Naoko Yamamoto

オランダ在住18年のフリーランスライター。ネットや雑誌でオランダの経済・生活情報を発信…

Naoko Yamamoto

オランダ在住18年のフリーランスライター。ネットや雑誌でオランダの経済・生活情報を発信する。著書『週末は、Niksen。』(大和出版)では、オランダ人のリラックスしたライフスタイルを紹介。

最近の記事

葬儀を自分でプロデュース、安楽死で逝った近所の友人

※写真(↑)はハンスの作品「アイントホーフェン市とポーランド・ビアリシュトク市の提携を祝う音楽家たち」 日曜日の午後2時から、近所の教会でハンスの葬式があった。享年76歳。安楽死であった。 ハンスは近所の友人ヤニーの夫で、私の子どもたちがまだ小さかったころ、ヤニーとともにシングルマザーの私をなにかと助けてくれた。子供たちもハンスの自転車の後ろに乗って登校したり、学校で必要だったオランダ語の詩を書くのを手伝ってもらったりしたのをよく覚えている。静かでシャイでユーモアがあって

    • オランダ・私のパワースポット①:デザイナーの夢が詰まった「PIET HEIN EEK」

      これまで世界のいろいろな都市で生活してきたが、どこに住んでもときどき訪れたい自分のパワースポットはあるものだ。今、私が住んでいるEindhoven(アイントホーフェン)では「PIET HEIN EEK(ピート・ハイン・エイク)」がその筆頭に挙げられる。街の中心部からちょっと外れたところにあるので、しょっちゅう行くわけではないのだけれど、なにも予定がない日がちょろっとできたりすると、自転車でぶらりと出かけてここのカフェで一人お茶を飲んだり、ショップを覗いたりする。 ピート・ハ

      • 「バカ殿」たちの祭典!オランダ南部で盛り上がるカーニバル

        今年もやってまいりました。カーニバルの季節です。キリスト教カトリックの行事で、オランダでは南部だけで異様な盛り上がりをみせる祭典です。同じキリスト教でも、プロテスタント的文化の強いオランダ北部では全く見られないそうで、デン・ハーグに住む友人は「今日も平常運転な土曜日です」と言っていました。 私が住むアイントホーフェンでは、午後1時11分という中途半端な時間(この1-1-1に意味があるらしい)から毎年恒例のパレードが催され、さまざまなキャラに扮装した老若男女が集まりました。「

        • 気分転換はデザイン展で。「OBJECT Rotterdam」で触れる新しい発想

          なんとなくうまくいかないことが続いていた日々、デザイナーの友人からデザイン展のお知らせをいただいた。「迷ったら、行く」を今年のモットーにしている私は早速、電車とバスを乗り継いで、ロッテルダムの港近くのちょっとワイルドな地区で開かれている「OBJECT ROTTERDAM 2024」を見に行った。 平日の昼間だというのに、会場は結構な人でにぎわっていた。今週末、ロッテルダムでは別の会場で美術展の「Art Rotterdam」や写真展の「Rotterdam Photo」も開催さ

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          「オランダのトランプ」ことウィルダ―氏が圧勝、極右・自由党躍進で移民制限は必至

          オランダ総選挙は予想外の結果に!極右政党PVVが大勝利 オランダやばい…! 昨夜、出先から家に帰ってきてテレビをつけて見た選挙結果に、私は思わずこう言ってしまいました。いやはや、誰がこの展開を予想したでしょうか! 「私たちは、オランダ最大の政党になりました!オランダはオランダ人の手に戻り、難民の津波は制限される!」 下院150議席中、35議席を獲得して最大政党となった自由党(PVV)のヘールト・ウィルダ―氏は、勝利の演説でこう叫びました。同党はオランダにおけるイスラム

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          オランダの政治に激震!新リーダーが続出する総選挙に注目

          パレスチナの惨状が報道される毎日ですが、ここオランダではもう1つの大きなニュースがメディアを賑わせています。そう、あと2日で(11月22日)総選挙が行われるのです! 今回の総選挙は、7月にマルク・ルッテ首相率いる内閣が崩壊したことによるもの。移民政策を巡って連立政権の中でどうしても合意に達することができず、内閣総辞職となったのです。連立政権はルッテ氏率いる自由民主党(VVD)のほか、キリスト教民主党(CDA)、キリスト教連盟(CU)、民主66党(D66)の4政党から成ってお

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          ダッチ・デザイン・ウィーク2023年を振り返る:人生をデザインする「NIKSEN(何もしない)」プロジェクトも出現!

          毎年恒例のダッチ・デザイン・ウィーク(DDW)。今年も10月21~29日まで、オランダ南部のアイントホーフェン市で大々的に開催されました!DDWは今年で22年目。はじめは規模が小さくて、もっと粗削りな感じの祭りでしたが、だんだん規模が大きくなり、洗練もされ、いまや世界中から30万人以上が訪れる一大イベントに発展しています。 展示されているものも、小物や家具から、食べ物、農村・都市、社会コンセプト、そして人生まで、ありとあらゆる多様なデザインが集まりました。昨今のテーマは「サ

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          今年は絶好調!?アイントホーフェンの地元サッカークラブPSV

          サッカーファンの間ではよく知られているが、私の住むオランダのアイントホーフェン市には、「PSV」というサッカークラブがある。もともとオランダの有名企業であるフィリップスが従業員のためのスポーツクラブとして立ち上げたもので、PSVは「Philips Sport Vereniging(フィリップススポーツ協会)」という色気のない名称の頭文字を取ったものである。 もちろん、地元民には熱狂的なPSVファンが多い。試合があった翌日には、仕事のミーティングなどもまずはPSVの試合結果

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          先生たちがピン芸人化?!笑いの中に涙あり、オランダのカジュアル卒業式

          日本は3月が卒業シーズンだが、ここオランダは7月がそれにあたる。仕事も、学校も、プライベートな付き合いも、すべてが夏休み前に向かって大急ぎの大忙しという中で開催される。 我が家の男子2人は、それぞれ小学校、高校を卒業する年に当たったので、卒業パーティやらさよならパーティやら、先週はいろいろ盛りだくさんだった。 高校卒業は人生のマイルストーン オランダでは高校卒業というのは1つの大きな節目である。日本と違って「大学入試試験」というのはないのだが、それに匹敵するものに「高校卒

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          「恋人はAI」は現実に?ChatGPT時代に映画『her/世界でひとつの彼女』を見直す

          ライター業はもう要らない? なにか質問すると、まるで人間のように自然な対話形式でAIが答えてくれる便利なチャットサービス「ChatGPT」が話題になっている。「もうライター業は必要なくなるかもしれない」と言われるほど、ChatGPTの調査・まとめ力はすごいというので、私も早速使ってみた。……むむ、これは確かにすごい。 例えば、「オランダの経済力について教えて」と、質問を入力すると、一瞬のうちに「1,2,3……」と箇条書きにして、実に簡潔に的確に要点をまとめてくれちゃう。こ

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          海外暮らしの「薄切り肉」問題

          海外暮らしが長いけれど、どこの国でも私の生活の割と大きな課題となっていたのが、薄切り肉をどこで手に入れるかということだ。日本のスーパーなどでパックで売っているような薄切りの豚バラ肉や、すき焼き用の牛肉は、ほとんどの国で普通に売っていない。でも肉屋に行けば、とりあえずはハムなどを薄く切る機械があるので、私が海外でまず探すのは、肉を薄切りにしてくれるいい肉屋だ。 19年前、オランダ中部の街ユトレヒトで生活をはじめたときも、まずは近所の肉屋で薄切りを頼んでみた。おばさん従業員は面

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          オランダ国王の日はWin-Winの殿堂フリマを楽しもう!

          4月27日の国王誕生日はオランダ人の大事な祭日で、全国がオランダ王室のカラーであるオレンジ色に染まる。そして、この日は市民がフリーマーケットを開ける日でもあり、街の広場や公園では、敷物を広げて家のガラクタや自宅で焼いたクッキーなどを売る人々でごった返している。 私はオランダに住んで19年。これまで一度もフリマに参加したことがなかったのだが、子どもたちが使わなくなったオモチャなどが溜まってきたので、このたび初めて「出店」することにした。家を整理したら、大きな段ボールに6~7箱

          オランダ国王の日はWin-Winの殿堂フリマを楽しもう!

          昔っぽいオランダがいっぱい、北部フリースラントへの小旅行

          オランダの国名「Nederland(ネーデルラント)」は「低い土地」という意味を持つ。オランダはアルプス山脈などに水源を持つ大きな川が北海に流れ込むところに位置する関係で、国土の多くが「デルタ」と呼ばれる三角州になっている。海抜ゼロメートルよりも低い土地が多く、埋め立て地もたくさんある。 そんなデルタなオランダを見たければ、西部の南ホラント州とか、ゼ―ラントとかが筆頭に上がるのだが、北部フリースラントもおススメだ。南部アイントホーフェンから高速道路に乗って約2時間。首都アム

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          フェルメール28作品が大集合!アムステルダム国立美術館にて

          日本人に大人気のフェルメールですが、本場オランダでもめっちゃめちゃ人気があります。理由のひとつはその希少性にあるのでしょう。本当にフェルメールが描いたのかどうか疑わしいものも含めて37点ほどしか作品が見つかっておらず、それらが欧米を中心に大小の美術館に点在しています。 そのうちの28作品がオランダ・アムステルダムの国立美術館(Rijksmuseum)で展示されるというので話題沸騰!チケットのオンライン予約が殺到し、一時期はシステムダウンにも陥っていました。やっとのことで繋が

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          悩めるオランダ高校生のキャリア選択、息子がいきなり方向転換

          オランダの中等教育(中学・高校)で職業コース(VMBO)に通っている息子。大学進学コースとは違って、4年間という短い学校生活が早くも終盤を迎えており、いよいよ次は本当に職業に直結した専門学校を選ぶ時期がきている。 先月はいろんな学校のいろんなコースが紹介される「教育マーケット」なるものに行ってみて、「足病学」に興味を持った息子。それを目指してまずはMBO(中等職業教育)の「スポーツ学科」に進むのだと思っていたのだが、どうもピンとこないところがあり、いろいろ悩んでいたらしい。

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          ダッチ・デザイン・ウィーク 2022を振り返る

          今年も行ってまいりました!オランダ南部アイントホーフェン(Eindhoven)市で開かれる「ダッチ・デザイン・ウィーク(DDW)」。今年は10月22~30日まで開かれましたが、素晴らしい秋晴れの日が続き、例年よりも盛況だったような印象でした。 個人的にあまり時間がなく、かなり駆け足で一部しか見ていないのですが、秋のオランダを盛り上げる、この文化イベントの雰囲気をお伝えできればと思います。 もう最近のDDWの定番テーマといえば、サステイナブル。今年もたくさんのサステイナブル

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