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『年に一度、異次元へのとびらが開きます。夏の終わり、幻想的な世界がそこに…』


年に一度、
異次元への扉が開く京都の法然院。

今年も行って来ました。

鎌倉時代の初めに
ここ法然院で繰り広げられた悲恋の物語。
法然上人は讃岐国へ流罪、
弟子の安楽・住蓮は死罪となりました。

その後、久しく荒廃していた草庵…
江戸時代初期の1680年(延宝8)、
元祖法然上人ゆかりの地に
念佛道場が建立されることになり、
現在の伽藍の基礎が築かれたのです。


通常伽藍内は非公開。
毎年、4月1日から7日までと
11月1日から7日までの年2回、
伽藍内部の一般公開を行っています。

…が、
夏の終わりのこの日は
特別に幻想的な世界への扉が開かれるのです。

一歩、足を踏み入れると
どこか懐かしい香りに包まれ…

更にあゆみを進めると
奥深い森のような神秘的な香りが漂い始めます。


浄土庭園では七色の光が明滅し、
北書院の障子には
電飾によるインスタレーションが…

奥へ奥へと進むたびに変わる香り。

透明感のある軽やかな香にいざなわれ、
方丈に歩みを進めると…
そこには電子音楽の音色が奏でられる
うつつとはかけ離れた別世界が広がっていました。

夕刻にはツクツクホーシの大合唱だった庭も
夜の帳が下りると
涼やかな虫の音に変わります。

電子音楽にあいまって、
ししおどしの岩を打つ音…

そして、
その異世界で振る舞われるお茶は、
また格別です。

茶席には
枯山水に見立てたオブジェが置かれますが、
たえず、その配置が変えられます。

置き切った時が『完成』ではなく、
変化し、置かれて行くプロセスすべて、
まさに、その過程こそが完成形であるのです。

諸行無常の完成形…

その演出を手掛ける中山福太朗さん。


2009年から続く、
この異次元へのいざないは、
『電車音楽の夕べ』と名付けられています。

嗅覚、視覚、触覚、味覚、聴覚…
まさに五感を刺激され
うつつの世界から、
ある意味、夢の世界へと旅立つ貴重な瞬間を、
毎年、この夏の終わりに与えてくれるのです。

もう既に、
来年の、この日が待ち遠しくなって来ました。

来年、異次元に旅立ってみませんか?

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