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ワルプルギス前夜(イブ)④ソロモンの審判

「はあ?欲しそうだったから本を勝手に売った?」


しゅんとするアンドー
「売り上げに貢献できると思い
出過ぎた真似を、、、、」

仁絵は呆れたように
「このコーナーは取り置き!!お得意先の漫画家が明日取りに来るの!」

アンドーが勝手に売ってしまった本の出来事は
外伝の
この章をお読みください。😀

「もう、、、簡単に手にはいらない本なのに、、、」

アンドー
「アマゾンならなんとかしてくれますよ!明日までに!」

冷たい目で小馬鹿にするようにみる。

レジ前の椅子に座り机を片付けると
新しい領収書控えが

28000円、、、この値段は
「ソロモンの本の値段だわ、、、」

その本の領収書控には
S学館と書いてあった。

「S学館の編集者か、、、なら返却してもらえるかも」

えびす堂から歩いて5分もかからない。

「アンドーさん、これ買った編集者さん何の担当かわかる?」

あ、、、、と呟くとカレー屋での会話の出来事を細かく脳が再生した。

いじめられてた。
じゃが芋食わされてた。
なんか、、、ゴシップの話のネタ
漫画家が覚醒剤とか、、、

本を売った時の時間に戻るアンドー

ソロモンの本を読んでいる若い編集者

「漫画のネタ探しですか?」
声をかけるアンドー

「いいえ、、、この本、、、本当かなって72体の悪魔を使役することできたら、、、すごいなって」

「悪魔が使えたら最強すね。、、、、漫画のタイトルになりそうですね。
編集者72体の悪魔を使役する!売れなさそう、、、」
自虐的に笑う編集者
「S学館サイトーと言います。児童百科事典作ってます。次の百科事典は悪魔にしようかなって」

「サイトーさんです!!!
児童百科事典!!!!!」

「いくわよ、、、あんたもついてきなさい!!」
仁絵に引っ張られてしょげたアンドーがついていく。

アンドー
「、、、あれですよね、、、
ネットでめちゃくちゃ言われている
地獄のような出版社、、、、
5ちゃんで知った情報ですけど、、、」

仁絵
「そうね、、、問題が多い会社ね。」
アンドー
「問題、、、ご存知なんですか?」

仁絵
「まあね、、、ざっくりと
編集者ならあなたも知っておいた方がいいわよ」

例えば、、、オリンピックの贈賄で社長が
逮捕された◎ADOKAWAの成り立ちって

「版権が切れた名作を売って一儲けしたの。

昭和文学全集
それが大ヒットしたの。

版権が切れた作品だから
出版社は作家に印税を支払わなくて良かったし。
全集ってのは頭がよく見える見栄が映える物だったから
当時は書斎に議員さんや
金持ちがこれでもかっておいて
学のなさを地方の名士が隠すアイテムだったの
高額商品なのに飛ぶように売れたのね。
いまでいうとワンセット何百万みたいな値段。
詐欺みたいな商品だったんだけど。

言ってみれば元々山師の会社なの
メディアミックス、映画だという山師の素養が最初からあるのよ。」

S英社は
「S学館からエンターティメントを抽出して作られた子会社
でも売り上げも、純利益も国内最大手の出版社ね。
娯楽雑誌を専門にしている会社で
少年誌では最後発だった少年ジャンプが世界で一番売れている少年誌になったのは
説明するまでもないわね。エンタメの王様の出版社」

S学館
「一橋グループの長。名前の通り
小学生の教育書籍を中心に創設された会社。
つまり、百科事典や小学生向けの児童教育に特化した会社名が由来。
コロコロが日本の子供に愛され続けている理由も
その性質からきているの。

ただ、とんでもなくお金持ちなのね。経営者が
ここら辺のビルとかS学館とS英社のものばかりじゃない?ってくらい

子供達の本が、戦争やその他の事情で
政府に検閲されても抵抗できるように
自分達の財産だけでも経営できる仕組みが作られていて
本が全く売れなくても社員のお給料と企業年金が出せるほどなの。」


アンドー

「全く本が売れなくても、、、給料が払える,、、」


仁絵

「戦争からの教訓ね。それが80年も経つと
俺たちは社長一族の
お金で作家を食わせてやっているのだ。という傲慢に変わってしまう社員もいるの。少なくない人数ね。


Kダンシャもにているけど
創業一族がここ数年音羽の土地を切り売りして会社の赤字を埋めてたたの
巨人の漫画や電子書籍で赤字をストップさせたけど
最盛期の年商2000億には届かない。

ソフトバンクが6兆
キャノンが4兆
ソニーが12兆
トヨタが37兆

つまり出版界は全部合わせても
孫正義一人に経済の上では勝てない。

本の価値というのがお金で測れない部分が多いから
芸術事業、文化事業、慈善事業的な側面があるのよ。」

アンドー
「僕たち、、、小さい存在なんですね?、、、、あのハゲが、、、、そこまで強いとは」

S学館のロビーでアポを取っている
二人

何かロビーが大騒ぎしている。

ロビーのテレビに
漫画家の自殺の報道が流れた

アンドー
「!!」

悲鳴を上げる社員。

仁絵
眼鏡を上げながら「。。。。。」

騒ぎの中
サイトーがロビーに降りてくる。
「大変な事になって、、、場所を変えましょう」

ザボウルという喫茶店に
コーヒーを飲みながら
紙に包んだ28000円を渡し

サイトーも本を渡す。

「中身もう読んじゃいました、、、すごかったです。」

エメラルドの翼を持つ
大天使ミカエルに指輪を授かったソロモン王が
真鍮と鉄で出来たリングで
天使を使役する時は真鍮を
悪魔、魔神を使う時は鉄の部分を使う。

その指輪はあらゆる動物と会話できる。

これらは実は
本当にあった事で
他民族や言葉が違う種族を一つにまとめようとした事なのでは?という考察。

観察力に優れていた王が
動物と会話しているように見えた事だと書かれていました。

僕はてっきり呪いの本かと、、、」

アンドーも

「僕もドス黒い、呪いの方法かと思いました、、、そういう内容の本なんだ、、、」


仁絵
「すでにもYouTubeやSNSのおかげで動物が会話できる事は
有名だけど
昔は獣や鳥が会話してるなんて思っていなかったのよ。
ソロモンはそれに気付いた古代の人という内容の学術的な本ね。

殆どの動物は
言語的な機能を持っているの。

またほとんどの動物にも同性愛が存在している。
ずっと以前から変わる事なく
彼らは喋り続け、愛し続けている。」

アンドー
「、、、、魚とか肉、食べれなくなっちゃうじゃないですか、、、」

喫茶店の中は
漫画家が自殺した話題でひしめき合い始めた
この喫茶店は出版関係者がほとんどだからだ。

アンドー
「何があったんでしょうね、、、S学館の悪事でしょうか?」

目の前にS学館の編集者がいるのにこのような発言ができるアンドーは
鈍感なのだ。
逆の意味では、裏表がないとも言える良い人間の証でもある。

サイトー
「板挟みにあったんでしょうね、、、うちの会社は作家守らないし
TV局とうまく調整したかったのかもしれません。
パワーバランスはTVが上ですから」

日本テレビの年商は4000億である。
S学館は900億。

アンドー
「孫正義一人に、、、、出版界は勝てないんすよ。」
さっき聞いた話をさも自分の話のように話す男
それがアンドー。

仁絵が言う。
「賢明なソロモンの話にこんなのがあるわ、、、

ソロモンの審判 列王紀略上3:16-28

二人の女が子供を産んだ。
しかし、赤ん坊の一人が死んでしまう。

その子の母親が、
もう一人の赤ん坊を自分の子だと言い張った。

二人は賢王ソロモンの前に行き、
どちらの子か決めてもらうことにした。

ソロモンは刀を用意させ、
二人のために、

この子を二つに切り裂こうとした。



そのとき、一人の女が叫んだ。この子はあの女にやってもかまわないから、殺さないでください。


本当の母親が判明した。」

アンドー
「これは、、、、」

「大岡越前の大岡裁き!!じゃないすか
手をひっぱりあって泣き叫んだ時手を離した方の母親が
本物っていう」


仁絵
「そこにひっからないで!話の腰折らないで!黙っていて!」

サイトー
「作品を守るため、、、ですか、、、」

仁絵
「、、、作品を自分の子と見立てる作家は多いわ。
引き裂かれるような
思いをしている作品のために、、、
なのかもって思っただけ。」

というとスッと立ち上がって

「この本、漫画家さんの取置きなの、渡してくるわね。ネタがないネタがないって騒いでたから」

喫茶店を出て行く仁絵

サイトー
「悪魔は人間だとあの本に書いてありました。

事実無根の中傷や噂を使う

保身のために
仲間を裏切り

小銭のために

人の命を奪う悪魔たちを
ソロモンは巧みな知恵で退治していきます。
きっとそういう物語を描く漫画家さんに向いてる本だと
思います。」


アンドーは、、、、遠くを見つめて

なんかわかりあってる風の
二人に嫉妬していた。


「ソロモンの審判」完

次回「ワルプルギス前夜(イブ)⑤」

「EVE」

4月中旬頃



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