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深水埗信興酒樓その2

昨年12月29日で80年の歴史に惜しまれつつ終わりを告げた香港深水埗の老舗(広東料理)レストラン信興酒樓。こと、常連客にとっては今まだ閉店した事が

信じられない事かも知れないと一旅行者である私も思うのであります。信興酒樓に行ってみて感じたことを今一度書きたいと思います。これは信興酒樓に実際に行ったことがある皆さんはご存じだと思いますが、信興酒樓のメニューは

昼間は飲茶が出来、以前はワゴン式だったそうですが、閉店するまではセルフサービスで、出来上がった点心を自分で取りに行くと言うものでした。食べる気満々で入店した私はとにかく出来上がった点心が所定のところに運ばれてくるやいなや、すぐさま取りに行っておりましたが、列に並びながら店内を見渡してみると、それぞれのテーブルで皆会話を楽しんでいる光景を目にして、このお店は、例えばここのメニューの〇〇を食べに来るのではなく、この信興酒樓で憩いのひとときを過ごすために来るのだと。そして、たまたま出来上がった点心を適当につまんで、あとは話をするなり、新聞を読むなり、とにかく憩いの時間を過ごすことも、この信興酒樓での大きな醍醐味ではなかったのではないかと、これこそ香港に伝わる真の酒樓の姿ではないかと。勝手ながら思いました。店員さんのサービスが特別良いものでもなかったかも知れないけれど、良心的な値段の美味しい点心。その上で憩いの場所を提供する事こそ、これ以上のサービスはないのだろうと更に思いました。

そのような貴重な場所が失われていくのは、香港の文化や伝統が薄れていく気がして、とても残念に思います。香港の未来のためにも、文化や伝統を大切にしていただきたいと、強く願います。


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