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ゆずりゆずられ。

朝、いつもの狭い十字路で
対向車が通り過ぎるのを待っていた。

「どうぞ」
車の中から
口の動きと手の動きと笑顔で
伝えてくれた。

「ありがとうございます」
届かないとわかっていても
声に出して頭を下げた。

一瞬、柔らかい時間が
優しい時間がお互いに流れた。

知らない人に道を譲っていただいた。
ただそれだけなのに
なんだろう、この、ほわりとした穏やかな気持ちは。

すぐそばには
こんなにあたたかい世界が、まだ、あるのだ。

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