甘草による低カリウム血症疑いのため甘草含む漢方製剤減量提案に至った症例

MMSE20点以下の中等度認知症患者さん。
ガランタミン12mg2錠分2継続中、ご家族に暴言を吐いたり暴力をふるうなどの行動出現のため、抑肝散が追加処方となり、暴力的な行動は治まったが・・・ この時抑肝散は7.5g分3で継続。
服薬介助はご家族やヘルパーさん、デイサービスのスタッフ。
アドヒアランスはとても良好。1ヶ月の内1回服用もれがあるかないかの程度。もちろん一包化(1日分ずつわけて)で抑肝散はテープ止めしてお渡ししておりました。
処方元は脳神経専門医ではなく内科ドクターなのだが、認知症の診断は専門医のいる病院にて。
年に1回は認知症の進展がないか、薬はこのままで良いのかを判断して頂くためにその専門病院受診し、画像診断もされていた。
中核症状の進展は認めず、ガランタミン12mg2錠分2で問題ないとの事だったが、周辺症状で介助が大変とのご家族の申し出により、内科ドクターに抑肝散処方追加を指示して下さった。
抑肝散7.5g/日はなんとなく多いのでは?って思ってたけど、暴力的な行動が治まった事でご家族は安心されており、ふらつきや食欲低下などもなく、浮腫悪化も無い様子だったから、勝手に大丈夫だと思い込んでいた。
甘草は7.5g中1.5gだし・・・問題ないのかなぁ~なんて。
ただ・・・内科で採血はされていたが、受診間隔が2ヶ月ごとで、採血は4ヶ月おき程度。場合によっては6ヶ月空いてる事もあり。そのためカリウム値の変動に気づけず・・・
でもってある時、ご家族からのLINEで救急受診されたと知り・・・
通院している総合病院ではない別の病院につれていく事になり、そこでの採血結果と当日の院内での処方内容をLINEで知らせてくださった。
低カリウム血症と診断され・・・
継続中の抑肝散をいったん中止。でも7日も経たない内に暴力的な行動が出現するようになり、ご家族から抑肝散を再開したいとの申し出で、1日2回に減らして様子見ていただいたが、やはり3回服用させている時の方が落ち着いていたとの事で、3回服用させる事となった。
その後のカリウム値は低めの時もあったが、その時はカリウムを多く含む果物やイモ類を摂っていただくようお伝えしていた。
CKDG3aでARB服用のため高カリウムにも注意は必要だったが、抑肝散追加となってからは、一度低カリウム血症になってるわけだし、むしろ低下しないよう気を配っていた。因みに利尿剤投与は無し。
それでも再び約5ヵ月後低カリウム血症に至ってしまった。下痢や嘔吐はなかったが、食欲低下はあった様子。この時は通院されている総合病院に救急受診。採血され、院内で点滴治療されることに・・・
やはり抑肝散を減量するべきだけど、単純に減らしてという内容では説得力にかけるなぁと。
で~色々資料を調べて・・・ 見つけました!
「甘草減量により偽アルドステロン症が軽快した2例」「漢方製剤による低カリウム血症、偽アルドステロン症」
この資料を添付して情報提供する事に致しました。
この資料では甘草1.0g/日だと低カリウム血症リスクが低いのではないか・・・という内容でしたので、抑肝散をほんとは1回/日にしたかったが、ご家族の希望も鑑みて、7.5g/日→5g/日(甘草1.0g/日)に減量提案する事に決めました。
採血データは参考値ですので、ご了承ください。

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