ、
これから車を試乗したいと頼んだ。

負けねーぞ!



30分ほど運転して、
お目当てのディーラーへ到着。

そこは大きなディーラーで、
たくさんの車と、たくさんの人がいた。


お決まりの手続きを踏み、
Mazdaちゃんを試乗させてもらう。


けど、

うーん・・・


なんか、いまいち。

この車があまり丁寧に
扱われてこなかったような感じもして、

なんか違うと思った。


けど、価格は聞いてみたかったので、
試乗後、ディーラーと話をする。

広告で出ている金額に色々上乗せして
提示してくるディーラーも多いけど、

このディーラーは大きいのに、
ごちゃごちゃしたオプションは提示されず、
広告のままの価格だったのが意外だった。

ちょっと夫に相談してみますと言って
帰ることにした私は、最後にもう一度、
さっきの車を見てから、自分の車へ。

すると、なぜかディーラーの担当者が
外まで出てきた。


今、別のお客様があの車を見たいと
言っていますが、どうしますか?


え??また?!


もしあの車を検討しているなら、
1,000ドルの返金可能な手付金を
支払うことで、車を取り置いてくれると言う。


むーーー・・・


旦那さんに電話をした。

けど、彼は手付金を支払うことに

めちゃくちゃ懐疑的だった。


もう、何もうまくいかない。

一人じゃ何も決められない。


私はディーラーを後にしました。


つづく


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