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バレエの切手~その1~

バレエが切手のモチーフなることも少なくありません。

これはそんな例の一つ。

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こんな素敵なシートになっています。
ロシアで2000年に出たものです。
ですから、よく見るとバレエだけではありません。
全部誰か、何の作品か分かった方、スゴイです! ロシア通です。


まずはバレエ・リュスから。

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ストラヴィンスキーとニジンスキーが並んだ有名な写真に後ろにディアギレフがぼんやりと描かれています。
中央はアンナ・パヴロワ、右は特徴的な衣裳が分かりやすい『シェエラザード』で「金の奴隷」を踊るニジンスキーです。
また、枠に左は『カルナヴァル』の「アルルカン」、左上の角はマティスが美術・衣裳を手掛けた『ナイチンゲールの歌』、そして上部の女性二人、左はおそらく『アルミードの館』、右は『春の祭典』の「生贄の乙女」です。
かなり細かく描かれていることがわかります。

ですが、これちょっと面白いのはペレストロイカ以前のロシアでは、バレエ・リュスというのは芸術界では知らない人はいないほど有名な、成功した存在でありながら、ロシアをいわば「裏切った」存在として、表だって語れない「日陰」の存在だったのです。

そうした存在、そして一度もロシアで上演しなかったバレエ・リュスが ”ロシアの芸術家” として切手になっているのですから、時代は変わるのです。

左の列の下から2つ目の切手は何と、演劇論と言えば‥‥のスタニスラフスキーと粛清で命を落としたメイエルホリドが1枚になっています。

メイエルホリドの粛清の詳細が分かったのもペレストロイカ以降の事でした、それまでは伝聞的にどうも粛清で死んだらしい…と伝わっていたのです。そうした存在もまた、こうして切手になっています。

バレエはもう一人紹介されています。
生きていたころからロシアで賞賛されたバレエ・ダンサー。

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ガリーナ・ウラノワ。技術的に優れていたのはもちろんの事、詩的で繊細な表現を得意としたダンサーでした。
いわゆる ”ジゼル・バレリーナ” の一人ですし、初演を踊った『ロミオとジュリエット』でのドラマティックな表現も忘れ難い印象を残したそうです。

ちなみに、『ロミオとジュリエット』は実は長い歴史の中ではバレエとしては割合最近の作品でプロコフィエフの音楽、ラヴロフスキー版が初演されたのは1940年代。「ソヴィエト・バレエ」の代表的な作品として冷戦時代のヨーロッパでもしばしば上演された作品でもあります。

私はウラノワが審査員や指導者として活躍している姿しか実際には知りませんが、映像を見てもその抒情性は伝わってくるように思いますが、どうでしょうか。


このウラノワの一つ上はロシア未来派の旗手の一人ウラジーミル・マヤコフスキー。
その上は『戦艦ポチョムキン』で知られる映画監督のセルゲイ・エイゼンシュタイン。

と、すべて紹介すると12名分、長-くなりそうなので、この辺で。

バレエの切手は色々出ているのですが、あまり紹介される機会もないので少しずつ紹介していかれたら、と思っています。

10月1日のZoomトーク、是非ご参加下さいませ。
(11月はお休み、12月開催予定です。)









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