見出し画像

ひとつ大きなスケールで見てみる-①

 日記を書いてみようと思って始めたnoteですが、筆が進まず早々と詰んでしまいました。だからという訳ではないですが、自分の職能に対して向き合ってみようと思いました。

 私の職能はランドスケープ・アーキテクト(通称ランスケ)といいます。風景の設計士?いったい何?なんの仕事?と思われる方も多いと思います。自分自身もよく分かっていません。ランドスケープ学会や専門誌などもあるので、そこではちゃんと定義されているのかもしれませんが、不勉強でごめんなさい。経験が長い割には自分の職業をアイデンティファイすることが中々難しかったです。

 自分を知るにはまず周囲から。"アーキテクト"ってついているので、建築士さんの仲間?って思われるかもしれませんが、建物の設計はしないし(できません)ので違います。公園の設計はします。公園は行政の中では土木に属することが多いので、じゃあ土木設計の仲間?と聞かれたりしますが、土木の花形の道路やトンネル、橋梁、または河川に関する構造物の設計はしないし(これもできません)ので土木ではありません。じゃあ、ガーデナーさんや植木屋さん?と言われることもありますが、基本的に施工はしないのでこちらも違います。でもこれらの職能さんたちとお仕事することは多いです。例えば建築士さんとであれば建築外構のお手伝いをしますし、土木でも緑道・橋詰広場などで関わりを持たせて頂くこともあります。植栽に力を入れたいサイトであれば、ガーデナーさんに植栽の部分のデザインと施工をお願いしたりします。基本受注業務で、他の職能と一緒に動くことが多く、単体で動くことは公園ぐらいではないでしょうか。私自身「、、、もしやランスケって空間デザインにおける調整係では、、、」と思っている節もありました(今もちょっと思っています)。もちろん建築士さんで緑の分野に明るくて、外構もやってしまわれる方や、施工もバリバリできちゃうランスケさん、素敵にデザインしてくれちゃうガーデナーさんもいらっしゃるので一概には言えません。私が中途半端なランスケというだけかもしれません。これまでの職業人生、全くダメダメで、来た球を打ち返すことで精一杯な感じでした(ちゃんと打ち返せていたかもだいぶ怪しい)、、、と若干ネガティブモードになったところで閑話休題。

 最近一冊の本を読みまして、自分の職能について少し分かったような気がしたのでまとめの意味でこちらに記載してみようと思います。読んだ本は、著者がMatthew FrederickさんとVikas Mehtaさんの ”101 Things I Learned in Urban Desing School”です。
自分の職能より若干スケールの大きい分野の本と思って選びました。ここで言うスケールは「あの人はスケールの大きい人だ」という抽象的なスケールではなくて、設計・デザインに関する人ならお馴染みの「縮尺」のことです。
Auther's Note(著者の言葉)によると、アーバンデザイン専攻の学生さんに向けて、授業や教科書といった表向きの場では伝えるのが難しいけど、デザインスタジオ(←文脈から実習のことだと思います)で講師と学生が普通にかわす会話の内容を101個に絞ってまとめた本だそうです。これらの内容は、学生さんたちを煮詰まった状況から救ったり、知識やインスピレーションを与えたりするためのもので、いわゆる“カッコつき”の話も含めたトピックを取り上げたとのことでした。

 この本の101個のトピックのうち、No.7には以下のように記載されています(簡単に訳しています)。

"Urban design isn't architecture writ large(アーバンデザイン は大規模な建築ではありません):"アーバンデザイン は建築物に対して影響力があるし、建築物に影響されもするけど、単に複数の建築物で構成されるものではありません。アーバンデザイン はパブリックポリシーや、行動心理学、社会学、環境科学、ランドスケープ、都市計画、エンジニアリングを含む多くの原則によってかたちづくられるものです。"

 書籍は見開きで、文章によるトピックの内容が右側に、左側に図解されています。図解には「都市計画→アーバンデザイン→ランスケ→建築」の担当領域が「大→小」4スケールぐらいで解説されています。この図解によると、ランスケの関わる領域って広いのですよ。都市計画図のスケールから(1/50000-1/10000ぐらい)、建築が各建物のデザインするあたりのスケール(配置図でいえば1/1000-1/200ぐらい)までお付き合いすることになっています。ランスケも詳細図を引きますので、小ささで言えば1/10ぐらいまで扱います。
 建築家さんたちが都市計画の役割を担うこともあると思うので一概には言えないのですが、この本によると、都市計画の領域と建築の領域は重なっていません。ここに上げた4領域とお付き合いするのはランスケぐらいです。また、私はアーバンデザイン は自分たちよりも大きいスケールを扱う都市計画の領域だと思っていたのですが、アーバンデザインの扱うスケールはすっぽりランスケが扱う領域に含まれていました。

 空間設計の広範囲に渡って様々な職能とお付き合いする職能、というのは私の考えていたランスケのスコープとそんなに違ってはいはないと思います。しかしながら、もし、関わるプロジェクトにアーバンデザインナーがいなければ、もうちょっと積極的にアーバーンデザイナーの役割を果たす必要があるのかもしれません。アーバンデザインの領域は我々のそれにすっぽり収まっていますのでしっかり勉強する必要がありそうです。竜頭蛇尾な感じにりましたが、長くなりそうなので、今回は一度こちらで締めて、これから101個のトピックをランダムにつまみながら、ランスケの職能について考えていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?