一瞬で泡となって消えた菜穂次郎。
宗次郎のオカリナを聴いた時
すぐに教室を探して予約をした。
これだ!と思ったことの行動は最速になる。
今、私はオカリナを演奏したい!!
宗次郎のように!!!
小学生の頃は、リコーダーが得意だった。
中学生の頃は、吹奏楽でフルートを担当。
「吹く」ことにはちょっと自信があった。
レッスン当日。
真新しいオカリナを先生から渡された。
もうここは、レッスン場ではない。
目の前に稜線が広がる大自然の中で、オカリナを手にする私がいた…
現実には秒で戻された。
指遣いが思いの外、難しかったのだ。
アシスタントの女性が私のオカリナを手に取り
指遣いの説明をしてくれた。
そして、吹いた。
は?
吹いた?
え?
私のですが?
さっき初めて音をだしたばかりですが?
会って10分しか経っていないその女性に
私のオカリナを吹かれた。
潔癖症ではないけれど、これは鳥肌が立つほど嫌だった。
真っ白い時間が流れた。
先生にこの状況を伝えて、買ったばかりのオカリナを寄贈してレッスン場を飛び出した。
菜穂次郎が泡になった瞬間だった。
久しぶりに思い出しても、もうオカリナはいいかな。
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