見出し画像

どれだけ料理しても美味しいという言葉を信じれられない理由


ご飯って、初めましての人に作る時は、ちゃんと口に合うか?
美味しいって食べてもらえるか?緊張しますよね。


私もこの3週間ボートの料理人として、毎日自分の親世代のみなさんにご飯を作ってきましたがいつも以上に心配が絶えませんでした。


結果として60代、70代世代の皆さんは、毎日私が作ったご飯を毎日美味しいと言って食べてくれホッとしました。同時に毎回綺麗にたくさん食べてくれたことに感動。


知らず知らずのうちに、父親世代の人はきっとご飯に文句を言う、という潜在意識、トラウマがあったんだと気づきました。

しかし、ダイレクトに美味しいと伝えてくれるゲストのお陰で、その固定観念から少し解放され、心配が薄れました。


私が心配していたことは、自分が小さい頃から植え付けられていた父親はご飯に満足しない、文句をいうモノ、という経験がインプットされて、知らず知らずのうちにご飯がみんなに喜んでもらえないんじゃないかという心配が心の中にあること。

おいしいという言葉は嬉しいけど、心から喜べないでいた

子供の頃、私の母親は毎日ご飯を作ってくれました。
今は料理を作って生きている身だから、作ってくれる人のありがたさを身に染みて感じます。

実家に帰った時は、美味しい!と言ってお母さんのご飯を食べるようになりました。思ったことを口に出すって、されると嬉しいから自分もやっていきたいです。1

私は自分の家庭で育ったからわかりませんが、友達が実家に泊まりに来るとおかずの種類が多いね!と言われます。

それは、父親がおかずの種類が少ないと機嫌が悪くなるからでした。

本当にご飯の文句が多かった父親。
気に入らないおかずがあると、不機嫌になって手をつけなかったり文句を言って食卓の雰囲気が悪くなることもよくありました。

だから、ご飯は美味しかったけど楽しいと言うか、父親の機嫌を伺う食卓というのが印象に残っています。


特に親世代の方に毎日の食事を作るという不安


無意識に、父親世代のお父さん達は食にうるさい、という潜在意識が植え付けられていたと思います。
私が美味しい、と言ってくれることに喜びを覚えるのは、まず否定されることが当たり前だった期間が長かったのもあるかもしれません。

それ以外にも、料理の仕事はガサツな私には合わないとも何年も言われていましたし、気にしないフリをしていましたが親の言うことは気にするに決まっています。

船の料理を作る上で心がけたこと

本当に自分が食べたいもの

色んなジャンルの料理を作るけど和食テイストにした事

口に合うように、誰が食べてもマイルドで美味しいと言ってもらえるような、そんな料理を作ろうと心がけた。


それでもやっぱり心配していた、本当に美味しいと思ってもらえるのか?

世代が上の方は、きっと毎日高級な食事をしてらっしゃる。
私の料理は若者には受け入れられているけれど、親世代の人の口に果たして合うのか、、、。


どんなに感謝されても、根元に食事に満足しない父親像が胸の中に30年もあるため、褒め言葉はお世辞じゃないのか?とか、みんな優しくしてくれているんだ、と信じられない気持ちでいました。

ほんと、幼少期の記憶って怖いです。

でも、本当に毎日たくさんのお褒めの言葉をいただいて徐々に信じられるようになりました。

ご飯が美味しいから食べ過ぎちゃった
こんなご飯を作ってみたいから、日本に帰ったら作ってみようと思う。
いっぱい食べたけど、健康的だから体重が減ったよ。
いつも暑い中、ご飯を作ってくれてありがとう。
どれが美味しいってことはないけれど、全部美味しい。


本当にみんなと、一緒にご飯を食べて過ごし、残すことなく毎回満足してもらってました。


父親世代のお父さんも食事を美味しいと言ってくれるんだ!ということが、一番の驚きでした。


今回クルーズ船の料理人をしての気づきをまとめ。

親世代の人の口に合う料理も作れる。
団塊世代の人がみんなご飯に文句を言う訳じゃない。

高級じゃない、だけど食べると楽しくなる、そして飽きのこない、驚きのあるご飯をつくっていきたいと思います。

なおちゃん料理人のページにおこしいただきありがとうございます。料理を通して、みんなの楽しい時間、地域活性、色んなフィールドとのコラボレーションを目指しています。ボーダレスな料理で笑いと笑顔を届けていきます。