30歳前後でぶつかるモヤつきの撃退方法

北斗の拳の前半のハイライトはケンシロウがラオウに勝つ所だ。かの有名な「我が生涯に一片の悔いなし」は、勝敗が決した後に天に拳を突き上げ発するこのシーンは、北斗の拳読者以外も何らかの形で目にしたことがあるかもしれない。

ケンシロウは、様々な強敵(とも、と読む)と戦うことで強くなる。しかし、それはただ場数を踏んで強くなったのではない。その過程には大事なターニングポイントがある。それは、実兄トキとの対戦だ。ケンシロウは剛の拳、トキは柔の拳と異なるタイプの強みを持ち、ケンシロウはトキとの対戦を通じて、トキから柔の拳を学ぶ。そして剛の拳の覇者ラオウを倒すのだ。

これと似たような事はビジネスの場でも起こる。

僕は、クライアントワークについて勤務先の社長から「主張を押し通すのはゴールじゃない。それを叩き台に、議論して合意形成を図れ」と言われてきた。

要は、客先にA案を持っていき、クライアントのB案が良いという意見を引き出し、最終的にX案に昇華させるということ。

これに対し、かつての僕は、例えば昼にはカレー食いたいという意見を持っていき、クライアントから昼はうどん食いたいという意見を引き出し、最終的に昼にカレーうどんを食うという結論に持っていくのが正解だと思っていた。ただ、このやり方だと「絶対おれは外寒いから身体が温まる、カレーが良いと思うけどな。」と進めざるを得ないし、途中で「やっぱチャーハンにしとけば良かったかもな」とクライアントから言われる事があってもやついていた。そして結果、うまく行かない事が多かった。

なので、そのあとはしばらく「昼にカレーを食べるべき30の理由」的に理論武装しまくって、カレーを押し通す営業をした。そして、成果はある程度出たが、事件は起こった。
僕はある案件で担当を外されたのだ。そして、評価査定では、成果は出したが、クライアントクレームを受けたとして昇級することは無かった。

その一件は、思い入れの強い案件だったため、本当に落ち込んだ。しばらくは「昼はカレー食えし。バカじゃねえの。」と思っていたし、実際にメディアでも「昼カレーってマジ良いよね」みたいな論調の記事も増えてきて、「早く俺と同じ視座に立ってくれねえかなぁ。」と思っていた。しかし、そんな時にたまたま社内の雑談で北斗の拳の話になって、冒頭の一節のくだりを思い出した。

ケンシロウはずっと剛の件を極める事でラオウを倒そうとしたが、勝てなかった。クライアントと同じ視座で主張すれば、圧倒的にクライアントが強いのは明白(最終決裁権はクライアントなので)なのに、自分はそれと同じことをしているのではないか。

そこで、ケンシロウがトキとの対戦を通じて学んだ如く、自分のやり方を変えてみる事にした。変えたのは具体的に下記。

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①意見を押し通すのを辞めた
→「うどん」を一度認め、ただその点に対して自分の立場からの見解を示す

②クライアントが何で「うどん」と主張してるのかを深掘り
→「うどん」が何故良いと思うのか、太いのがいいのか細いのがいいのか、あったかいのか冷たいのか、ガッツリ系かあっさり系か等を言語化して明らかする。

③その良いと思った点に対して、実現させる方策を示す
→細くてあっさりで冷たいという主張だった場合、昼は寒くて風邪を引いてしまう可能性があるので、酒で身体があったまる夜に食べるのはどうか、などと実現性を高める提言を行う

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という事である。こうする事で、自然と「なるほど、昼という条件は譲れないけど、聞いていたらそしたら、確かに外は寒いし、身体があったまる方がいい。そしたらうどんでないのもいいので、キムチ鍋はどう?」「おおー、いいねー!楽しそう!そしたら渡辺さんの家コタツあるし、キムチ鍋パーティしながら最後にアイス食べよう」「良いですね!そしたらまず日程調整やりましょう!」的な予想もしてなかった展開が出てくるようになった。

これ実際体感するとすごい快感で、みんながノリノリで主体的に動こうと立ち上がる仕事は、todoが明確になり、なんとなく成功への道筋も見つけやすい。

なんでこんな事を書いているのかと言えば、後輩が自分とタイプは違えど、同じようなことで悩んでいたからだ。

彼の悩みは、別に自分がどうしたいか以前にクライアントが思うように進めているけど、自分がどこに貢献できているのかよく分からないと。そして先があるように思えないと。

彼は今年30歳。僕の周りだけかもしれないが、30前後にこうした悩みを抱えるケースは比較的多いんじゃないかと思う。

個人的な所感では、先述の②の言語化行程が僕は本当に難しくて苦労した。

ケンシロウもトキの拳がどんなものかなんとなく分かってはいたんだけど、腹に落とせて無かったんですよね。

もし同じようにもやついているなと感じた方は、クライアントの声を跳ね返してないか振り返ってみて、自分の意図やクライアント意向を細かく言語化してみると兆しが見えるかもしれません。


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渡辺尚人

渋谷の小さなPR会社で働くPRディレクターをやっています。このnoteではマーケティングPRに関するコラムを書いていきます。メディア分析的なこととか勝手にいろんな企業のマーケPRの分析やらしていきます。問い合わせは、pr.naotowatanabe0701@gmail.comまで
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