母の日は_5月13日_全国一斉_母の日テスト実施_西武_そごう

西武・そごうの母の日プロモーションが素晴らしいという話

もうすぐ母の日。様々な企業が、母の日プロモーションの情報発信を展開しています。

その中でひと際輝く企画がありました。

「2018年全国一斉母の日テスト実施」

母の日の企画は、正直やりつくされた感があり、どこも似たような「お母さんに感謝を伝えよう」と訴求し、花を売るのが定型です。

誤解なきように言えば、ここ数年ギフトのバリエーションは増え、モノ→コト志向の高まりで体験型ギフトや家事代行サービスを売り出す企業や、花と言っても普通のカーネーションやバラではなく変わり種の花や花鉢を売り出す企業など様々な工夫を凝らした展開を行っています。

その中で、前述の企画がどう素晴らしいのか、というのをPR目線でひも解いていきたいと思います。


■答え合わせを通じてお母さんとのコミュニケーションを促進する仕掛け

母の日のような定番の季節イベントでは、「何を贈るか」「どうやって贈るか」といった、「モノ+ストーリー」を企業は提案してきました。

最近PRでは、よくストーリー性が問われますが、このストーリー性とは「開発秘話や背景を一緒に伝えることで、共感を生む」ことで、コンテンツがシェアされたり、購買してもらうきっかけづくりをしようというもの。

言葉で言うと非常に簡単なのですが、批判を恐れず言うと本当の意味でストーリー性を持たせることは非常に高度です。実際すべての商品に、エモい開発秘話や背景があるわけでもなく、売りたい企業のこじつけのための建てつけになっているなーと見えるものも正直結構あります。

ただ、このコンテンツの素晴らしい所は、単にエモいコンテンツとして素晴らしい出来栄えだということだけではありません。「お母さんと向き合わせる」という非常にパーソナルな部分に踏み込んだ点です。

「あなたは何点取れますか?」との問いとともに上記のテスト用紙がサイトで配布されています。ぼく個人で言えば、月に一度は息子を連れて実家に帰っていて、母親との仲もかなり良好なので、正直「余裕やで」と思っていたのですが、問5あたりから苦しくて、全然解けませんでした。

知っているようで、全然母のこと分かっていないんですよね。

こうした事実を分かりやすく可視化したのがこの看板に載せられた動画コンテンツ。

日本最難関のテストを乗り越えてきた東大生を象徴的な存在として起用し、その正答率が33%であることを紹介。そしてそれだけにとどまらず、テスト後にお母さんに実際に電話する、微笑ましい様子が収められています。

そして、それだけにとどまりません。

この動画。社会人あるあるというか、これまた素晴らしい動画です。

そしてその下に「今年こそ、ちゃんと母の日」というメッセージがあり、さらにその下には、実店舗でのイベント情報が記載されています。もちろん、ECサイトへのリンクもあります。

■モノの訴求をしていない自信

百貨店の特性上、入っている店舗のバリエーションや、売っているモノに対する安心感やブランド力があるということもありますが、このページの中で母の日ギフトの商材がギラギラと訴求されていないのもポイントかと思います。

おそらくこのページの中で、オススメのギフトを紹介する、という選択肢もあったはずです。単価が高い商材が多いから、値段で離脱されるのを避けたという見方もできますし、何故か起用されている木村カエラさんの絵本の情報が薄まるから載せなかったという見方も出来るのですが、不思議と「間違いないプレゼントがあるから、見に来てください」という自信を感じました。

内部の人に聞いたわけではないので真意はわかりませんが、百貨店だからこそ出来る訴求なのだろうと。


■何故に木村カエラさんの絵本?

唯一、腑に落ちなかった点を挙げるとすれば、何故木村カエラさんの絵本をこのページの中で訴求しているのかということ。4月22日に絵本を発売した、ということは理解できるのですが、このページでやる必要あったのかなという点は疑問が残ります。

ターゲット層が、子どもに絵本を読み聞かせるママ層ということなのでしょうか。それとも、お母さんにプレゼントしたい類の絵本なのでしょうか。他のコンテンツの出来が素晴らしいだけに、ここだけ気になりました。

もし載せる必然性があるのであれば、(全部で無いにしても)キングコング西野さんの絵本のように、内容を公開するとかしたほうが唐突感が無くなるなと思います。

※参考※大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)

もっとも、PR的な観点で言えば、木村カエラさんが絡むことで、直接的に母の日ギフトの紹介をしないエンタメ系媒体でのメディア露出につながる可能性はあります。

メディア露出としては、ギフト系露出の数が限られているので、そこの露出競争の及ばない面を確保しておくというのも手段としては有りな気はしますが、それなりにキャスティングフィーもかさみそうな気もするので、費用対効果的には普通の企業にはオススメ出来る手法ではないです。コンテンツ制作で携わったどこかの代理店が、新発売の絵本プロモーションとしてうまいことやったのかもしれません。

これ、もし手掛けられた方がいたら、何故この木村カエラさんの絵本をコンテンツに組み込んだのか、教えていただきたいです。


■まとめ

・西武・そごうの母の日プロモーションが、「モノ+ストーリー」の定型構造ではなく、「母と向き合う」ことの促進で一貫したコンテンツ設計。

・商魂をチラつかせない、百貨店の余裕を感じさせる見せ方。

・謎の木村カエラさんの絵本押し。

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