ビスホスホネート服用中の抜歯による骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)リスクを鑑みトレーシングレポートで報告した症例

先日、Twitterで投稿した内容なのですが・・・
実臨床でけっこうあるあるな内容なのかなぁと感じて~
今回このテーマに決めました。
ビスホスホネート製剤も経口だけではなく、注射剤も多く、月に1回、半年に1回や年に1回のものまで色々。
最近は、半年に1回や年に1回注射剤投与の前には、「歯科治療がもしあるなら先に終わらせてね」みたいな話しを、整形ドクターが予め患者さんに説明されているケースも多くなってるなって感じております。
だけど、そんな親切なドクターばかりではありませんし、薬剤師もしかり・・・
当局ではビスホスホネート製剤投与中の患者さんには、歯科の検診を投薬の度に勧めるのですけど・・・
ご高齢患者さんは、わりと歯科検診を受けていらして!あらすごい!って感心する事もしばしば。
口腔内環境が良ければ、ARONJ発症リスクは低いはずだから、もし投与継続中に抜歯する事になったとしても、あまり心配ないかなぁ~って思っている。
実際、抜歯していなくても顎骨壊死はある。
しかも顎骨壊死の前ぶれって全くわからなかった。
過去3~4例経験あるが、どれも突然だった。
いや、きっと進行はしていたのだろうけど、気づく前に・・・
歯が数本以上突然抜けてしまったのだ。
こんな事になるのかと・・・ 
どれも、歯科でビスホスホネートによる顎骨壊死と診断。
原因ははっきりわからないけど、口腔内環境の問題だったのかもしれない。
やはり、歯科検診は大事だなぁって改めて思っている。
顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016を読むと~
徐々に難治性の顎骨壊死(BRONJ)の病態に対する理解が深まり、骨隆起部での自然発症などの例外を除いて口腔管理を入念に行えば、あるいは歯周組織や根尖の病変を除いておけばBRONJ発生を予防できることが明らかとなりつつある。
骨吸収抑制薬の投与を受けている患者の侵襲的歯科治療
1)侵襲的治療前のビスホスホネート休薬
  骨吸収抑制薬の休薬が顎骨壊死発生を予防するか否かは不明である。
  骨に長期間残留するビスホスホネートの物理化学的性質から推測すると
  短期間のビスホスホネート休薬がBRONJ発生予防に効果を示すか否かは     
  不明である。
  発生頻度に基づいた場合にBRONJ発生のリスクよりも骨折予防の
  ベネフィットがまさっている。
5) 骨吸収抑制薬再開時期
   侵襲的歯科治療後に休薬した場合、骨吸収抑制薬再開は基本的には
   侵襲的歯科治療部位の十分な骨性治癒が見られる2ヶ月前後が望まし
   い。しかしながら、主疾患の病状により投与再開を早める必要がある
   場合には、術創部の上皮化がほぼ終了する2週間を持って術部に感染
   が無いことを確認したうえで投与を再開する。歯科医師は侵襲的歯科
   治療部位の治癒を確認できた時点で骨吸収抑制薬の投与再開を主治医
   に速やかに連絡する。
ARONJの治療と管理
3 ARONJ治療中の骨吸収抑制薬投与
   ARONJに対して外科的処置を行った場合、術後は手術創が治癒するま
   で骨吸収抑制薬の投与を控えたほうが投与を継続した場合よりも治癒
   良好であったとの結果が示されている。
なるほど~ 
今回のケースで色々と勉強になったぁ~
あっ!
まだ本題に入ってませんでしたね。
今回のケースですが・・・
患者さんのバックグラウンドの説明に際して、とてもレアなケースでもあるので、あえて以下の話については有料とします。
ごめんなさい。

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